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あなたと出会えてよかった、と思う話。

noteに綴るにはあまりにも色々あった2024。
目まぐるしかった2024。
出会いと別れがたくさんあった。

それでも、この出会いだけは胸に留めておきたいと思う。私の落書き帳のここに、大切な1ページとして書き残しておきたい。

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プチ失恋をした11月、勢いで始めたマッチングアプリ。

ひとり、心惹かれる人がいた。

惰性で返すやり取りではなく、少しのわくわくと期待が常に隣り合わせにあるような感覚。

お互い職場の忘年会幹事だったこと、本当にお疲れ様だったことを伝え合い、『忘年会幹事の忘年会しませんか?』と、可愛いお誘いを受け、会うことになった。

彼は変わった人だった。
会う前の通話から、独特の感性がある人だなと思った。
そんな変わった部分が新鮮で、単純に興味が湧いたのだ。
私が住み慣れだいすきなこの土地に、彼は3週間前に転勤できたという。
初回約束していた日は寒い日だからと、別日になった。
変わってんなあ、と思う反面、彼はきっとこの土地に永住しないんだなと察した。
それでも会ってみたいという気持ちの方が大きかった。

案の定、1回目のデートは楽しかった。
そしてやっぱり、とても変わっていた。
変わってる、ってなんだろう。変わっていると一言で言うのも、もしかしたら失礼なのかもしれないけど。

「人類みんな友達」「みんなハッピー」「嫌いな人はいないかも。苦手な人はいるけど」「でも嫌いと思う人にも家族や友達があると思うと、何言ってんのかわかんないけど、ね」

と。基本的に文句ぶーたれ好き嫌いの多い私には、ない感性だったのだ。
そして同時に多分、嫌いがあまりない、という彼は総じて人に興味関心がないのだな、と感じ取っていた。
そこまでも含めて、やっぱり彼は私にとって変わっている人だった。
それでも受け止められるレベルのもの。

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2回目は年末年始を挟み、約3週間後になった。

これマジで会うんかな、くらいのマインドだった。
連絡もマメじゃない彼だったので、忘れた頃に返信が来る、みたいな。

それでもちゃんと2回目はやってきた。

カウンターにひとりの女性と、私たちしかいない店内。
穏やかでゆっくり時が流れるような空間に、私たちの会話は多分宙を舞っていたと思う。

そして思う、やっぱり変わってるなあ。

それでも少しずつ、知りたいなと思った。

恋に落ちる人か、そうじゃないか。
割と早々に見切りをつけがちな私の、彼に対するジャッジは確実に惹かれていた。

また会って、彼との関係が進んでしまってもいいなとさえ思っていた。

2件目の締めパフェで、お互いにもう底が見え始めた時、基本適当人間自由人代表みたいなおちゃらけた彼が真っ直ぐに言葉を紡いできた。

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初めて会った時から、1つ上の彼は楽しいことをして生きていたい、と話していた。
そりゃみんなそうできるならそうしてるわなあ、と思いながら、でも彼はきっと本心で言ってるのだと思った。そして、会話の中で彼が唯一仕事だけ楽しくなさを感じているのを感じ取っていた。

ワーホリでニュージーランドに行ってみたい、と話していた彼。
リミットはもうほぼなかった。

いいじゃーん!と返事をする私も、色々感じながらも大して何も考えていなかった。

2回目に会う前日に通話をした夜。

今年の目標を友人と書き初めをしたと話す彼。
2025は『自由』と語り、転職活動しようと思ってる、と言われた。とてもサラッと。
だから、転職するんだなあくらいに思っていた。
頭の片隅で、きっとそれはこと地ではないこともわかっていた。

お得意のいいじゃーん!で深く考えはしなかった。

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『電話で伝えたけど、今年仕事辞めようと思ってて。今のプロジェクトが落ち着いて、引き継ぎとか色々期間を考えて、一応上司には6月末で、って伝えてるんだよね。それで、やっぱりワーホリ行こうと思って。自分のやりたいこともあらかた見えて、今あっちの企業でどこか拾ってくれるか探してもらってるところ。多分そうなればもうこの土地にはいないから。それを言わずに会うのは違うかなと思って。会ってくれるなら嬉しいし、でもこれを聞いて違うならそれでいい。あとはUp to you。』

何を言われてるのか一瞬で察した。

『関係性がしっかり構築できてるのなら、離れてもうまくいくのかもしれないけど、それでもやっぱり色々な問題が出てくると思う。そういうのはなるべく回避したいと思うタイプなんだよね。』

ねえ、それはね、Up to youじゃない。
もう自分の中で答えが出てることを、なぜ。

「それはきっともう、答えが出てるんじゃない?
私は予想される結果があっても、やってみたいと思ってしまうから。でも、それで今後も会う中で負担に感じるのであれば違うと思う。だから、私はあなたにUp to you」

勤めて明るく、自然に。
でも間違いなく本音だった。

私はあなたにできれば今後も会いたいと思ってたよ。
きっとあなたの態度言動も、そうなんだなと感じてた。それは恋愛としてなのかはわからないけど。

それからたくさん話をした。
たった2回会っただけの人、言ってしまえばそうなんだけど。

彼は最後に、ニュージーランドから次は連絡する、と。事実上のさようなら、を最後に伝えてくれた。

途中、友達として会うじゃだめなのかなと話にもなったけど、アプリという出会い方をした以上、私に良い人がいればそっちに行くべきだと思うし、俺も彼女は欲しいけどここでは作らない、って、うん決めたと話す彼に、たかが2回、それでも何となく決めたことはやり通す人だと感じたから、その未来はきっとないんだなと心が先に感じてしまった。

とても寂しかった。
楽しかったからなお、期待していたからなお。

『本当はもっと軽く言うつもりだったんだよね。海外行くわ〜って。こんな重い感じになると思ってなくて。通話で言ったら今日会うのなくなるかと思って、それは俺のずるさ、ごめん』

基本的に何も考えてない人なのかな、ってごめんね、ちょっと思ってたの。
深く考えるまではしない人なんだろうなって。

でもあなたは本当に自分にまっすぐな人だと、思ってしまったのよ。

女の勘、みたいなやつはことごとく欠如しているんだけど、どんな人なのかって分析にひどく長けていると自負してる。
分析というか、感じるんだけど。
それが決めつけにならないように、それでも、今までの人生で大きく間違えてきたことはないと割と胸を張って言える。

だから、今回の彼においても、きっとそうなのだと思う。

彼はきっと大して他者に興味がない。
それは思いやりとかと全く別のベクトルの話。
ただ、自分を構成すること、自分の人生設計や楽しいと心動く方への探究心が強い。

そんな彼にとって、とても伝えにくかったと思う。
たかが2回会った女なんだから、さようならの後フェードアウトしていいのだ。アプリなんてそんなもんでしょう。
けれども、ちゃんと向き合い話してくれた。
されど2回。
本当にありがたかった。寂しさもすごく強かったけど、ちゃんと誠実に向き合ってくれたことが嬉しかった。

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朝目覚めて、割ととんでもねえ喪失感みたいな気持ちと共に、清々しかった。

自分のやりたいことに真っ直ぐ、そして、超絶短期間で決め動いていた彼のことが、1人の人として、私はとても尊敬してしまったのだ。

色んな価値観や考え方がある。

それでも人生は時に思いきりと決断が必要なのだと思う。

名の知れたどでけえ大手に勤めていた彼が、スパッと退職を告げ、やることやったら海外でやりたいことを、と。

私にはないもの。欲しいもの。喉から手が出るほど、羨ましいことだった。

日々の仕事に文句を垂れ、それでも現状や環境や自分を変えようとしない私には落雷に近い刺激だった。

「ねえ、あたしはこのままでいいの?」

彼とさようならをしてから、ずっと問うている。

答えはひとつ。

でもじゃあ、私のやりたいことって何だろう。
仕事は好きだけど不満が強い。
この1年、仕事に対して感じていた憤りが確実にモチベーションを下げ、仕事の効率や質を下げていた。
このままじゃだめだとずっと感じた1年だった。
だから趣味に逃げ、言い訳を常にストックしていた。
けれど、それじゃあきっとだめなんだ。

たかが2回、されど2回。

彼と出会ったことは、きっと意味がある。

彼は『もし今付き合っても、俺は海外でわがままにやっているのに、相手は日本で頑張っている。それはさ』、と危惧して。

明確にあるやりたいことに、真っ直ぐ実直に追い求めことはわがままなのだろうか。

やりたいことも曖昧で、それでも日々の仕事や生活に疑問や不満を抱きながら、何も変えず乗り過ごすことが努力なのだろうか。

きっとこの問いは、視点や環境が違えばきっと違う。
人の数だけ答えがあるだろう。

それでも、私の答えは『そうじゃないよね』なのだ。

私もやりたいことにまっすぐに、力をつけて社会に出ていたい。
「先輩は向上心があるなと思っていました」という後輩の言葉がずっと耳元でこだましていたのに、耳を塞ぎ続けた1年間。
このままではダメだと強く気づかせてくれた。
力をつけたいと思わせてくれた。
痛いほどの刺激を、ありがとう。


本音はきっと、あなたとお付き合いをしてみたかった。
楽しい日常や感性に触れられると思ったから。
私とは違う視点をたくさん持っている人だったから。

でも、最初から気づいてたよ。

私が愛してやまない離れることのないこの土地は、あなたの人生では通り過ぎた街のひとつでしかないこと。

楽しいことしかやりたくない、と話すあなたはきっと、どこまでも自由なこと。

楽しいことと話す中に、恋人の要素など何もなかったこと。

恋人が欲しいというあなたの気持ちは嘘ではなかったと思う。けれど今はその時ではなかったんだね。

この街の夏を知らずに去ろうとするあなたに、せめて、蒸し暑い夏日にもこの土地の夜は、涼しい風が吹くことを教えたかった。一緒に感じて欲しかった。

うまくいかないなこりゃ!と気づいていた。
それでも、私も目の前の楽しさを優先してしまったの。悪いことじゃない。ちっとも。

ただもう私たちは、楽しいだけで誰かの人生を振り回すほど、目先の楽しさを優先して後にある苦しさに目を背けられるほど、こどもではなくなってしまった。

もう会わない、と決め合えたことに、私は勝手にひとつの成長すら感じている。

ありがとう。

出会うべきして出会ったのか、とこの出会いにアホほどでかい意味を勝手につけている。
やっぱりこどもなのかも。

いつか海外でどでかい起業して、ビッグになってテレビに出て欲しいな。
そしたら、この人と昔会ったことあるんだよねえ、マッチングアプリで!ってマウント取れちゃうな。
できると思うんだよあなたなら。
あなたはとにかく変わってるから。とても素敵な意味で、あなたは変人。型破りな人。

応援してる。
そして、私も誰かに応援されるような、そんな風に生きたい。

心から出会えてよかった。

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さあ、私は今日から何をする?

どんな風に生きていく?

やりたいことをやるためには、力をつけるには、何が必要?

大それたことなんて何一つ必要ない。

見つめ直すの。どんな自分でありたいのか。

キャリアを、生活を。

模索の中にいるけれど、心に火はついてしまった。

負けてらんないよね、やってやろう。

私は私の土俵で。

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