脳がない粘菌が銀河の大規模構造を再現! 宇宙=粘菌生命体説/権藤正勝
動物のように動いて捕食し、菌類のように子実体たいを形成する粘菌。動物でもなく植物でもない何とも不思議な生物である粘菌には、スーパーコンピューターにも負けない優れた能力が備わっていた。
その能力は、これまでだれも知り得なかった宇宙の秘密まで解き明かそうとしているのだ!
文=権藤正勝
動物と植物の性質を併せ持つ粘菌
動物の状態と植物の状態を行き来する奇怪な生物「粘菌」。おそらく名前ぐらいは聞いたことがあるだろう。日本では、南方熊楠(みなかたくまぐす)が研究を行い、数多くの論文を残していることで知られる生物である。今、この粘菌が科学の分野で注目されている。
粘菌が生物学上のどのような位置に存在しているのか? これまでさまざまな説が出てきて、何度も見直しが行われている。現在も広く使われている近代的な生物の分類法を初めて提唱したのは、18世紀、スウェーデンの博物学者カール・フォン・リンネである。 生物を階層的に分類し、最下層の属名と種名を併記することで、学名と定めた。たとえば、ヒトの学名ホモ・サピエンスは、ホモ属サピエンス種という意味である。リンネは、生物の分類の最上階として動物界と植物界の2界を定めている。
リンネの2界説では、粘菌は、多細胞性の子実体(しじつたい)を形成すると思われたことから、植物界の菌類だとされていた。だが、粘菌を含む一部の生物種では、動物と植物の両方の性質を持つことがわかってきた。
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