クリアレザー(生皮)ってなんぞやってお話

こんにちは!むにえるです。
最近年をとったせいか変に寒がりになってしまって、まだ肌寒い日はヒートテックが手放せません。
寒さ対策を万全にして、毎日頑張っていきたいと思います。(もうじき夏がくるけども。)

『透明な革って、どうやって作ってるの?』『これ本当に革なの?』
むにえるで最近多く制作、出品している革ぴあす。その主な素材として使用してる『クリアレザー』に対して、こういったお問合せをいただくことが多いです。

僕も実際素材として仕入れるまで、『いうほど透明じゃないだろうし…。』なんて印象を持っていました。
技法書なんかにも載ってはいるんですが、1ページだけとか、ページの墨素材としてメジャーじゃないんですよね。
革とか道具を扱うお店でも見た事が無かったし、その素材を使っている作家さんもイベントで見た事なかったし。
そんなマイナーな素材『クリアレザー』を今日はちょっぴりご紹介したいと思います。

皮と革の違いと、クリアレザー。

クリアレザーのご紹介の前に、ひとつ雑談をさせてください。
みなさん、「かわ」っていう漢字が二つあることはご存じかと思います。
じゃあその「皮」と「革」って何が違うんですかね、っていうお話なんですが、ざっくり言うと『鞣しをしたかどうか』が判断基準になります。
剝ぎ取ったままの素材を「皮」、そこに素材にするための加工、「鞣し」を施すと「革」となるわけです。
(鞣しってなんぞやとか、もっと詳細が知りたい人は調べてみてください。結構おもしろいですよ。」
 
で、クリアレザーは通称「生皮(きがわ)」と呼ばれていて、和太鼓の素材に使われたりします。
『えっ、これ皮じゃん。しかも生ってことは腐るの?大丈夫?』
なんてことまで心配する人はいないとは思いますが、生皮は「鞣す」という工程を踏まず、他の処理をすることで素材として加工されています。だから「革」じゃなくて「皮」と呼ばれているけど、ちゃんと素材なわけなんです。
で、なんで透明なの?っていうお話なんですが、みなさん「ささくれ」ってできたことあります?あれって透明じゃないですか。そうなんです、革の表面に近い部分って元々透明なんですよ。それを加工したものが生皮になり、それをさらに色々加工したものがクリアレザーになります。

クリアレザー。手が透けて見えます。

クリアレザーは気難しい

前回の革ぴあすの記事(こちら)でもご紹介しましたが、クリアレザーのいいところは何といってもその透け感。プラスチックのような無機質な雰囲気を持ちつつ、革独特の質感も持ち合わせた、擦りガラスのような質感です。
もちろん革の一種なので、使い続けることで経年変化(エイジング)もしてくれます。
一般的なレザーと加工工程が違うので、エイジングは比較的ゆっくり、時間が掛かかります。その分、強度もあり長く付き合っていける革です。
 
クリアレザー、いいところも沢山ですが、なかなか気難しい素材でもあります。
まず固くて加工が難しかったり、使いどころが少なかったりします。お財布やむにえる製のミニチュアブーツなどにも使えないことはないんですが、その固さから使用感がいいとは言えなかったり、型崩れをしたりする可能性もあるので、よっぽどのオーダーとかではない限り今のところは使わないつもりです。(今後の研究次第ではありますが…。)
悪いところのように紹介しましたが、この固さが活きる場面ももちろんあります。

モチーフタイプの革ぴあすは、このレザーがもつ可塑性っていう性質を利用して作っているものが多いです。
可塑性ってなんぞや、っていうのを簡単に言うと、革を濡らしてから成形して乾かすと、元の形でなくその形のままでいる、といったものです。
(この可塑性を利用したのが「絞り」っていう技法です。)

革ぴあす『紫陽花』

画像の『紫陽花』も、染め上げてから水分を含ませて、成形、組み上げて制作しています。
ピアスに使うサイズの革を成形したり、染め上げるのは結構細かくて、手間のかかる作業です。
特に、『あじさい』や『さくら』など、花モチーフの作品や、グラデーションカラーの染め上げには神経を使っています。
その分、エイジング後も綺麗な形を保っていたり、より深い色合いをお楽しみいただけるように仕上がっています。

クリアレザー、おすすめです

つらつらと長くなりましたが、今年の夏の目玉としてクリアレザーを使った作品をたくさん制作していく予定です。
既に『minne』や『むにえるSHOP square店』にて出品しています。
実店舗では、いつも委託でお世話になっている青森県弘前市の『藤田記念庭園 匠館』様にてお取り扱いしていただいています。
※匠館ではモチーフタイプのみのお取り扱いです。

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