佐藤雅彦さんと小林賢太郎さん

以前、佐藤雅彦さんの本について感想文を書いている時に、気付いた事がある。

この思考回路、小林賢太郎さんとよく似ている

日常の些細な出来事を新たな視点で見ることによって現れる不思議な世界。
数十年経っても楽しめる普遍的な面白さの追求。
少し受け手側に考えさせて、能動的に作品を観させる作り方。

きっと佐藤雅彦さんの「クリック」と賢太郎さんの「こばなしけんたろう」の数ページを入れ替えても気付かれないと思う。例えば「こばなしけんたろう」の「百文字文芸」や「素晴らしき新世界」とか。
と思ったけれど、案外分かりそう。
なぜなら表現方法は近いけど、目的が違うから。

佐藤雅彦さんは「新しい分かり方」や「表現方法」を研究している。この「新しい分かり方」には、その事象が理解できた時に生じる面白さも含まれていると思う。賢太郎さんも、これを面白さとして取り入れている。
あとは2人とも、"広告"の作り方を熟知している。
作品がシンプルだったり、受け手に能動的に見させる手法は、この"広告"の考え方によるものだと思う。

面白さの捉え方や表現方法の考え方など、共通点も多いけれど、目的が"物事の新しい分かり方"の佐藤雅彦さんと、"人間の面白み"の賢太郎さんとで違うから、言い回し以外のところでも、作者の違いに気づくのだと思う。

結局違いがどうあれ、お二方の"面白くて、美しくて、不思議"な作品が好きだということに変わりはないのだけれど。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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