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亡父が夢で警告した真意/あなたの怪奇ミステリー体験
亡くなった父親が、ある夜、母親の夢に出現。翌日、夢の中での父のお告げが現実となり、近親者が急死……。
思いは報われなかったが、身内を案じる父の愛は、今も、これからも。
イラストレーション=不二本蒼生
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亡父が夢で伝えたこと
須藤奈緒子/秋田市(56歳)
今から数年前の出来事です。父が亡くなって2年ほどがたったある夜のこと。母からこんな電話がありました。
「実は今朝、ちょっと気になる夢を見たのよ。お父さんが私の前にきちんと正座して、“久美子には重大な病気がある。このままでは大変なことになるから、すぐにでも病院に行かせなさい”といった後、フッと消えていったの」
久美子さんというのは、父の甥博さんの奥さんでした。
亡くなった父がきちんと正座して母に告げたというそんな夢の内容を聞いて、私も母と同じように、何やら妙に引っかかるものを感じたことは確かでした。
「ちょうど明日の午前中、博さんと久美子さん夫婦がうちに来る約束になっているから、そのときこの夢のことを話してみるわ」といって、母は私との電話を切りました。
翌日の午前中、久美子さんは夫の博さんとともに母の元を訪ねてきました。そこで母が、前日見た夢について話すと、「心配してくれてありがとう。今はべつに体調は悪くないけど、何か少しでも異変を感じたら、すぐに病院に行きますから」といい残して、昼ごろ帰っていったそうです。
ところが――その日の午後遅くのことでした。何やら慌てた母からの電話の声に、私は思わず自分の耳を疑いました。
何と博さんが自宅で倒れ、救急車で近くの病院に運ばれたという連絡が久美子さんからあった、とのことでした。
病院に駆けつけると、危篤状態の博さんが変わりはてた姿でベッドに横たわっています。
病名は脳内出血。意識が回復することは難しいと担当医から宣告されたそうです。
そして翌日、博さんは一度も目を覚ますことなく息を引きとりました。母が見た夢からわずか2日後の出来事です。本当に信じられない思いでした。
私たちには、これが決して単なる偶然とは考えられませんでした。
父はあの夢で、甥の博さんの妻である久美子さんの身に迫っている危機を母に告げました。ところが、現実に倒れたのは嫁の久美子さんではなく博さんのほうでした。
私は、昏睡状態の博さんを茫然と見つめているときに、ふとひとつの考えが浮かんできました。そして、そのとき、その考えにずっと囚われていたことを今でもハッキリと覚えています。
もしかしたら……博さんは、自分が盾になって災いを受けとめ、愛する久美子さんの命を救ったのではないかと。
何しろふたりはとても仲のよい夫婦でした。親戚中のだれもが、あのふたりは、まさにおしどり夫婦だと認めていたほどでした。
あるいは、母から夢の話を聞いた博さんの、愛妻に対する強い想いが、現実に起こるはずだったことを変えてしまったのかもしれません。
当然ながら、突然の夫の死に大きなショックを受けていた久美子さん。しかし今は立ちなおって元気になりました。きっと天国から博さんが微笑みながら、そんな愛妻を見守っていることでしょう。
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脳裏の声と偶然の出会い
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