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へき地教育について考えたことを記す

極小規模小学校で転任してきた職員への提案
12年前の4月、私は50歳手前でありながら、職場で最年少でした。当時、過疎化と高齢化の影響が小学校現場にも及び、平均年齢は50歳を超えていました。
現在では初任の先生が着任することが多く、職員の平均年齢は20歳以上若返っています。当時の状況とは非常に異なっていたのです。
そんな頃、四月に書いた提案のメモが見つかりましたので、ここで紹介したいと思います。特に、和歌山県の僻地教育に関して、当時から感じていたことがあります。僻地教育は、以前は特殊なものと見られていましたが、私は数年後、町の学校でも僻地の教育方法がスタンダードになるだろうと予測していました。それは、子どもの数や家庭の形が急速に変わっていくだろうと感じたからです。
ここで、当時のメモからいくつかの提案を共有します。

1. 地域を社会学的に捉える
この地域について、山村部の村と言うと、世代が重なり合う大家族のイメージがあるかもしれません。しかし、この村のほとんどの家庭は、Iターンで移り住んできた親子二代の核家族です。都会と同じような家庭環境であり、むしろ都会の方が祖父母が近くに住んでいることが多いため、縦のつながりが強いと言えるでしょう。このように、一般的な山村のイメージとは異なる現実が存在しているのです。

2. 言語活動の重要性
作家の朝吹真理子が「言葉の海から言葉を選び出すためには、その海を豊かにすることが重要だ」と言っていました。人間は言葉を通してコミュニケーションを行う生き物ですから、教育もまたこの言葉の豊かさを育むものだと考えています。この村での教育は、特に言語活動の重要性を感じてほしいと思います。

3. 極小規模校の現実
各家庭の価値観が多様化し、学校へのニーズが複雑化する現代、多人数のクラスではそれが平均化される傾向があります。しかし、極小規模校では、すべてのニーズに応えなければならないという実情があります。この現実が、今後の教育の一般的な状況にもなるだろうと感じています。


現在、和歌山県の紀南地方では、少子化の影響により複式学級を抱える学校が50%を超えています。このような状況を踏まえ、当時私は指導計画にこの提案を取り入れるために管理職を目指していましたが、残念ながら達成できませんでした。


この提案を元に、極小規模校の教育に対する理解を深め、未来の教育に繋げていけることを願っています。
 


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