旬のアナゴをヨーグルトメーカーで煮るとうまかった
スーパーの魚売り場を覗くと、旬が夏であるアナゴが並んでいた。夏が近い。さっそく買っていろいろ調理してみた。
アナゴは調理法によって味に天と地ほどの差がでる。もちろん素材の質にもよるが、きちんと下ごしらえをすればスーパーで手に入る生のアナゴで十分に美味しいものができる。
この記事ではアナゴの下ごしらえの方法と、いくつか作った料理のレシピを公開します。
アナゴの下ごしらえ
アナゴはぬめぬめした皮に臭みがあるため、この皮を剥ぎます。
熱湯、氷水を用意します。皮を剥ぐには、以下の3ステップで行います。
1.皮に熱湯をかける
2.すぐさま氷水にくぐらせる
3.数秒で氷水から引き揚げ、皮を包丁の背で剥ぐ
この3ステップをなるべく短時間で行うことが大事。皮には臭みがあるので、なるべくきれいに剥ぐことが大切です。3で残った部分があった場合、一応また1から行えば剥ぐことはできますが、できるだけ1回でやった方がいいです。2尾調理する場合、1尾ずつ1から下ごしらえする方がベター。
熱湯はまな板を流しに斜めに立てかけて、熱湯が溜まらないようにするといいです。
すぐさま氷水に浸し、包丁の背でこの黒いぬめぬめをそぎます。
出来上がり!
アナゴの柳川風
まずは出汁でささがきゴボウと共に煮て玉子でとじた、定番の柳川風。
ゴボウの土の香りがアナゴと絡み合っている。玉子のとろとろした食感とアナゴのむっちりした食感の組み合わせも楽しい。
煮汁は無難に八方出汁にした。(出汁:濃口醤油:みりん=8:1:1)
アナゴと紅ショウガの炊き込みご飯
まずは紅ショウガとの炊き込みご飯。アナゴを出汁で煮て引き上げ、研いでしばらくざるにあげていた米をアナゴの煮汁で炊く。たきあがったらアナゴを混ぜ合わせて紅ショウガを散らす。
アナゴのうまさをシンプルに楽しめる。薬味としての紅ショウガのチョイスもよかった。アナゴの脂と、紅ショウガのすっきりした酸味の相性がとてもいい。山椒が欲しい…
私の炊き込みご飯は、研ぐ前の米:煮汁:薄口しょうゆ:酒の比率を10:10:1:1としています。つまり、1合のお米の場合は煮汁を180ml、薄口しょうゆ・酒を18ml。18mlなんて計るのは面倒なので、大匙1を表面張力でもりっとさせたくらいでやっています。この割合は和食界の神様的存在(と私が勝手に思っている)、野崎洋光さんのレシピです。
煮汁は、出汁に具となる食材を入れてひと煮立ちさせて、具を引き上げたものを煮汁として使います。ゴボウ、ニンジンなどの火が通りにくい具は下茹でをしてから水にさらしてから出汁で煮るとあくが抜けて他の具材との味のからまりがいいです。
アナゴとフキの炊き込みご飯
旬のフキと合わせてみた。板摺したフキを下茹でし、ざるにあげる。アナゴとともに出汁で煮て、煮立ったら引き上げて煮汁で米をたく。炊き上がったら混ぜ込んで完成。
フキのほろ苦さとアナゴの風味の取り合わせが、どこか夏を感じるようでとてもよかった。フキの土っぽい風味がさわやかで、アナゴの脂のうまさを引き立てているみたい。山椒が欲しい…
アナゴのコンフィと煮付け
まだまだアナゴの残りがあるので、定番のメニュー以外も試してみたくなり、コンフィに挑戦してみることにした。
しかしアナゴは身が薄いので、温度調整が難しい。いくら頑張って弱火でやってもどうしても火が通りすぎて、クルンと身がΩみたいになってしまう。
これをアナゴのΩ化と言い(言わない)、こうなったアナゴのむちっとした歯ごたえもいいけれど、ほろほろなアナゴも食べたいなーと思っていた。
そこで目をつけたのがヨーグルトメーカーでの低温調理。65℃前後で加熱すればきっとふわふわほろほろな煮つけができるに違いない。
皮を剥いだアナゴに重量の2%ほどの塩をふる。30分ほど置いて、オリーブオイル、にんにく、ハーブとともにジップロックに入れてヨーグルトメーカーにイン。
さて、温度と時間を何パターンかでやってみた。
まずは65℃で4時間。コンフィは、オリーブオイルとごま油の2つを試してみた。
ちょっと火が通りすぎだなあという印象だった。やや身がボソッとしている。左の方はややΩ化してしまっている。
味の方は、どちらもとても美味しかった。
オリーブオイルで煮た方は、オリーブオイルとにんにくの香りにアナゴの風味が絡んでおいしい。
ごま油+ワサビの組み合わせもよかった。
脂っこくなってくどくなったりして…という心配もあったが、そんなことはなくきっちりうまみが閉じ込められていた。
ハーブはまだまだいろいろ試してみる価値がありそうなので、いくつか試してみた。
次に、63℃で2時間。ハーブはタイム。
これは失敗だった。今度は全然身が生っぽくて、気持ち悪い感じになってしまった。生煮えの刺身みたいな…生臭さもちょっとある。2℃でだいぶ変わってしまうなー。
ということで、間をとって64℃で2時間煮てみた。ハーブはバジル。
これが大成功だった。アナゴのコラーゲン的物質が溶け出すかださないかのギリギリのライン。身がほろほろしていて、それでいて身がしっとりしつつ、もちっとした食感もある。
ちなみにハーブはバジルが最も相性が良かった。バジルの甘い香りが不思議とアナゴと合っている。パスタに絡めてもよさそう。
温度がばっちり決まったので、最後にど定番の煮つけを試してみる。先に紹介した八方出汁を冷ましたものに生のままのアナゴを入れて64℃で2時間。
これは今まで食べたアナゴとは一線を画す出来だった。身はしっとりふっくら、箸をいれるとまったく抵抗なく裂ける…。ほろほろとしているのに、崩れた身はアナゴのうまさを保っている。とても美味しかった。もう普通の煮つけには戻れない…
以上、いろいろなアナゴ料理でした。特におすすめなのは64℃で2時間煮る低温調理。これから夏になるにつれますます美味しくなっていくので、美味しく食べて夏を楽しみましょう。
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