最古にして最強の石【クリスタルクォーツ】/パワーストーン事典
パワーストーンの力を得たいなら、その石について知ることが一番の近道です。その石はどんな鉱物で、どんな歴史や伝説を持っていて、どんなふうに愛用されてきたのか――。石のパワーの秘密を知ることで、その効果をより実感してみてください。
文=高橋桐矢
100万年の歳月を宿す最強のパワーストーン
クリスタルクォーツ 水晶/Crystal Quartz
【テーマ】オールマイティ・浄化・予知
【基本データ】主な原産国:ブラジル・オーストラリア・日本/硬度: 7/比重:2.7/結晶系:三方晶系
魂を浄化し、精神集中に役立ちます。宝石言葉は「予感」「清浄」。結婚15周年の石です。
【色と形によるパワーの違い】
最も浄化のパワーが強いのは完全な球体です。六角柱の原石はヒーリングに。カットしたりハートに磨いたものは身に付けるお守りとして。原石のクラスターは場の浄化に最適です。
【選ぶときのポイント】
透明で傷がないものが良品。
【使い方のヒント】
◎浄化 ◎厄除け ◎潜在能力開発 ◎危険を避け、幸運を招くお守り
【取り扱い上の注意】
特にありません。
【おすすめの組み合わせ】
水晶はすべての石と組み合わせることができます。他の石の力をサポートし、相乗効果を高めます。
来歴と伝説
最も古くから、最も愛されてきた最強のパワーストーンです。クリスタルという名は、アルプスの氷河で産出する氷の化石と思われていたため、ギリシャ語で氷を意味するクリスタロスに由来しています。日本語の水晶も、水の結晶という意味です。古い和名は、水精と言います。
クリスタルは、呪いやお守り、占いや医療にも使われてきました。1世紀に書かれたプリニウスの博物誌には、太陽光を水晶で集めて肌に当てるお灸のような治療法が記されています。また水晶を浸した蜂蜜を飲んだ母親は乳の出がよくなるとあります。
古代ギリシャでは水晶球で太陽光を集め、犠牲の獣を焼く薪に火を付けていました。当時の宝石賛歌は、火の女神ヴェスタの熱く神聖な炎を生じさせる水晶は不思議なことに氷のように冷たいと歌っています。
古代ローマの詩人クラウディウスは、「水入り水晶」について、創造主が水をその中に閉じ込めた水晶が評判となり人身を魅了している、と語っています。
中世には、水晶はさまざまな呪術に用いられるようになり眠るときに身に付けると悪夢や呪詛や魔法を退け、粉にして飲むと乳の出がよくなり、ワインに入れて飲むと赤痢の薬になる、毒に触れると不透明になるか割れると信じられていました。
水晶球占いはユカタン半島の巫女や、北米のアパッチ族の呪医が行っていた記録があり、さらには古代の鏡や水盤を用いる占いにまでさかのぼります。
インドでも水晶の効能は古くから知られていて、出血を止め、憂鬱症や痔や肺病を治し、ヘビやサソリの毒を消し、水晶を身に付けていれば溺れず、火事や盗賊に襲われることもない、と信じられていました。
そのほか世界各国に水晶にまつわる効能や言い伝えが残っています。アフリカのウガンダでは護符として、イギリスでは古くは「星の石」と呼ばれ夜尿に効くとされ、スコットランドでは不妊症に効くとされ、アメリカでは水晶で目をなでればモノモライが治るとされました。
鉱物としての特徴
地殻をつくる鉱物で、長石に次いで多く産出する石英の、無色透明な結晶です。ロッククリスタル、白水晶、とも呼ばれます。
二酸化珪素の結晶で、六角柱状に成長し、さまざまな微細な成分を含むことで紫や黄、ピンクに発色し、紫水晶、黄水晶、紅水晶となります。またルチルやゲーサイトなどさまざまな含有物がある水晶も知られています。水晶は日本の国石で、過去には山梨などで高品質の水晶が産出しました。1905年、ほぼ直角に近い84度34分という角度で二つの結晶が結合した水晶が日本式双晶と名付けられました。
無色透明な水晶はガラスと似ていますが、水晶は光を複屈折するので、文字や絵の上に置いてみると、ある向きで二重に見えるので判別できます。またさわるとヒヤリと冷たいのも特徴です。硬度は7で鋼鉄より硬いのでナイフで傷は付けられません。
水晶は結晶する際、右回りで成長するものと、左回りで成長するものがあります。電圧がかかると、結晶内部が歪み、規則正しく伸び縮みするという性質があり、水晶発振器としてクォーツ時計に用いられます。現代では人工水晶が作られ、半導体や光ファイバーの分野などにも使われています。ちなみに人工水晶は全て右回りです。人工水晶が出来るのには数ヶ月かかりますが、天然水晶は、100万年以上かかると推測されています。気の遠くなるような年月です。練り水晶と呼ばれるものが流通していますが、水晶の粉末を練って固めても結晶にはなりません。練り水晶とは、非晶質の石英、つまり石英ガラスです。
(『実践!パワーストーン効果大事典』より抜粋)