ロジカル・シンキング・ポケカ#4〜秩序への抵抗〜
こんにちは、やさいです!前回の記事、たくさんの方に読んでもらえたみたいで嬉しい限りです!ありがとうございます(^.^)
ついに昨日VMAXライジングが発売されましたね〜1ヶ月ペースの体に飼い慣らされている身なので、発売日を一日千秋の思いで待っておりました。
発売日は私のあなぐらでみなで開封を楽しむのがダブルブレイズ以降の月課になっております。
エースバーンですぎなんだよなぁ…
さて、第1回、第2回では、テキストを忠実に読み解く、具体的状況にテキストを当てはめることを何よりも大事にしました。第3回では、それでも導き得ないロジックを理解することを学んできたかと思います。
今回から数回にわたり、ワザの使用について考えていきます。ワザの使用については、ダメージ計算も含むプロセスゆえに、手順を覚えなければ話になりません。
第1 今回の質問
Q「やさいさん、VMAXライジングのリスト見ましたか?あれのバリコオルのバリアフリーって強そうに見えるんですけど、オルタージェネシス打たれた後でもサイド1枚多く取られないとかになるんですかね?」
VMAXライジングのカードリストが出たタイミングでこの話はTwitterで話題になっておりましたので、この答え自体は多くの方がわかっていると思います。
しかし、その答えと流れてくる理由は「オルタージェネシスとバリアフリーは対象が違う。そんなん当たり前だろ、わかるか?」みたいな論調が多く、どんだけフリースタイルダンジョン好きなんだよと思っておりました(は?)。
間違ってはないと思いますし、説明の仕方の違いに過ぎないのですが、ここロジカル・シンキングの現場からは、公式から出ているルールブック等にしつこいくらいに準拠して、この問題を紐解いていきたいと思います。
第2 ワザの手順・ダメージ計算の手順
いつもであればここテキストを読むのですが、テキストを読む大前提としてワザの処理手順を確認します。ここを正確に理解しなければ、テキストも宙に浮いてしまいます。今後の回も見据えて今回みっちり頭に入れておきましょう。
とはいえ、普段から対戦をしているプレイヤーであれば、細胞レベルでは理解していると思うのでそこまで苦労はしないはずです。悪しからず。
ワザの処理は、ワザを使う手順として上級プレイヤー用ルールガイドの3、4頁に載っています。逆にいえば、遊び方ガイドや説明書には書かれていません。
1 ワザの宣言
使うワザを決めて、それを相手プレイヤーに伝えます。
2 ワザを使うポケモンの状態の確認
ワザを失敗させる効果のチェック(相手が使うえんまく等)→混乱チェック。この順番です。
3 ワザの説明文に「ワザを使う前」と書いてある場合はこれに従います
これさもありなんやという感じなのでが、カード検索で調べたところ一枚も見当たりませんでした(ポケカ歴史学の専攻者情報求ム)
4 ダメージの計算
ワザの名前の右側に書かれているダメージをもとに、与えるダメージを計算します。ワザの説明文にダメージに関する内容があればそれに従います。→ダメージ計算の手順については後述
5 ダメージ以外の効果
ワザの説明文にダメージ以外の内容があればそれに従います。特別な指示がない限り、ワザの説明文に書いてある内容は順番に従います。
まず、ダメージ以外の内容です。逆に、ダメージに関する内容は、ダメージ計算の手順4-5で処理することになります。
6 相手のポケモンのダメージを受けたときに働く効果
後述のダメージ計算の手順の4-4ダメージを受けるポケモンが受けている効果とは別概念です。言葉を補えば、ここはダメージを受けたときに働くダメージ以外の効果を指します。
7 きぜつの確認
長い。単調。こんなん読んでられねぇよって人。図示するとこうです。これ頭に入れましょう。
さて、次は(まだあるんかいな)ダメージの計算の手順を覚えましょう。ちなみにダメージの計算の手順に関しては公式サイトのポケモンカードのあそびかたの「対戦のしかた」部分に丁寧に説明があります。上級者用ルールブックでは、それより少し詳しめな解説が4、5頁にまたがっております。一度見てみましょう。
▼4-1 ワザのダメージの計算
ワザの名前の右側にある数字を参照します。
▼4-2 ダメージを与えるポケモンが受けている効果
「ダメージを変更する効果」を4-1のワザのダメージに反映します。
ダメージを変更する効果なのですが、ダメージを変更するものはすべからくここで処理されるもので、この変更の由来が何によるかまでは区別する必要がないと個人的に考えています(ここは様々な解釈があるかも。)
▼4-3 弱点の効果
2倍
▼4-4 抵抗力の計算
サンムーンシリーズのカードは抵抗力が−20であるのに対し、ソードシールドシリーズのカードは抵抗力が-30となっています。
▼4-5 ダメージを受けるポケモンが受けている効果
ワザの手順6でもコメントしましたが、こかで想定されているのはダメージに関する効果と考えられます。
▼4-6 最終的なダメージ
ここ別建ての項目必要でした?公式さん。笑
さてさて、ダメージの手順はさすがにバッチリでしたかね?かつて、始めたばかりの人に抵抗力→弱点の計算にならないないのか?と聞かれたことがありますので、そんな人を見つけたら公式サイトに誘導しましょう。
さて、上記で確認してきました4-1ないし4-6はワザの手順の4.ダメージ計算をさらに細かくプロセス化したものです。したがって、ワザの手順のフローチャートにダメージの手順を書き入れるとこうなります。
(老眼の人ごめんなさい。)
さて、改めてフローチャートを示すと理解と違っていた部分もあったかもしれません。が、このフローチャートはばちこり頭に入れましょう。
これを理解していれば、世の中のワザ処理に関する問題のほとんどは解決します。こいつまたほとんどって使ってるよって思った方は正解で、このワザ使用の手順にもまだ解明できていない争点もあります(いつか取り上げたいですがひとまずペンディング)。
・ワザの手順を頭に入れる
・ダメージ計算の手順を頭に入れる
第3 テキストを読む
ではいつも通り問題となるテキストを確認することにしましょう。
まずは、オルタージェネシスGXのテキストを確認しましょう。もう聞き飽きたというくらいに宣言された技かとは思いますが、最近テキスト読んでますか?今一度読んでみましょう。
この対戦が終わるまで、自分のポケモン全員が使うワザの、相手のバトルポケモンへのダメージはすべて「+30」される。追加で水エネルギーが1個ついているなら、そのワザのダメージで相手のバトルポケモンをきぜつさせた場合、サイドを1枚多くとる。[対戦中、自分はGXワザを1回しか使えない。]
ワザの説明にしては長く、かつ、追加効果もあり少し整理しづらいので、前半と後半で区切り細かくみていきましょう。前半部分につき
この対戦が終わるまで、自分のポケモン全員が使うワザの、相手のバトルポケモンへのダメージはすべて「+30」される。
この効果は、自分のバトルポケモンが相手のバトルポケモンへのダメージに影響を与えるものですので、前半部分の効果の対象は自分のバトルポケモン(が使うわざ)です。
後半部分につき
追加で水エネルギーが1個ついているなら、そのワザのダメージで相手のバトルポケモンをきぜつさせた場合、サイドを1枚多くとる。(以下略)
「追加で」の前には、「このワザに必要なエネルギーに」が省略されていることは、第2回で既にに勉強しましたね。「そのワザ」は、対戦が終わるまでの間の、自分のポケモンが使う、前段の効果で+30されたワザのことです。
最後の「サイドを1枚多くとる」がこのワザの後段の効果にあたる部分ですが、さてここで問題です。このワザの効果の対象は何でしょう。
サイドを1枚多く取るのは誰ですか?
自分ですよね。すなわち、オルタージェネシスの後段の効果はプレイヤー自身にかかる効果なのです。したがって、オルタージェネシスの後段の効果の対象は、使用プレイヤーです。
前半部分:自分のポケモン(の使うワザ)が効果の対象
後半部分:自分自身(プレイヤー)が効果の対象
このように、オルタージェネシスと言っても地の効果と追加効果とでワザの効果の対象が異なりますので、混同しないように気を付けましょう。
さて、お待ちかねのバリコオルです。バリコオルのバリアフリーのテキストはこうです。
このポケモンがいるかぎり、エネルギーがついている自分のポケモン全員は、相手のポケモンが使うワザの効果を受けない。(すでに受けている効果は、なくならない。)
まず、エネルギーがついているポケモンが対象です。現場ではエネルギーの有無に気をつけましょう。また、前回の復讐になりますが、単に「エネルギー」ですので、基本エネルギー、特殊エネルギーは問題ないみたいですね。
ここで、相手のポケモンが使う「ワザの効果を受けない」とはなんでしょうか。実は、この言葉、上級プレイヤー用ルールブックに載っています。
この効果を受けているポケモンがワザの効果を受ける場合、ワザを使う手順の5.のダメージ以外の効果を行わずに、ワザの手順を進めます。
そして、該のワザを使う手順の5.ダメージ以外の効果の説明はこうでした。
「ワザの説明文にダメージ以外の内容があればそれに従います。特別な指示がない限り、ワザの説明文に書いてある内容は順番に従います。」
したがって、バリコオルのバリアフリーをわかりやすく解読すると
このポケモンがいるかぎり、エネルギーがついている自分のポケモン全員は、相手のポケモンが使うワザのダメージ以外の内容の効果を受けない。(すでに受けている効果は、なくならない。)
となります。
意外に上級者用ルールブックにポケカで出てくる概念については、その定義や考え方とともに説明がされていますので、一度読んでおくのをオススメします。
ま、読まないと思うけどね!!
ワザの説明文からワザの内容とその対象を特定する
第4 フローチャートにあてはめてみる
さて、抽象的な話を理解したところで具体的に当てはめてみましょう。といっても、今回からあてはめる先はワザの手順のフローチャートです。
またシチュエーションとしても、オルタージェネシスを前の自分の番に使用し、この自分の番に手札から1エネルギーを付けてアルティメットレイを相手のバトル場のエネルギーがついたバリコオルに宣言した場合と仮定しましょう。
オルタージェネシス(前半、後半)、バリアフリーが上記図のどこにあてはまるのかをまずは考えてみましょう。はい、シンキングタイムスタート。
…
…
…
しゅりょっ!
オルタージェネシスの前半部分の効果は、自分のバトルポケモンの相手バトルポケモンに与えるダメージを+30するもので、その効果の対象は自分のポケモンです。
これは、「ダメージを変更する効果」といえますので、4-2 ダメージを与えるポケモンが受けている効果に当てはまると考えられます。
【突然のコラム】これ調べてて興味深かったのですが、オルタージェネシスの英語版テキストは”your Pokémon’s attacks do 30 more damage to your opponent’s Active Pokémon (before applying Weakness and Resistance)”です。テキストの中で明確にweakness(弱点)とresistance(抵抗力)適用の前(before)となっていました。日本語と英語のテキストの意味は同じであるはずなので、オルタージェネシスの効果はダメージ計算の手順4-2にあたると言えそうです。
続いてオルタージェネシスの後半部分。+30になった自分のポケモンのワザで相手のバトルポケモンを倒した時、プレイヤーはサイドを一枚多く取れるというものます
これはフローチャートのどこに当てはまりますか?
そうですね、どこにも当てはまりませんね。強いて言えば、相手のバトルポケモンをきぜつさせて、サイドカードを取る時に発揮される効果ですので、7.きぜつの確認以降のお話ですが、少なくともワザの手順のプロセスの枠外です。
したがって、オルタージェネシスをワザの手順にあてはめた後のフローチャートは以下になります。
(枠外)サイドを取るタイミング←オルタージェネシス効果
そして、バリコオルのバリアフリーは説明しました通り、ワザの手順5.ダメージ以外の効果を考慮しないというものでした。したがって、フローチャートに入れるとこんな感じでしょうか。
(枠外)サイドを取るタイミング←オルタージェネシス効果
確認の通りオルタージェネシスの効果はバリアフリーでスキップする手順と全然違うところで効いてくるものですので、全く無関係です。
したがって、今回の回答は
「バリアフリーでは、オルタージェネシスの+30にされる効果も、サイドを1枚多く取られる効果も無効化することはできないです。」
となります。
コメディアンは歪められた世界秩序への批判たりえなかったというアイロニー。
第5 今回のまとめ
今回の手法は
①テキストからそのワザの効果の内容・対象を把握する
②そのワザがワザの手順・ダメージの計算の手順のフローチャートに同定する
この2ステップを理解している人であれば、一々フローチャートに紐付けなくとも、ロジックを説明する際に「効果の対象が〜」と自明のように言えるのだと思います。
逆に言えば、ワザ手順・ダメージの手順に慣れないうちや未知の争点に出会った時には、逐一このフローチャートに戻り、どこに当てはまるかを整理する訓練が必要です。ここが基礎ですから。
とはいえ、実際の対戦では一々フローチャートを広げられないとは思いますので、テキストから効果の対象を特定して、その対象が異なるという説明が最大限の合理的説明となるのでしょう。
今回からしばらくはこのワザの手順・ダメージの計算にフォーカスした問題を取り扱っていこうと思いますので、辛抱強く勉強していきましょう!
今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました!いいね等リアクションがあると継続の励みになります!
そういえば、今度の2月29日に自主イベントやります。その名もふしぎなアメカップ!華金ポケカ以来の久しぶりのイベントですので、ぜひそちらもよろしくお願いします!
これだけオルジェネの記事を書いてあれですが、三神が嫌になった人のための想像力を駆り立てるイベントです。笑
開催場所は炎上をよくしている某TCG Barとは全く無関係の別エンティティーです(し、何より僕がよく行ってるお店)のでご安心ください。
ほいじゃあ!
やさい