ロジカル・シンキング・ポケカ#2
こんにちは、やさいです。前回はエースバーンVmaxのリベンジを題材にしたお話でした。
っていうかタイトル変わってるやーん!
変えました。笑 もちろんモリさん(仮)からの質問をベースに記事は書いておりますが、記事の趣旨が伝わりづらかったので。頑張って継続的に書いていく!という強い意志の現れでもありますので、温かい目で見守ってくだせえ。
そんなことより、リンクに飛んでまで読む気がないよ!という方のために前回のポイントを簡単におさらい。
①何はなくとも問題となるテキストをよく読もう
②具体的な状況にテキストをあてはめてみよう
さて、今回も前回に引き続き、カードのテキストを読むことを重視した質問を取り扱っていきます。noteの記事の作り方も前回からかなり改善させましたので、その進化も感じてもらえたらなと思います。
第1 今回の質問
「やさいさん、場に僕のワンダーラビリンスが出ている状態で、相手のピカチュウ&ゼクロムが6つの雷エネルギーがついた状態でタッグボルトGXを宣言したんですけど、この時って追加効果は 発動するんですか?」
前回よりちょっと複雑そう。少し複雑なのでシチュエーションを可視化してみました。こんな感じかな?(プレマがゴチャゴチャしてんなぁ)
さて、あなたはどうしますか?Q&Aをすぐさま開きますか?ちなみにこの争点は、Q&Aにありません。前回と同様、この問題も2枚のテキストをよく読めば正解が導き出せるようになっていますので、読み進める前に一度簡単に自分の答えを出してみてください。
第2 テキストを読む
何はなくともまずは、問題となるテキストをよく読みます。そしてその意味を考えます。
ワンダーラビリンスのテキストはこうです。
おたがいの場のポケモン(妖ポケモンをのぞく)が使うワザに必要なエネルギーは、それぞれ無色エネルギー1個ぶん多くなる。(以下略)
さて、ここでワンダーラビリンスのテキストに「ワザに必要なエネルギー」と出てきましたが、これって何でしたっけね。
公式サイトの「ポケモンカードゲームのあそびかた」には「ワザに必要なエネルギー」の部分にこのような記載があります。
明確に定義はされていないものの、記載ぶりからすれば、概ねワザに必要なエネルギーとは「わざの左側に記載されているエネルギーの種類と個数」と定義づけて良さそうです。
次にタッグボルトGXのテキストはこうです。
追加で雷エネルギーが3個ついているなら、相手のベンチポケモン1匹にも、170ダメージ。(以下略)
冒頭の「追加で」の目的語が省略されていますが、「何に」「追加して」なのでしょうか。ほとんどの人にとっては自明かもしれませんがお付き合いください。
公式サイトにこの点を明確にするものは見つかりませんでしたが、手がかりとして、タッグボルト 発売前の宣伝ページの中で以下のような記載を発見しました。
「雷エネルギーが6個」というのは、ワザに必要なエネルギー=雷エネルギー3個+追加のエネルギー=雷エネルギー3個を想定しているように考えられます。
したがって、省略された目的語は「ワザに必要なエネルギー」であると考えるのが整合的です。これを補って改めてタッグボルトGXのテキストを読むと…
(ワザに必要なエネルギーに)追加で雷エネルギーが3個ついているなら、相手のベンチポケモン1匹にも、170ダメージ。(以下略)
となります。少し丁寧すぎるくらいにここまでテキストを読んできましたが、テキストを読み、その意味まで把握するというのはここまで詰める作業をいいます。字面だけなぞり、わかった気になっているようではいけませんよ!
テキストを読み、その意味するところを理解する
第3 あてはめてみる
ワンダーラビリンスとタッグボルトGXのテキストも確認したところで、前回同様、今回のシチュエーションにあてはめてみましょう。
まず、ワザに必要なエネルギーに影響を与えるという点で、ワザを使えるか否かに直接関わってくるためワンダーラビリンスのテキストからあてはめていきましょう。ワザに必要なエネルギーとワザを使えるか否かの関係は後述します。
おたがいの場のポケモン(妖ポケモンをのぞく)が使うワザに必要なエネルギーは、それぞれ無色エネルギー1個ぶん多くなる
↓↓↓
ピカチュウ&ゼクロムが使うタッグボルトGXに必要なエネルギーは、無色エネルギー1個ぶん多くなる
これをもう少し具体的かつ簡易にすると
タッグボルトGXに必要なエネルギーとして左側に書かれている雷雷雷は、ワンダーラビリンスの効果で雷雷雷無に書き換えられている。
なんてこった!!!
では、具体的に当てはめたワンダーラビリンスのテキストを前提に今度はタッグボルトGXのテキストに具体的状況を当てはめてみます。
(ワザに必要なエネルギーに)追加で雷エネルギーが3個ついているなら、相手のベンチポケモン1匹にも、170ダメージ。(以下略)
↓↓↓
(雷雷雷無に)追加で雷エネルギーが3個ついているなら、相手のベンチポケモン1匹にも、170ダメージ。(以下略)
ここまで来れば明々白白です。すなわち、具体的なあてはめを行った結果、ピカチュウ&ゼクロムに雷エネルギー6個と無色エネルギー1個がついていれば、タッグボルトGXを追加効果ありで使うことができるということがわかりました。
したがって、今回の質問に対する回答は
「ピカチュウ&ゼクロムのタッグボルトGXを追加効果ありで使うには、雷エネルギーが7個(うち1個は雷エネルギーでなくとも良い)が必要となるところ、6枚の雷エネルギーしかついていないので、追加効果ありでタッグボルト GXを使うことはできない。」
テキストに具体的にあてはめてみる
第4 ワザ宣言の有効性
今回はさらに論を進めましょう。仮に質問通りの状況で、タッグボルトGXの使用が宣言された場合、どのような処理になるでしょうか。
再掲。(今度はプレマ変えよ)
よりリアリティーを持たせるなら、相手がタッグボルトGXを宣言したが、自分の反論で追加効果がないことが判明したため、相手は「タッグボルトGXの宣言は無効になるので、フルドライブを使います」と言ってきた場合なんかどうでしょう。これに対して適切に反論できますか?
そうなんです、あくまで僕らはプレイヤーとしてこの局面に対峙しています。有用な知識で一つ問題を乗り越えたとしても、それに関連して新たな問題が生じることが常ですので、これに対する知識を持ち合わせていないと対処できません。知識だけで万事対応しようなんてほぼ無理ですよね。
はい、シンキングタイム
…
…
…
はい、終わり。
まず、今まで確認していた通り、タッグボルトGXを追加効果がある状態で使うことはできません。ここは間違いなし。
ここで、「タッグボルトGXの宣言は無効」とお相手が言っておりますが、これって何なんでしょう。
「ワザ宣言の有効/無効」という言葉はポケカをやっていると少なからず耳にする言葉かとは思います。しかし、この言葉は公式の上級プレイヤー用ルールブックにも載っていません。先人たちが説明の便宜上作り上げた概念に過ぎないのです(過去のルールブックに記載されていたのであればご教示ください)。
では、ワザの宣言の有効/無効とはどのような概念なのでしょう。上級プレイヤー用ルールブックのワザに関するページ(3頁)に以下の記載を発見しました。
なるほど。ここには、「ワザを使うのに必要なエネルギーがない(ワザを使う条件を満たしていない)→ワザを使えない→ワザを宣言することができない」というロジックが説明されていました。
ここ結構大事です。裏を返せば
ワザを使うのに必要なエネルギーがあるか
→(あれば)ワザを使える(状態にある)か
→(あれば)ワザを宣言できるか
という構造になっています。
この記載を踏まえて、僕は世間一般で語られる「ワザ宣言の有効/無効」とは以下のように理解しています。
ワザ宣言の有効→ワザを使うことができる状態で、ワザを宣言し、ワザの処理に入ること
ワザ宣言の無効→ワザの宣言ができないにもかかわらず、ワザの宣言をしたために、何も起こっていないこと
そうなんですよ、「何も起こってない」です。言ってしまえば、妄言です。笑
さて、ここまで確認したところで対戦に戻りましょう。お相手は「タッグボルトGXの宣言は無効」と言っていますが、本当でしょうか。
ワンダーラビリンス下でタッグボルトGXを打つには雷エネルギー3個、無色エネルギー1個付いている必要があるところ、ピカチュウ&ゼクロムには雷エネルギー6個がついています。よって、ピカチュウ&ゼクロムにはタッグボルトGXを使うのに必要なエネルギーが付いています。
したがって、お相手のタッグボルトGXの宣言は、ワザが使える状態でなされたワザの宣言に他なりませんので、ワザの宣言は有効になります。
確かに、タッグボルトGXの追加効果を使うのに必要なエネルギーは付いていません。しかし、この追加効果はタッグボルトGXを宣言することができるかどうかとは無関係です。ワザの宣言をすることと関係があるのは、上述の通り、ワザを使える状態にあるか否かでしかないからです。
以上より、お相手の「ワザ宣言の無効」との主張は認められず、タッグボルトGXのワザの宣言は有効になりますので、追加効果なしのタッグボルトGXでバトル場のトゲピー&ピィ&ププリンに200ダメージを与え、相手の番が終了となります。
ワザに必要なエネルギーがある
→ワザを使える
→ワザを宣言できる
第5 自衛のためのロジカルシンキング
あたかもモリさんから質問が来たようなテイストで論を展開してきましたが、実はこれ僕がポケカに復帰して間もないころのジムバトルにて実際にあったことなのです。当時相手にそれを言われて僕は何か釈然としない気持ちを抱きながらも「始めたばかりだから知らないこともあるだろうしそういうものなのだろう」と特に異議を唱えずに試合が続行しました。
どうして彼はこのような発言をしたのでしょうか。おそらくそれは彼が頭の中でワンダーラビリンスの効果をこう読み替えていたんじゃないかと今では思います。
「お互いの妖ポケモン以外のポケモンはワザを使うときに、追加で1個エネルギーがついていなければいけない。」
このようなテキストであれば、タッグボルトGXの追加効果を使うための追加のエネルギーとワンダーラビリンスを満たすためのエネルギーを兼ねることができそうです(?)。
しかし、ワンダーラビリンスのテキストにはそう書かれていません。テキストをよく読んでなかったのだろうなと思います(僕もですが)。相手がどう理解していようが、アナログゲームにおいては書いてあることがどんな時も一番の拠り所です。
この経験からもわかる通り、ルールの話はとても身近で起こり得ます。公式大会ならいざ知らず、店舗のジムバトルでは必ずしもルールに詳しい人がいるとも限りません。ましてや、大型大会でジャッジが間違った裁定をする可能性もあります(実際にあったようななかったような話をTwitterで見ました)。
自分の身は自分で守る。そう言った観点からも、ルールについてはしっかりと理解する必要がありますし、順を追って思考することを普段から習慣づけることで、いざという時に自信を持って主張することができると信じています。
少し長くなりましたが、ここまで読んでいただきありがとうございます。勘の言い方ならお気づきかもしれませんが、第4のパートで何点かのことを前提に論を進めておりました。今回それを解説するには本筋から大幅に外れてしまう、かつ、現在もその点を調べているのでどこかのタイミングで補遺として解説します(多分)。
本記事に対するコメント、ルールに関する質問がありましたらコメント欄でもTwitterでも気軽にお寄せください!
ではでは。
やさい
ピカチュウ&ゼクロム「GX」であることに気づいたけど、とんでもない量のピカチュウ&ゼクロムを生み出したので今回はご容赦ください。