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妖精と聖人伝説 アイスランドの「サンタクロース」現場を行く/安東ヒロシ・特集アーカイブ

日本での「サンタクロース目撃」をまとめたが、次に目を海外へ向けることにした。すると、やはり「サンタ目撃」情報があったのだ。しかも、アイスランドに……。サンタクロースの故地・北欧ではなく、なぜかの国なのか?
その謎と不可思議な目撃談を求めて、現地へ飛んだ。

文=安東ヒロシ

サンタクロースの正体は妖精「隠れた人々」

 北極圏に位置し、イギリスとグリーンランドにはさまれた島国、アイスランド。無人島であったこの島の最初の発見者はバイキングだといわれる。その後、ノルウェーやスコットランド、アイルランドのケルト人が入植した。スカンジナビア半島の北欧諸国と比べ、独特の文化を発展させた国だ。筆者は妖精の目撃談を求めて、首都レイキャビックの「アイスランド・エルフ・スクール」を訪ねた。校長のマグナス氏は歴史家で、30年にわたって地元民から妖精の民話や目撃談を聞いてきた。そして1988年に本校を開校、多くの人々にエルフについて教えている。

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「エルフのイラスト」。(Eria Stefansdottir Hidden Worlds Map)

 彼はキリスト教によるアイスランドの教化が、民話や神話の存続を危うくさせたと強く主張する。
 また、最近は刺激に飢えている若者が多くなっていることを危惧している。なぜなら、その忙しい心が、自然と一体となり、妖精を感じるアイスランド人の繊細な心を壊してしまうからだという。さらに、アイスランドに妖精の目撃者が多い理由は、霊能力を持っている人の割合が多いからだとも。その理由は、この国が独特の風土と文化に育まれてきたからのようだ。
 アイスランドの妖精は、エルフ、ドワーフ、ノーム、隠れた人々、ライトフェアリーなど何十種類もいて、姿かたちはさまざまだ。エルフ種は、長い脚をしていたり、大きい耳を持っていたり、変わった髪型をしている。ドワーフ種は、ひげを生やし、トンガリ帽子をかぶった姿が多い。そして隠れた人々は、なんとわれわれと変わらない格好をしているという。人間と同じ進化をたどっているので、馬や車に乗ったりもするとのこと。サンタクロースは、この「隠れた人々」の一種なのではないだろうか?

予言者が見た「隠れた人々」

 マグナス氏が、「隠れた人々」の目撃者を紹介してくれた。レイキャビック郊外に住むヘルマンドル氏だ。彼は芸術家であり、国内で占い師や予言者としても知られる強い霊能力を持つ人だ。筆者に対しても、数秘術などを用いて性格や未来などを診てくれた。彼の鋭い目の奥にある落ち着きから、深い知恵を持つ賢者的印象を抱いた。

 彼はアイスランドで起きた2010年4月のエイヤフィヤトラヨークトル火山の噴火と2011年5月グリムスボトン火山の噴火を、どちらもマスコミで予言し、的中させた、驚くべき人物だ。アイスランド人は火山の大地とともに生きているといってもよい。火山活動という地球の心臓の鼓動を聞きながら生活する彼らは、感性を高めれば地球の現状や未来の活動など、さまざまなことが感知できるのだろう。では、彼が今までに2度出会った「隠れた人々」の話を紹介しよう。

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