2歳の娘とコミュニケーションするツールを作ったらとてもよかった話
我が家には2歳9か月の娘がいる。新型コロナの影響で保育園が閉園になり、在宅育児が増えたことで保育士さんの保育スキルのすごさを痛感している。
保育というのは本当に難しい。
特に難しいのはコミュニケーションだ。こちらがしてほしいこと、娘がしてほしいこと、これが全くかみ合わない。
「お着替えしてね」「ご飯食べようね」と言っても「だめー!」と拒否し、「積み木やるー!」とか「トトロ観るー!」と、まあ自由だ。
素直に子供のやりたいようにやらせて、隙をみて着替えを根気よく促したりするのも一つのやり方だと思う。
しかし、我が家の場合はテレワークをしながら子育てをする状況にあるため、ある程度は秩序をもたせる必要があった。
結論から言うと、今回作ったツールで2歳の娘とのコミュニケーションが非常にスムーズになり、合意形成がとてもしやすくなった。
今回は我が家のケースをもとに、一つの成功事例として今回の取り組みを紹介したい。
きっかけ
今回、ツールを作るにあたってきっかけは「モンテッソーリ教育法」だった。
娘が産まれた直後くらいに、将棋界のホープ藤井聡太くんがモンテッソーリ教育を受けて育ったということで話題になっており、妻が買ったものだ。
ぱらぱらとめくっていると、今回私がぶちあたったコミュニケーションについての悩みの解消につながりそうなヒントが書かれていた。
私が特にピンときたポイントが2つあった。
・子供は、五感の中で「視覚」が最も敏感である
・子供は、選択肢を与えられると安心して行動する
上記で紹介した書籍の中では、この2つを利用して、「やってほしい行動」をイラストを添えて描いたマグネットをいくつか用意し、小さいホワイトボードに貼って「次はどれをやる?」と選ばせる、というものだ。
これをヒントにして、時間の概念も組み合わせるのはどうだろうか、と思って作ったのが、この記事のアイキャッチ画像にもなっているGoogleの円グラフみたいな時計だ。
朝起きたら顔を洗う、着替える、食事をとる、といった具合に、時間帯ごとにやってほしいことは決まっている。だったら、時間帯を大まかに色分けして、その色が示している時間帯にやってほしい選択肢を用意する、という工夫をしてみることにした。
だいぶ前置きが長くなったが、これが我が家ではとてもうまくいった。
成果物とその作り方と、運用方法をまとめたいと思う。
ちなみに、あくまで今回作ったツールはモンテッソーリ教育法について書かれた本の内容からヒントを得て勝手に私がオリジナルで作ったものなので、このツール自体はモンテッソーリ教育法で正式に認められているものではないと思うのでそこはご了承願いたい。
成果物とその作り方
A. 時間帯を色分けした時計
B. 「やってほしいこと」を描いたタスクカード
C. カードを入れたくじ引きボックス
一つ一つ詳しく説明していこう。
A.時間帯を色分けした時計
我が家では、日中活動している時間帯をおおまかにこのように分けた。
1. 07:00~08:30 食事の時間(オレンジ)
2. 08:30~10:00 変化の時間(イエロー)
3. 10:00~12:00 遊びの時間(ブルー)
4. 12:00~13:30 食事の時間(オレンジ)
5. 13:30~16:00 遊びの時間(ブルー)
6. 16:00~19:00 自由の時間(グリーン)
19:00~20:30は夕食になり、2. の時間帯になる。そして20:30くらいをめどに子供を寝かしつけている。一応、これで日中の活動は区分できていることになる。
2. の変化の時間が少しややこしいというか苦しいのだが、食事を終えてから1日の始まりのために身支度をしたり、1日を終えて布団に入る、という事で変化をイメージさせるイエローにした。
時計の作り方
時計はダイソーに売っている300円の壁掛け時計をベースにした。プラスチック製で軽くて分解もしやすい。
この表面のガラス板を外し、時計を抜き、真っ白な紙を敷く。
敷いたら、時計の針を通すための穴をあけて、色紙で色分けする。
ざっくりと工程を書くとこんな感じだ。
結構丁寧に作ったが、もっと雑に作ってもいいかな、とも思う。所要時間はだいたい1~2時間あればいいと思う。
B. 「やってほしいこと」を描いたタスクカード
カードは、時間帯ごとにそれぞれ作成する。ここで取り入れた工夫として、縁に時計と対応する色をつけて、どの時間帯にやってほしいことかわかるようにした。これはある程度厚みがあったほうがいいので、段ボールを7~8cm四方に切ってその上から白い紙を貼ってイラストとやってほしい事の文字を書いた。
うちはトイレトレーニング中で、まずはトイレに行くという事を習慣づけるために「トイレ」タスクは各時間帯に1つ入れてたりする。
出来たカードは、こんな風に色ごとに分けて収納するといい。これは、くじは時間帯によって出し入れをするので、こうすることで、くじ引きの運用がスムーズになる。
C. カードを入れたくじ引きボックス
Bでつくったタスクカードを娘に並べて見せて「どれをやる?」と聞いてもいいのだけれど、もうちょっと率先してタスクをこなしてほしいという思いから、こんな風にくじ引きの箱を作った。
これはふとラジオを聴いていたら、「在宅中の子供の暇つぶしとして、くじ引きの箱を作ったら大好評だった」という事ヒントに取り入れてみた。くじ引きは大人でもわくわくする。そういえば、子供の頃はもっと好きだった気がする。
案の定、この箱だけでも娘への訴求力は抜群で、すごい食いつきだった。すぐさまアンパンマンのぬいぐるみを入れたりと楽しんでいた。くじ引きを教えた記憶はないが、こんなに食いつきがよかったのは「何か一か所にだけ穴があいた不思議なもの」は珍しかったからだろうか。
作り方というほど大したものはないが、1辺が15cmくらいになるように段ボールから作った。なぜ15cmかというと、うちにあった折り紙のサイズがちょうど15cmで装飾しやすかったためだ。マスキングテープがあると縁取りが可愛く仕上げれていいと思う。
運用方法
例えば時計の針が黄色の時間に入ったら、「ねえねえ、黄色の時間になったから、なにするかくじ引きしようか」という風に声をかける。声をかけたら、黄色のタスクカードをくじ引きボックスに入れる。これは賛否あるかもしれないが、我が家は恣意的にタスクを絞ることを良しとした。例えば「おさんぽ」タスクを作ったが、雨の日は散歩に行きたくないという外的要因もあるし、単にどうしてもやらせたい事がある場合に選択肢をより絞りたい、というずるさもある。
とにかく、くじを親が入れて、くじを子供に引いてもらう。
くじを引いたら、何が書いてあるか読んであげる。そして、やってほしい事を促してあげる。
ここで我が家が注意したこととしては、子供がやりたいタスクのくじが出なかった場合に、また次のくじを引こうとする。これは、止めずに引かせてあげた方がいいと思う。結果、入っていたくじを全部引くことになることも多い。この場合は最終的にタスクカードを並べて、「じゃあこの中からどれをやろうか?」と「今やってほしいのはこれのどれかなんだよ」と選択肢を与えて、本人に選んでもらう。うちの娘の場合、これが本人としてもストレスが減ったのか、今までは絶対にやらなかったお片付けをやってくれた。これには感動した。
タスクをこなすことは褒めるきっかけにもなるし、好循環が生まれてとてもよかった。
最後に
タスクを明確にして、どれに取り組むかについてお互いで合意する、というのは何も子供とだけに限った話ではなく、大人との合意形成でも非常に大事なことだ。
私は、ついつい「教育だから」という観点で親として子供に何をやらせたいか、という気持ちが先立って、一方的に指示してしまうことがよくある。
ただ、相手も2歳とはいえ、もう自我が芽生えている。何が何だかわからないまま、ただ指示されるとストレスを感じるのは大人も一緒だ。子供を見くびったりせず、きちんと一人の人間、ただし白紙なところが多く自分のコントロールが不完全なだけなのでそれをサポートしてあげる、というような気持ちをもって今後も工夫しながら接していきたいと思う。
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