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不登校対応で大切なことは・・・

お恥ずかしい話ですが、私は還暦前までの十数年間、管理職試験を受け続けてきましたが、すべて不合格でした。つまり、和歌山県教育委員会の基準では、県内で最低の教員ということになります。しかし、そんな私でも様々な実践を通じて成果を上げてきたつもりです。これはその中の一つの話です…。


不登校児童が復帰し、学校で中心的な役割を果たすようになった私の経験についてお話しします。

私には、不登校だった児童を復帰させた経験があります。長期欠席していた児童を担任し、児童が学校生活に戻るのをサポートしたこともあります。ここでは、その際に特に大切だと感じたポイントについてお伝えします。

不登校の背景と対応

私が担任していた5年生の児童は、友達とのトラブルが原因で不登校になりました。詳しく調査してみると、彼らの間にはお互いの認識の違いがあることがわかりました。同僚の教職員も同じ意見でしたが、当時の校長はこのケースをいじめ問題として対処するよう指示してきました。私は校長の指示に従いながらも、すべての児童に寄り添い、誰もが楽しく学校生活を送れるように努めました。その結果、翌年にはその児童は元気に登校し、さらに学校のリーダーとして活躍するまでになったのです。

信じることの大切さ

さて、不登校児童・生徒を復帰させた経験を持つ先生は、和歌山県内でどれほどいるでしょうか。おそらく少数だと思います。私の成功経験から言えば、不登校児童・生徒にとって最も重要なのは、和歌山県が推奨する不登校マニュアルの内容ではありません。

一言で言えば、「その子を信じ切れるか」ということに尽きます。何があっても、その子のことを信じ、絶対に大丈夫だという思いで、学級の他の児童・生徒と同じように接することが大切です。

もちろん、不登校マニュアルにあるアセスメントやチームとしての対応策は必要でしょう。しかし、それらは学校が不登校の児童・生徒に対して何かをしているという“アリバイ作り”のようなものであり、児童・生徒の視点ではなく、教育委員会の視点から作られたものです。

児童・生徒の視点で考える

児童・生徒の立場で考えてみてください。大人が色々と予想して自分の不登校の原因を決めつけ、学校や担任にとって“難儀な存在”として扱われるとしたらどうでしょうか。いい気持ちがしないのは明白です。そんな学校に行きたいと思うでしょうか。むしろ、さらに疎遠になっていくでしょう。

自分を信じていない大人たちから作り笑顔で「学校に来てみたらどう? みんなも心配しているよ。」なんて言われたら、ただただ嫌悪感しか抱かないでしょう。

担任の立場から考える

次に、担任の立場で考えてみましょう。教育委員会のマニュアル通りに進めていくと、まず資料作りを校長に命じられます。それがないと話が前に進まないからです。そして会議が始まりますが、これはきついものです。すべての会話が、担任としての対応不足を指摘されているように感じることになります。周囲は善意で励ましているつもりかもしれませんが、無責任な善意の言葉は担任にとって批判としてしか受け止めることができません。

その後も、対応策の資料提出や日々の記録提出が担任にのしかかってきます。こんなことをして、不登校問題が解決するでしょうか。

もし、和歌山県の教育委員会が推奨する取組事例が正解なら、不登校問題は少なくともある程度は解決しているはずです。しかし、現実には不登校問題は増えているのが実情です。

学級づくりの重要性

では、担任として今後の取組として大事なことは何でしょうか。それは、不登校の児童・生徒への対応以上に、学級づくりに力を入れることです。児童が教室に入れなくなった原因は学級にある場合が多く、これを改善しない限り、教室に戻ることは難しいでしょう。不登校の児童を変えたいなら、まず学級の雰囲気を変えるべきです。

これには覚悟が必要です。これまでの学級経営や子どもたちとの関係を見直し、改善していかなければなりません。子ども同士の軽い戯れと見なしてきた行為にも注意を払い、指導していく必要があります。また、自分にも厳しく職務を遂行することが求められます。

急に態度を変えることで、子どもから嫌われるかもしれません。学級のリーダー的な存在が協力してくれなくなることもあるでしょう。しかし、最終的には弱い立場の子どもたちからの信頼が厚くなります。こうして、学級全体が変わっていくでしょう。その間、不登校の児童・生徒にも寄り添うことを続けなければなりません。

管理職の役割

担任として、この先の見えない取り組みを続けていくことに不安があるかもしれませんが、それを支えるのが管理職です。特に経験豊富な管理職であれば、担任の焦りを理解し、じっくりと待つことができます。

私はこうしたことを実践したかったのです。子どもと担任の負担をできるだけ引き受けられる管理職を目指しました。

こんな思いがあるので、ある学校で、不登校の児童がでてしまった担任に「あの子のことを信じることができるなら、必ず応えてくれるから。」と実感を込めて声をかけ続けました。そのときのほっとしたような顔は忘れられません。

私は担任に話をしながら自分のことを思い出していました。
不登校の児童が復帰したときことを・・・。

復帰の原因はこれだと特定は難しいのですが、ただただ、自分の中にある漠然とした思いが、「この子は絶対大丈夫だ。このまま終わることなんてない。」ということだったということです。不思議と子どもに対して不安はなく、絶対的に信じていました。

たしかに、保護者対応、管理職対応、いろいろと悩むことがありました。でも子どもを信じる思いだけは揺らぐことはありませんでした。


面接でこんな思いを話していたのですが、和歌山県教育委員会には受け入れられず、私は管理職試験に落ち続けました……。


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