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ナスカの地上絵と異形のミイラが語る 古代アメリカの”異人類文明”の謎/並木伸一郎

近年、世界各地で奇妙なミイラが相次いで見つかっていることは、本誌読者もむろんご存じのことと思う。とくにペルー、ナスカで数多く発掘されるそれらのミイラたちは、手足の指が3本だったり、グレイ型異星人と酷似していたり、われわれ人類と比べても異常に小型だったり……。
これら異形のミイラたちは、いったい何ものなのか? 太古から地球上で生きていた人類の仲間なのか? 地上絵との関わりはあるのか……?
数多くの謎を秘めたミイラたちの出自を解明する!
(ムー 2018年4月号総力特集)

文=並木伸一郎 #フォーティアンFILE
イラストレーション=久保田晃司

ナスカの白色ミイラ「マリア」は異人類だった!?

 2017年6月20日。アメリカ、コロラド州ルイビルで活動するミステリー探求サイト「ガイア」によって、南アメリカのペルー、ナスカ近郊にある地下墓地から発見されたという全身真っ白なミイラが公開された。ミイラは「マリア」と名づけられ、その姿形から「地球に飛来した異星人ではないか?」と、大いに話題になった。

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膝を抱えた姿勢で発見された3本指のマリア。珪藻土で覆われている。

 最初にX線による検査を行ったペルーの放射線科医レイモンド・サラス・アルファラ博士によると、マリアはかつて生きていた“現実の肉体”であるという。つまり、マリアは厳密にいえばミイラではなく、内臓がすべて残った保存死体だったというのだ。確かに、X線画像には体の骨格や頭蓋骨の構造も写っており、マリアが“贋作物=フェイク”ではなく、実際の遺体だったことを如実に物語っている。

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マリアを横からX線撮影したもの。

 さらに行われたDNA検査でも、3本しかない手足の指は同じ物質・化学成分でできており、そのDNAが体のDNAとも一致していたことが判明した。これにより、マリアが各部位をつないで作られたものではないかという一部の説も否定された。
 また、CTスキャンによる検査で、長頭の頭蓋骨は脳の状態からして人工的に矯正されたものではないことも確認された。手のひらが5・5センチ、3本の指の長さは17センチあり、腕は膝上まで届くほど長いことも判明している。さらに、下肢には脛骨と腓骨がはっきりと見え、前腕には橈骨や尺骨が存在することも歴然としていた。

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頭蓋骨の内部を見ても、マリアの長頭がフェイクでないことがわかる。

 ちなみに、X線画像では体の骨格や頭蓋骨の構造のみならず、マリアの皮膚がいかにも骨格に沿ったごく自然なたるみを持ち、不自然なひきつれや亀裂箇所もいっさい見当たらないこともわかった。
 つまり、皮膚が皮膚らしく全身を覆っていたことになり、その点も“マリア=真正の遺体”であることの根拠として挙げられている。
 骨の比率や形状も本物の骨格と一致し、骨格全体の形状が調和していて、アンバランスさが皆無だった点もしかりである。もし複数の遺体から骨をとって組み立てたら、必ずアンバランスな点が生じるものだという。
 内臓もまた無傷だったことが、CTスキャンで明らかになっている。通常、ミイラのフェイクを作るとすれば内臓を取り除くはずで、そのまま放置すると遺体の腐敗を招きかねず、ミイラ化を妨げる恐れがあるからだ。

 次いで、マリアの全身を覆っている白色の粉末。その成分がシリコン、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、鉄を含む珪藻土であることもわかった。珪藻土は、腐敗の原因となる寄生虫や有害な微生物を抑制する効果があるが、これまでミイラの保存に使われたことはなかったという。なぜマリアに珪藻土が使用されたのかは、現時点では謎となっている。
 調査に加わったロシア、サンクトペテルブルク大学物理学部のコンスタンティン・コロトコフ教授をはじめとする研究チームは、このミイラが意図的にデフォルメされたものではなく、生前からこうした姿形だったと断言している。
 実は筆者が気になっているのは、マリアの目だ。横に糸状になったこの人間離れした特徴を持つ目は、他のミイラには類例を見ない。だが唯一、日本の遮光器土偶の目と類似していて、興味をかきたてられるのだ。

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かの遮光器土偶を彷彿とさせる細い糸状の目が興味深い。

マリアのルーツはナスカの異人類文化か?

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