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アメリカ軍が接触する銀河連合の所在についてなど/南山宏のちょっと不思議な話

宇宙外交戦

「アメリカ軍部の首脳陣は、宇宙の諸国民が加盟する〝銀河連合〟と、極秘裏に接触している!」
 昨年12月、イスラエルの「エルサレム・ポスト」紙は、イスラエル国軍のハイム・エシェド退役将軍によるトンデモ主張を、どこまでも大真面目な顔で報道した。
 ただ、同紙は記事の末尾に、こうつけ加えるのを忘れなかった。「本紙は〝銀河連合〟にコメントを求めようと最大限努力したが、遺憾ながら連絡がつかなかった」

骸骨の湖

 インド最北部の標高5000メートル近いヒマラヤ山中にあるウッタラカンド州のループカンド湖には、〝骸骨湖〟の異名がある。
 その特異な異名が示すように、このうえなく無気味な歴史的で考古学的な謎を秘めた内陸の湖だ。
 1年の大半は湖面が凍結しているので見えないが、毎年短い夏の期間だけは、湖面に凍結していた氷が消え去り、湖底に沈む数百体の骸骨群が忽然と姿を現わす。
 考古学者と医学者の合同グループが、体骨サンプルを数十体分抽出して調査したところでは、いずれも体格の推定値が、現代の一般人のそれを上回っていたという。
 大半が壮年世代の成人男性で、老年の女性が数人入り混じり、子供はひとりもいなかった。全員が生前はすこぶる健康体だった。
 この骸骨集団が初めて発見されたのは1942年。以来人々はこの不思議なミステリーの謎解きに挑みつづけているものの、答えは依然として見つかっていない。
 彼らの正体はどこかの〝王と従者たち〟で、何世紀も昔に、山越えをする途中で猛吹雪に襲われ、虚しく全滅したのだろうか?
 それとも1841年、チベット侵入を企てたインド軍の兵士たちが、山中で迷って壊滅したのか?
 あるいは健脚の旅行者集団が、真冬の山旅の途中で気象異変に遭遇して、全員が凍死したのか? 
 あるいはまた、粒の巨大な雹の雨に打たれて打撲死したのか? さらにはまた、中世に流行した悪疫から逃れようと、流行の地からの脱出には成功したものの、最後に力尽きた犠牲者なのか?
 だが、今年2月22日付「BBCニュース」によれば、多国籍の調査メンバーによる最新の年代分析結果では、この異様な集団死をめぐるミステリーの度合いが、ますます深まるいっぽうになった。
 38体分の骸骨を、放射性炭素年代測定と遺伝子分析にかけたところ、死者たちは遺伝学的に多種多様なら、死亡年代もばらばらで、最大1000年も開きがあった。
 最古の骨は1200年も前なのに、一部の骨は南アジアに住む現代人のそれと、遺伝学的にまったく変わらず、かといって同じ民族の成員とも限らなかったのだ。
 だがその一方、現代のヨーロッパ在住の民族と密接に関連する人骨もあり、とりわけギリシアのクレタ島人と思えるような骨も、混じっていることが判明した。
 合同研究を率いた米ハーバード大の生物学者エイディーン・ハーニーは、完全にお手上げのよう。「彼らを死に追いやった単一の災厄的事件を想定するのは、状況的に見て極めて無理があるわ。だからといって、どんな複合的災厄を想定すればいいのかも、まったく見当がつかないけれど─」

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