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国際恋愛・結婚においてよく聞く『文化のちがい』って、実際なんのことなの?

今まで外国人と付き合ったことがある人は、誰かにパートナーとの『文化のちがい』について聞かれたことがあったり、また、国際恋愛についてインターネットで調べると、障壁のひとつとして『文化のちがい』について書かれた記事やブログがたくさん見つかると思います。もちろん、わたしもこういうことを経験したし、今も経験しています。でも、友達に「彼氏との文化のちがいのせいで難しいなとか感じることってなんかある?」って聞かれたとき、実際なんて答えたらいいか全然わかんなかったりします。そのかわり、”『文化のちがい』って結局なんなの?文化のちがいなのか個人差なのかってわかんないよね?” と思いました。『文化のちがい』ってすごく曖昧で、いろんな見方ができるので、ひとつの定義は見つけられないけど、大学院でIntercultural Encounters (異文化遭遇?)を勉強している学生の身として、今回ある研究を紹介したいと思います。内容は異文化カップルが抱えいやすい文化的な問題について。最後に研究とわたしの経験に基づいてアドバイスもあります!

研究について

紹介する研究は、あるフィンランドの大学のコミュニケーション学者によって行われたもので、6ペアのフィンランド人- 非フィンランド人に彼らのコミュニケーションについてのインタビューをして、異文化カップルに関係のある文化的な問題を見つけ出そうとしたものです。

研究自体に加えて、研究に使われているひとつのセオリー(論)についてもここで紹介します。このセオリーはコミュニケーションセオリーのひとつで、異文化カップルのコミュニケーションの特徴を見つけるために1996年に最初に使われた Relational dialectics (リレイショナル ダイアレクティックス/対人関係の弁証法) といわれるものです。
紹介する研究の中で Relational Dialectics は以下のように説明されています。

"A communication theory, which supports the idea that tensions in a relationship are a fundamental feature, and are not to be considered as equal to conflict or problem.”
- "付き合い/関係性 (例:家族関係、恋愛関係、仕事関係等)の中での緊張状況は根本的な特徴であり、争いや問題と同等とはみなさないとする考えを支持するコミュニケーションセオリー"
(Relational Communication in Intercultural Couples. Language and Intercultural Communication)

ちょっとややこしいですがどういう意味かというと、つまりこのセオリーはコミュニケーションの中での緊張状態を悪いものととらえるのではなく、人との間に関係性を構築してその関係性を定義するのに必要なものだと考えるということです。ここでいう緊張状態は普通2つの対立的な力のあいだに存在していて、例えば、ある関係性の中には openness (開放性)-closedness (閉鎖性) 、つまりパートナーに全てを話してオープンでいること (openness)と、プライベート時間が欲しい、シェアしたくないこともある (closedness)、 の緊張状態が見られます。この openness と closedness は対立する力であることがわかりますが、同時に、両方とも関係性を築く、維持するために必要なものでもあります。

異文化カップルの間に見られる文化的な問題に加えて、この研究ではどのような緊張状態がカップル間のコミュニケーションにおいて根本的なのかも調べています。セオリーによると、恋愛関係においての緊張状態は internal dialectics (カップルの中で起こるもの) と external dialetics (カップルとその周りの環境の間で起こるもの)のふたつに分けられます。ここでは、カップルの中で起こるものについてのみ紹介したいと思います。

研究結果

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《文化的な問題》
この研究では、異文化間カップルの抱えやすい文化的な問題として8つのトピックが見つかりました。ここでは、そのうちカップル内で見られる5つのトピックについて紹介したいと思います。
言語
- カップルの母語が異なること、また非フィンランド人パートナーがフィンランド語関連で直面する困難は、混乱や "相手のことを理解できないのではないか" という恐怖を引き起こす。
- でも言語面の問題はポジティブにとらえられることも:家庭内が2言語以上の環境であることは豊かさにつながる。
コミュニケーション
- 非フィンランド人パートナーにとって、フィンランド社会ではどんなことがタブーやあまり良くない話題として捉えられるのか理解するのが難しい。
- 加えて、フィンランドではどんな風に話すのが好まれるか(会話スタイル)を把握するのも難しい。たとえば、直接的な表現がいいか遠回しがいいのか、知らない人に話しかけるのはアリか、など。
子育て
- 親子関係は文化/国によって大きく異なることが多い。(例:親はどれくらい厳しくあるべきか、など)
- 異文化カップルにとっては、どの伝統(宗教、ジェンダーロールなど)を子どもたちに教えたり学ばせたりするか決めるのが難しい。
女性-男性の役割
- フィンランドは女性と男性の役割が重複している、つまり両方のジェンダーが社会の中で似たような役割を担っている文化だと考えられている。(例:女性も外でフルタイムで働くのが一般的である)
- 非フィンランド人パートナーの中には、この役割に慣れるのが難しいと感じる人もいた。たとえば、ある非フィンランド人パートナーは、彼女の国では専業主婦が普通なので専業主婦になりたいと思っていたが、フィンランドではあまりそれは期待されていないように感じると言った。
伝統
- 食文化や習慣(サウナ)などのフィンランドの文化的な伝統は、非フィンランド人パートナーにとっては理解するのが難しいことがある。

《Intercultural Dialectics》
この研究では privilege-disadvantage (特権-不利)belonging-exclusion (帰属感-疎外感) の対立する力の緊張状態が見られました。
Privilege-disadvantage は言語の問題に関して顕著で、カップルのコミュニケーションで自分の母語を使用しない側が、特に議論、けんかをしているときなどに不利に感じたり弱く感じたりしやすいことがわかりました。
Belonging-exclusion はここでは、異文化カップルは文化的な帰属意識/アイデンティティに関してより敏感になりやすく、自分がどの文化に属しているのか考えだすということを意味します。ときおり異文化カップルは、自分は自分の文化、自分のパートナーの文化のどちらにも属していないのではないかと感じることがあります。

少し複雑に感じたかもしれませんが、このひとつの研究が少しでもみなさんの国際恋愛、結婚の関係の中での『文化のちがい』について考えるときの助けになったらいいなと思います。

最後にわたしの経験も含めて少しアドバイス!

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- パートナーが理解できないとしても、けんかのときとかに母語を使っちゃうのはアリ!フェアな感じかしてストレスが軽減するかも。
- パートナーの言語を学ぶのを楽しんで。パートナーの母語を学べば学ぶほど、パートナーのこともより理解できるんじゃないかとわたしは思う。
- どんな付き合いでも、どこ出身でも、人間なのでみんなちがいがあります。
- 付き合いの中で緊張状態があることは自然なことです。争いや問題がある関係だと思ってしまいがちですが、争いは緊張状態だととらえることもできます。緊張状態は必ずしも悪いこととは限りません。
- いつもなにかを当たり前だと考えてしまっていることを忘れないように。パートナーがあなたのことをなんでも知っていると思い込まないで。話し合わないといけないときもあります。
- 楽しんで!:)

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