映画『まちの本屋』を、『まちの映画館』で観る至福。
2024年6月2日、日曜日。行ってきました、兵庫県尼崎の塚口サンサン劇場。(東京から日帰り。笑)
尼崎市立花の名物書店・小林書店を追ったドキュメンタリー映画『まちの本屋』が、同じ尼崎市内の塚口サンサン劇場でついに上映!
塚口サンサン劇場の戸村文彦さんの著書『まちの映画館 踊るマサラシネマ』が5月24日に発売。その中で小林書店の小林由美子さんとの対談が実現し、発売記念として上映が5月31日から決まったそうです。
その一方で、72年の歴史を積み重ねた小林書店はその5月31日に閉店。
塚口サンサン劇場で、5月31日〜6月6日まで上映中。連日10:15〜
この映画の初見は、2022年1月の東京のシネマ・チュプキ・タバタ。ちょうど『響け!情熱のムリダンガム』の個人配給挑戦に動きだしたばかりの頃。
個人商店の小林書店の奮闘ぶり、由美子さん夫妻の想いに感動。
個人で自腹でこんな映画を撮ってしまってそのまま自分で上映活動をしている、大小田直貴監督にも感動。
舞台挨拶で小林由美子さんのことを語るうちに涙をうかべてしまう、監督の誠実さにも感動。
そして、個人の自主配給でも、こうして上映できる可能性があるんだというケースを目の当たりにして、これから個人商店で個人配給しようとしている自分にとって、励みになりまくったのでした。
2023年6月に、塚口サンサン劇場で『響け!情熱のムリダンガム』が上映が決まり、ふと、「劇場と書店は同じ尼崎市だ!」と気づいたときの興奮。
劇場への挨拶に行った後、これは立ち寄らなければ!塚口駅からバスに乗って、JR立花駅の小林書店にも初訪問。突然の見知らぬ人の訪問にも、由美子さんはいろんな話を聞かせてくださり、改めて励みになりました。
(『まちの本屋』の上映で全国各地で上映後トークに回り、その劇場の人たちとも交流していく上で、由美子さんはミニシアターも応援されていました。小林書店にはシネマ・チュプキ・タバタの代表・平塚千穂子さんの著書も目立つ場所に置かれていました。)
『響け!情熱のムリダンガム』上映期間中は小林書店を通じて、劇場物販として、映画のテーマに関連するインドの本を数種類置いていただきました。
舞台挨拶トークをした日も、サンサン劇場に行く前に小林書店に行きました。またたくさん話を聞かせていただいたし、塚口サンサン劇場のことをとても褒めていたので、いつかサンサン劇場と小林書店のコラボ上映やイベントはないかな〜、と夢見てました。
トークがある日に照準を合わせ、Let's go!
6月2日当日は、スクリーン4がほぼ満席。
映画の上映中、東京よりもしょっちゅう笑いが起きていました。
リアルにこの地域や小林書店を知っている人が多いんだな、と思えるような感じ。
(特に、ビブリオバトルでの土地ネタで笑いを誘う自己紹介のところなど、東京よりはるかに大笑いになったのが印象的でした。)
終わった時も満場の拍手!
5月31日に閉店したばかりの小林書店。
閉店直後の、大きな役目を終えた由美子さんは何を思い、何を語るのだろう。
舞台挨拶付きならば、砂かぶり席だろう!
と勢いづいて最前列を取りました。
が、二人のトーク風景が、目の前すぎて、片方ずつしか見えない状態。二人のトークの掛け合いを見るんだったら、もうすこし後ろにしておけばよかったな。
由美子さんのお話が炸裂。思いを言葉にのせるのが、本当に由美子さんはうまいなあ。何回か同じ話を聞いたことがあっても、何度聞いても聞き入っちゃう引き込むパワーがある。もちろん、初めて聞くエピソードもいくつもあった。
そしてふと目線を、由美子さんから(自分の目の前の)監督に移すと、やっぱり毎度のこと、監督の目が潤んでいる。
「こんなにピュアな子はいないわよ。いつも泣いちゃって」と由美子さんも監督のことをそう語るのだった。
(私が配給している『響け!情熱のムリダンガム』の主人公、ピーターと大小田監督は、ピュアで泣き虫?なのがどことなく似てる)
半分くらいすぎたところで、『まちの映画館』著者・塚口サンサン劇場の戸村部長が大小田監督と交代。
戸村さんは、塚口サンサン劇場から見た、小林書店の歩みや由美子さんの印象を(「本の対談の時に初めて由美子さんと会ったけど、よくしゃべる方だなと思った」、など)語り、対談というよりは由美子さんを盛り立てる側に徹してお話をされている感じ。
しばらくすると、由美子さんからストップが。「ちょっと話してもいいかしら」
すると由美子さんが、
昔尼崎には映画館が何軒もあって、今は塚口サンサン劇場ただ一軒。だけど本当にいろいろ頑張っている映画館なのよ、
ということをこれまた熱く熱く語る。熱く熱くほめる。由美子さん、本当に褒め上手というか、熱く応援する人だなあ。
花束贈呈の時ばかりは、言葉を詰まらせていたけれど、
それでも、最後には、
「店は閉めたけれど、私はまだまだこのままでは終わらへん!」
と力強く締め括ったのです。
…痺れました。
(戸村さんも痺れていたようです。)
約30分のトーク終了後、劇場入口前でサイン会に。長蛇の列・長蛇の列・長蛇の列。
観客のひとりひとりが、ひとりひとりとゆっくり話ししてゆっくり丁寧にサインする形になり、終わるまで1時間半。
並んでいる人、見守っている人、サイン会をアシストしている人たちの中に、さっきの映画の中でお見かけした方もちらほら。みんな、由美子さんに会いに、塚口に集合している。
ほんと、地元上映なんだな…
(それから、私も行列している間に、「ムリダンガムの稲垣さんですか?」と同じく並んでいて塚口サンサン劇場で『響け!情熱のムリダンガム』を観てくれた方が話しかけてくれました。嬉しい…)
もっとお話しを聞きたかった〜。
三人交えてのトークも聞きたかった〜。
由美子さんのお言葉どおり、これで終わりではなくて、また何かしら、塚口サンサン劇場と元小林書店のコラボがあることを祈念しております。再上映でも、トーク会でも…。
戸村さんも、何かやりたそうなことをおっしゃってました。(さすが戸村さん!期待しております!)
由美子さん、大小田さん、戸村さん、ありがとうございました。
『まちの映画館』も無事購入でき三人のサインもいただけたので、これから心して読みます。
↑とてもカッコいい写真の見せ方!関西キネマ倶楽部さんとも再会してお話しできてよかった〜
『まちの本屋』、塚口サンサン劇場で、6月6日(木)まで。10:15〜
『響け!情熱のムリダンガム』と同様、とっても心があらわれる映画です。ぜひ観てください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?