嗚呼香水の世界
香水にまつわる一番古い記憶は、母親の使っている香水、ココ マドモアゼルだ。母は30年以上経った今でも同じ香水を使っている。ココ マドモアゼルをずっと使い続けられるのは、なんかセンスいいなと娘ながらに思う。
私がはじめて香水を買ったのは中学生のころ・・・、お小遣いを貯めてジバンシィの「ウルトラマリン」を地元のジャスコで購入した。当時読んでいた「セブンティーン」という雑誌で、確か鈴木えみちゃんが使っている香水だと知って、気になっていたからだ。当時は使い方がよく分からなくて、服の上からつけてしまい、香りがとれなくなって撃沈した。大学生の頃は、雑誌に書いてあった香水のつけ方を真似して、ジル・スチュアートの某香水を空中にスプレーし、その下をくぐって全身につけたりしていた。そうすると拡散力が強すぎて、運動部だった私は同期からクレームを受けてしまい反省した。社会人になってからは、香水をお腹に1プッシュして服を着るというかなり控えめな使い方をしており、「何のにおいもしない人」になった。香水はとにかく使いこなすのが難しい。そんな紆余曲折の約20年を経て、たどり着いた諸々の香水のことを語る。
似合う香水をつけるのか?それとも好きな香水か?
最近イメコンやらスキンタイプ診断やらで、似合う香水を選んでくれるサービスがある。
DAWN Perfume "SMELL&TELL”
・・・肌のタイプから似合うものを選んでくれるらしい
パルファンスタイリングサービス
・・・ファッションやパーソナリティから、似合う香水を選んでくれるイメコン
パルファンスタイリングサービスは新間美也さんが「香水のゴールデンルール」という著作に書かれた方法をベースに選んでくれている感じ。私は「フローラルタイプ グリーンノート」が似合っているということだった。パルファンスタイリストのrinaさんは、私に似合う香水を3つ教えてくれた。すべて知らない香水だった(というのもELLA KとかFLORISとか、選んでいただいたものは地方民にはアクセスしにくい香水だった)が、その中にミヤシンマパルファンの「Feuillage Vert(緑の葉)」という香水があり、なんとかサンプルを入手した。使いやすかったのでフルボトルの購入に至った。私にとってはこれが、いわゆる「ニッチフレグランス」と呼ばれるものとの出会いであった。
フルボトル購入に至らなかった2点はなぜダメだったのか・・・。それはとても単純な話で、いかにその香水が私のイメージに合っていようが、私にはその香水が甘すぎたり、父親が長年使用しているオーデコロンと似すぎたりしていて、受け付けられなかったのだ。
「嗅覚は5感の中で最も原始的」というが、好き・嫌いがハッキリと分かれるものだ。つまり自分に似合っていようがいまいが、好きな香りは好きだし、苦手な香りは苦手なのだ。そしてもちろん自分だけではなく、世の中の人全員に好きな香りと苦手な香りが存在する。自分は好きかどうか分からないけど似合う(とされている)香水をつけて、他人にあれこれジャッジされるくらいなら、自分が好きな香水を身にまとう方が心理的に良いのでは、と個人的には思う。
といってもrinaさんのサービスは自己分析に繋がるし、香水の知識の幅を広げるという点でもお勧めできる。
デパートの香水売り場ってなんか臭いし、近寄りがたい?
パウダリーが苦手、マリン系が苦手、オゾン系が苦手、ムスクが苦手・・・
ちょっと待った!
デパートの1階のにおいが、香水のすべてではないのです!
デパートの1階で香水を買うのはちょっとなぁ~と思う方にお勧めなのが、NOSE SHOPというニッチフレグランスを取り扱う香水屋さんだ。
気になったもののムエット(試香紙)をもらう、実際に肌に乗せてみる、と色んな香水を試していただいたらいいのだが、おそらく気づくであろう・・・このお店はデパートの1階のようなにおいがしないことに・・・。私にもなぜなのかは分からないが、こちらで取り扱っている香水は拡散力がそこまで高くなくて、パウダリーすぎる香水が少ないからかなと思う。正直拡散力の高い香水は、俗にいう「香害」になる可能性を高く秘めている。真夏の満員電車に、首筋や手首にシャネルの5番をつけた人が乗っていたら、どんなにいい香りでも「においがきついよ。勘弁してくれよ・・・」と思うだろう。そこでデパートではなくニッチフレグランスから、ほどよく香る香水を選ぶのがおすすめだ。
私はMendittorosaの香水で、マリン系とムスク系の香水に抱いていた苦手意識を解消したので、ぜひお試しあれ。
近くにデパートしかないんだけど、柔らかく香る香水ってデパートにはないの?
DiorのDior homme cologneや、Estee LauderのPleasures、GuerlainのAqua Allegoriaシリーズはどうだろう。Dior homme cologneとPleasuresはラストノートが苦手でボトルを買わなかったけど、そこまで強く香るものではなかったはず・・・。Aqua Allegoriaシリーズはハーバフレスカとパンプルリューヌを愛用している。
とにかく無難で万人に受けそうな香水ってある?
そんなものは多分ないと思うけど、強いてあげるならTommy Girl(女性向け)とAqua Universalisじゃないかしら、個人的に。
香水を買うときに注意することって?
絶対に第一印象(つまりトップノート)で判断しないことだ。店頭で手首~肘の内側あたりにつけてもらって、数時間は放置しておく。香りはトップノート⇒ミドルノート⇒ラストノートと変化していく。全ての香りが良いと思えたら購入すること。また、いきなり100mlものボトルは買わないこと。なるべく小さいサイズのものから試し、「自分の定番の香り」になったら大きいボトルを購入する。というのも、数時間の印象では捉えられなかった苦手な要素が、数日つけるとわかったりするからだ。逆にはじめは「苦手かもな」という印象を抱いたけれどつけていくうちに好きになった、ということもあるので、そういう予感のするものは、サンプルがもらえそうならもらおう。
EDPとかEDTとかって重要?
EDPなのに3時間ももたない香水(ルラボのベルガモット22とか・・・)もあれば、EDTなのに1日もつ香水(ディプティックのオーデサンスとか・・・)もあるので、まぁ正直そこまで・・・。相性もあるし・・・。香水の持続性は実際につけないことにはわからんけど、フラグランティカは参考になるかも。
香水って、結局どこにつけるの?
これはTPOに応じて使い分ける必要がある。「私は香水をつけています!」ということをとにかくアピールしたいときは、首筋や手首につけるといいと思う・・・私はあんまやったことないけれど。なんか近づいたらいい香りがするなぁ、って分かればOKってくらいならば、服を着る前に、自身の正中線上を避けて、腰のサイドに1プッシュずつか両肩に1プッシュずつ、(後ろも気になれば)背中に1プッシュする。長袖のときは肘の内側に1プッシュずつしてもいいかも。スカートをはく方は膝の内側やくるぶしもいいとは思うけど、ぶっちゃけシミになったら洗うのマジで大変だから、肌着に触れるところの方が後処理が楽だと思う。ちなみにこれらは服の下につけること。露出した箇所に香水を乗せると、首筋、手首に乗せた時のように拡散してしまうので、控えめに香らせたいときは避けよう。正中線(おへそのあたりや胸元)に乗せると、自分の鼻元にダイレクトに香りがくるので、鼻が麻痺して香りがちとわかりにくくなるよ。ちなみに「どこにつけるか?」についてはサノマの生みの親である渡辺裕太さんがYouTubeで語っているので、そちらもご参照あれ。
保存方法は・・・?
まず香水はインテリアではないので、買ったときに入っていた箱は捨てないで、その箱に入れて保管しよう!香水は直射日光や温度変化により劣化が進むものだ。日本の夏だと平気で室温が35度を越してしまうこともあるので、そういう季節は冷蔵庫に入れるといいと思う(天然香料の場合は注意が必要だが、合成香料の香水はあまり気にしなくていいと個人的には思う)。以前ワインセラーで香水を保管している人のお話を聞いたことがあるが、ワインセラーはたまに故障するので、結局冷蔵庫にぶち込んでいるらしい。私もなるべく異なる気温にさらさないように、冷蔵庫から取り出したらさっさとつけて、冷蔵庫にすぐにしまうことを心掛けている。きちんと保管していればそんなすぐに劣化したりはしないので、保管方法はかなり重要だ。ボトルのまま窓際に飾ったりなんかすると・・・直射日光と気温差ですぐに劣化してしまうよ。
フリマサイトの香水ってどうなの?
ああいうサイトは玉石混交ですんでね・・・。私も使用済み香水をメルカリに出品しているので、あまり大きい声で文句言えないんですけどね・・・。まず箱がないのは論外。ボトルをインテリア感覚でその辺に飾ってたりなんかしたら、直射日光浴びてるわ、気温の変化にもさらされてるわで品質は最悪よ。「いつ頃購入したか」「どうやって保存していたか」「スプレー等に異常はないか」あたりは買う前に確認が必要だろう。そして例え新品未使用品の出品でも、「トムフォードの香水がこんな価格で買えるか?」などの相場観は持っていないと危ない。自己紹介の日本語がかなり怪しい人、まぁまぁおります。そしてそういう人はなぜか有名な香水の未使用品をたくさん出品してます。不思議やで。観測範囲内だとトムフォード、ルラボ、ディプティックのあたりは魔界やね。
メルカリ内で小分けの香水を売っている人がいるけれど、ああいうのは規約違反なので購入は控えよう。小分けの香水なら、セレスという小分けの香水を販売している会社から買うのがいいと思う。
色々な香水を知りたい!
まずはこちらから・・・
世界香水ガイドⅡ 1885 (新装版)
世界香水ガイドⅢ★1208
世界香水ガイドⅠの内容を加筆修正したものがⅡなので、Ⅱから読めればok。これはルカさんとタニアさんという方々が、世界中の香水をとにかくレビューしまくった伝説の本だよ。自分が好きで買った香水がボロクソ悪口書かれてて凹む、なんてことはしょっちゅうあるよ。どのくらい辛辣なのかは、Amazonのレビュー等を参考にしてくれたまえ。この人たちとはセンスが合わないわ~と思う人もいれば、高評価のものは納得だな~と思う人もいるだろう。ただこの本はあくまでもとっかかりなので、評価の高低はあまり気にしなくていいと思う。
・・・こんなところだろうか。今気になっているのは、FREDERIC MALLEとByKilian。MendittorosaはNettunoのボトル買います多分。円安よ止まってくれそろそろ。