廃墟が呼ぶ/黒史郎・化け録
あるときは図書館の書架を漁り、あるときは体験者から話を訊き……「化け録」は、日々古今の怪異を収集する作家・黒史郎が拾い集めた膨大な化け物たちの記録。
第1回目はまず、こんなお話を、ひとつ。
文=黒史郎 イラストレーション=北原功士
廃墟が呼ぶ
廃墟には人を惹きつけるものがある。だからといって勝手に踏み荒らしていいはずがない。
しかし、近年ではそういう場所を心霊スポットと称して不法侵入し、撮影した動画をネットにあげる行為が横行している。これは霊に対しても不行儀ではないだろうか。
次の話は、神奈川県在住のKさんが10年以上前に体験した話である。
「あのころは毎日のように4人で集まっていました。フリーターのU、家業見習いのS、プログラマーのR。みんな、カノジョもなく、平凡な日々を送っていた専門学校時代の友人です」
集まるのはだいたい夜の9時以降、場所はファミレス。何をするというわけでもなく、食事をしながら仕事の愚痴をこぼし、ゲームやテレビの話をして、適当な時間に解散する。
その日も深夜までだらだらと過ごし、ファミレスを出たのが午前1時ごろ。いつものようにパーキングで解散すると、「ちょっと待って」とRがみんなを呼び止めた。
「今から、つきあってもらいたい場所があるんだけど」
みんなに会わせたい人がいるという。
「なんだよ、彼女でもできたか?」
ニヤニヤしながらKさんが訊くと、Rは無言で自分の車に乗り込んだ。
(なんだ、こいつ。やっぱり今日は変だな)
この日のRは妙に寡黙だった。ほとんど言葉を発さず、ぼんやりとしていた。仕事で疲れたのだろうと思っていたが、どうもこれから会う人物が関係あるようだ。
そんなRの様子も気になったので、みんなで彼の車についていった。
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