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フォン・ブラウンとナチスの秘教ーー古代の宇宙人「NASAの極秘計画」/宇佐和通・ヒストリーチャンネル
1969年7月20日、アポロ11号が月面に到達した。その背後には宇宙に対するあくなき夢を抱きつづけた天才科学者の存在があったのだ!
文=宇佐和通
ペーパークリップ作戦
建国からわずか240年ほどで、さまざまなシーンにおいて世界をリードする国家となったアメリカ。特に、科学技術の面では、世界を抜きん出ているということができるのではないだろうか。ただし、アメリカはその地位を一から築いたわけではない。とくに第2次世界大戦後のアメリカ科学史は、とあるプロジェクトを抜きに語ることはできないだろう。
この番組のテーマであるNASAの設立には、〝ペーパークリップ作戦〟でドイツからアメリカに渡ったヴェルナー・フォン・ブラウンという天才科学者が深く関与している。
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/29898088/picture_pc_71666f2e21d2d53e0c12c4896e51001e.jpg)
NASAの司令室で、アポロ11号の月面到達に歓喜するファン・ブラウン(左から3人めの双眼鏡を下げた人物)。
フォン・ブラウンの名が世界的に知られたのは、人類が初めて月面に到達したアポロ11号の成功だったはずだ。アメリカの宇宙開発史において最も影響力があった人物で、〝ロケットの父〟と形容されるまでの過程で、超音速対空ミサイルや弾道ミサイル、そしてアメリカ初の人工衛星の開発まで、さまざまな功績を残している。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/29898138/picture_pc_8de9cd14dc193d2bffe5345bd8efd026.jpg)
アポロ計画の成功によって、人類は月面に到達。それはフォン・ブラウンの夢がかなった瞬間でもあった。
その存在はニコラ・テスラやロバート・オッペンハイマー、アルバート・アインシュタインと並び称されるほどだ。ただ、同時代の天才たちと比べても、フォン・ブラウンの宇宙への憧れは特に強かった。その核となる部分にあったものは何だったのか。
番組は、このあたりからいつもながらの熱を帯びてくる。
古代の宇宙飛行士説を推す人々の中には、フォン・ブラウンが地球外生命体によって衝つき動かされていたとする意見がある。なかには地球外生命体とコンタクトしていた彼が、人類の意識を宇宙に向けるよう促したのだ、という持説を展開する者もいる。いわゆる〝ビジョナリー〟(先見の明)ではなく、地球外生命体からの具体的な働きかけの結果としてアメリカの〝ロケットの父〟が生まれていたとしたら……。番組ではそんな疑問が示される。
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/29898174/picture_pc_c0b201cc589d5220cc0a9c75dae71da5.jpg)
ナチス・ドイツの高官たちと写真におさまるフォン・ブラウン(右から3人めの人物)。彼によれば、協力する以外の選択肢はなかったという。
番組の案内役ジョルジオ・ツォカロスは、次のようにコメントしている。
「アインシュタインやニコラ・テスラのような人々には、地球外生命体の介入があり、それを通して豊かな知識を得たのではないかと考える人たちもいます。ヴェルナー・フォン・ブラウンもまた、そうした人間のひとりではなかったかということです。彼のビジョンは、当時としてはあまりにも突飛で、信じがたいものだったからです」
フォン・ブラウンは人類を宇宙へといざなう案内役として、地球外生命体から選ばれたのだろうか。
そんな彼の人生は、ポジティブな要素だけで満たされていたわけではない。アメリカに渡る前の時代はナチス・ドイツ随一のロケット学の専門家として知られ、〝アーネンエルベ〟を通してエリート層との深い絆きずながあった。
これは1935年7月1日、ハインリッヒ・ヒムラーが、ドイツの文化的および考古学的歴史の研究を目的として発足させた組織だ。ただしそれは表向きの話で、アーネンエルベの基盤となったのは「アーリア民族は古代宇宙人である神の直系の子孫である」というとてつもないイデオロギーだった。
この事実を知れば、フォン・ブラウンが〝地球外生命体〟の直接的な働きかけを受けた結果、宇宙空間を目指したというシナリオにも可能性が感じられるようになるのではないだろうか。
そしてアーネンエルベのメンバーたちは、当時まだ概念さえはっきりしていなかったロケットというものに対し、特別な思いを抱いていたようだ。魔法的な存在であるロケットが実現すれば、世界を支配できるようになるかもしれない、と感じていた可能性は高い。だが一方、フォン・ブラウンは、純粋な学問的探求心によって衝き動かされていたに違いない。根幹にあった思いはまったく異なっていたものの、少なくとも方向性に関しては一致したのだ。
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/29898214/picture_pc_eb61ec8aaf85dc504ae43a72095f20d7.jpg)
ペーパークリップ作戦でアメリカへ移住した、フォン・ブラウンらドイツの科学者たち。
ナチス・ドイツで十分な経験を積んだフォン・ブラウンは、ペーパークリップ作戦でアメリカに渡った後も新天地で新しいロケット開発プロジェクトに携わりつづけた。ナチス・ドイツ時代と異なり、兵器ではなく人類が宇宙へ飛び立つ手段として、である。
そして1958年7月にNASAが設立され、2年後に新設されたマーシャル宇宙飛行センターが新しい仕事場となった。ここでのキャリアが、アポロ11号の打ち上げ計画の成功へとつながっていく。
第2次世界大戦終結時に政権を担っていたハリー・トルーマン大統領は、ブラウンが人類初の月面着陸という偉業の中心人物になることを見通していたのだろうか。ならばトルーマン大統領もまた、何らかの形で地球外生命体からの影響を受けていたのかもしれない。
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(月刊ムー2020年8月号掲載)
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