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2機の航空機からパイロットが目撃した「ギラギラと輝く飛行物体」の話など/南山宏・ちょっと不思議な話

「ムー」誌上で最長の連載「ちょっと不思議な話」をウェブでもご紹介。今回は2020年3月号、第431回目の内容です。

文=南山宏

真・未知との遭遇

 FAA(米連邦航空局)の公式発表によれば、米旅客機2機と謎の発光体との接近遭遇が、2018年2月24日の白昼、アリゾナ州フェニックス郊外はソノラ砂漠の雲ひとつない上空で発生した。
「30秒ほど前に、当機の上方を反対方向に通過した機はないか?」
 午後3時40分、高度約1万1300メートルを飛行中のフェニックス航空のリアジェットN71PG機からの問い合わせに、ニューメキシコ州アルバカーキ空港のレーダー管制官はすぐさま応答した。
「いや、1機も飛んでない」
「じゃあ、あれはUFOか、それとも新秘密兵器ってところだな」
 リアジェット機の機長はちょっと動揺した口調でつぶやいた。

 350分後、高度約1万2200メートルで同じ航路を同じ方向に飛ぶアメリカン航空のジェット旅客機エアバスA321──AL1095が同じ空域にさしかかった。
 アルバカーキの管制官は、エアバスのクルーにこう要請した。
「AL1095、次の25キロを飛行中にそちらの上方を、ええと、その──通過する物体を見かけたら、何であれすぐに知らせてほしい」
 AL1095の機長は、奇妙な要請に面食いながらも即答した。
「こちらAL1095、了解」
「そちらの前方を飛んでいる別の機から、上方を何かが通過したといってきた。レーダーには何も反応がないが、とにかく何かを見たらすぐ知らせるように」
 リアジェットの機長が再び交信に割り込んできてつけ加えた。
「何だったのかはわからんが……飛行機でなかったのは確かだ。われわれの機とすれ違うようにして反対方向に飛んでいったよ」
 ややあってから、エアバスの機長がまたもや割り込んできた。
「こちらAL1095、確かにわれわれの上を何かが通り過ぎた。正体は不明だが、少なくとも当機の真上を通過した。600から900メートルは離れていた……全体からギラギラまばゆい光を放ち、輪郭は確認できなかった!」
 エアバスのブレナス・グリーン機長は空軍パイロット歴20年を誇る飛行時間1万4000時間超のベテラン中のベテランだが、あんな怪物体は初めて見たという。

 偶然の暗合だが、スティーヴン・スピルバーグ監督の大ヒットSF映画『未知との遭遇』(1977年)は、やはりこのソノラ砂漠に着陸した異星のUFO乗員との接近遭遇事件を描いている。映画の冒頭で旅客機の機長は、UFO目撃を正式報告するかと管制塔から問われて、迷ったあげく〝目撃しなかった〟ことに。
 だが、グリーン機長は目撃後ただちにFAAに報告し、マスコミにも体験談をあけすけに語った。
 地球人類の〝UFO意識〟は、半世紀たらずでそれだけ進化したことを暗に物語っているようだ。


噛み返し

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