歯科医師国家試験109C123(病理検査)
術中迅速診断の目的はどれか。1つ選べ。
a.切除断端の検索
b.上皮異形成の分類
c.顎骨内浸潤の深達度
d.感染ウイルスの同定
e.自己免疫疾患の確定診断
この問題の解答はaとなります。術中迅速診断の目的は切除断端陽性かどうか,リンパ節転移の有無,解剖学的に生検が困難な部位の腫瘍の診断などです(口腔病理学第3版)例えば舌癌でリンパ節転移があれば頸部郭清は必須になるので,術中迅速診断は治療方針にも大きく影響を与えるので極めて重要です。
手術中に鏡顕し,執刀医に結果を伝える為に素早く,正確に診断が必要です。
通常の生検では10%の中性緩衝ホルマリン溶液にて固定を行い(*①硬組織病変ならここで脱灰)組織の形態が崩れないようにします。その後必要な部位を切り出してパラフィンにて包埋します。包埋後薄切,染色,鏡顕します。
*①脱灰ではEDTAを使います。歯内療法でも根管洗浄剤で無機質脱灰を期待して
用いられている他に細胞培養では細胞間の結合(デスモゾームではカルシウムが架橋)で重要なカルシウムをトラップして細胞をバラバラにしたりします。
組織は柔らかいのでパラフィンでブロックを作ることで薄く切りやすくします。
なぜ薄切が必要かというと組織が厚いと光が通らないので顕微鏡で観察出来ないからです。
術中迅速診断では工程を簡略化するために液体窒素で凍らせてから切ります。
しゃぶしゃぶのお肉は薄く切られていますが,一度凍らせてから切るのであれだけ薄く出来るのです。
術中迅速診断というと難しい言葉に聞こえますが日常にあるものと結びつけたりすると理解しやすくなると思いました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?