異端の天才発明家ニコラ・テスラと異星人の密約/南山宏・綺想科学論
交流電流の実用化をはじめ、現代のわれわれの生活を支える科学技術に偉大な業績を残してきた天才発明家ニコラ・テスラ。その異能の才ゆえか、彼の人生、発明・研究には、数々の奇妙な逸話が伴う。
そうした都市伝説のなかでも近年、テスラ自身が記した"異星人通信"にまつわる驚愕の新情報が発掘された――。
文=南山 宏
数々の都市伝説に彩られる稀代の超人的発明家
稀代の天才として世界に名を馳せながら、遺した多彩な実績とは不釣り合いなほど誤解もされてきた超人的発明家といえば、旧オーストリア=ハンガリー帝国セルビア(現クロアチア)出身で、のちにアメリカに渡って永久居住権を得た電気技師・機械技師のニコラ・テスラ(1856〜1943)をおいてほかにないだろう。
折りから本年3月26日、ハリウッド製伝記映画『テスラ エジソンが恐れた天才』が、日本全国で一斉公開されている。この刺激的な題名にも暗示されているように、テスラは「天才とは、99パーセントの発汗[パースパイレーション](努力)と1パーセントの直感(霊感[インスピレーション])の持ち主だ」という名言を遺した発明王トーマス・エジソンとは、ほとんど同時代人だ。
テスラのほうがエジソンより9歳ほど年下だが、後年、お互いの発明の才を認め合う強烈なライバル関係から、ついには事実上の敵対関係にまで発展したといわれている。
テスラはざっと挙げるだけでも発送電システム、交流電気モーター、テスラコイル、テスラタービン、回転界磁型発電機、遠隔無線操縦、プラズマランプ(蛍光灯やネオンサイン)、炭素電球、点火プラグ、エックス線撮影装置などなど、もしこの世からそれが消えたらわれわれの日常生活が成り立たなくなるような、種々さまざまの実用性の高い必需品をたくさん発明して、近現代の人類文明を支えるテクノロジーの進歩と発展に多大の貢献を果たした。
われわれがほとんど無自覚ながら日々その恩恵に与っている電気・電磁波関係の極めて重要な発明を、次々と成し遂げた科学技術史上屈指の偉人のひとりであり、専門分野では磁束密度の計量単位“テスラ”にその名を永遠に残している。
さらにまた、アメリカの有力グラフ誌「ライフ」が1999年に選んだ「この1000年間(ミレニアム)でもっとも重要な功績を残した世界の人物100人」にも、テスラは文句なく選ばれている(ちなみにこの100人中には、海外でも知名度の高い江戸浮世絵師の葛飾北斎、そしてテスラのライバルでだれもが知る有名な発明王エジソンもむろん入っている)。
テスラが生涯に獲得した特許の件数は、ゆうに1000件を超えるとされている。
そのほとんどはもちろん、われわれの日常生活を支える極めて現実的な数々の実用新案特許の類いだ。
だが、テスラの偉大な業績を評価する専門研究者たちによれば、裏づけとなる確たる証拠こそないものの、テスラは文明の進歩発展どころか地球文明
の破壊のほうにこそ手を貸しかねない、まさにSFを地でいくような危険な発明にも挑んだらしい。
もっと具体的には、実用性の観点から見ればあまりに空想的すぎてほとんど都市伝説の部類に属する、いわゆる“ 殺人光線(デス・レイ)”や“人工地震発生機”といった究極の世界破滅兵器の精密な設計図までが、その1000件有余の特許件数の中には含まれているらしい。いや、それどころか一説には、エネルギー保存の法則に反さない“真の永久機関”の設計図さえ含まれている、という噂すら根強く流されているのだ。
師でありライバルとの〝電流戦争〟での勝利
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