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東京ディズニーランドで本当にあった「小さな奇跡」エピソード

 東京ディズニーランドには、年間約4000の手紙やメインストリートハウスへのゲストの声が届けられていました。本noteでその一つを紹介します。きっと、これが本当の東京ディズニーランドだ!と思われることでしょう。
 

 
 口も効けず、目も見えず、耳も聞こえず、ほとんど寝たきりを余儀なくされている―そんな重度の障害を持って生まれてきた、あるお子さんがいました。そのお母さんは、一度でいいから東京ディズニーランド連れていってやりたいと思い、主治医に相談しました。
 主治医は、最初は反対したものの、お母さんの熱意に負けて、お子様をベッド型の車椅子に乗せせること、たくさんの薬と緊急用の酸素ボンベを携帯することなどを条件に、その子の東京ディズニーランド行きを許可したのです。
 当日、重い車椅子を押しながら、いくつかのアトラクションをめぐったあと、お二人はお目当ての夜のエレクトリカルパレードを鑑賞することになりました。
 パレードが始まってしばらく、魅入れられたようにミッキーたちの行進に顔を向けているお子さんを見て、お母さんは息を飲みました。光彩のきらめきを映すお子さんの顔には明らかに、これまでにはない変化が現れていたからです。
 何を見ても、どんな反応も示さなかったお子さんの目はしっかりと光の動きを追い、氷ついたように硬直していた口もとには、いかにも楽しそうな笑みが浮かんでいたのです。
 それはお母さんが初めてわが子に見た、豊かな表情の芽生えであり、「命」の確かな鼓動といえるものでした。パレードの光の明滅に促されるように、いま、この子の命が息づいている、見えないはずの目で光を見て、聞こえないはずの耳で音を聞いている―そう思ったとたん、お母さんは涙を抑えきれなくなってしまったそうです。
 後日、私たちはこのお母さんから手紙を頂戴しました。
 翌日の昼のパレードでも、女性ダンサーがわざわざ踊りの列を抜け出して、息子の手をとりながら、『よく来てくださいました』と声をかけてくれました。来てよかった、生きていてよかったと、そのときも涙が止まりませんでした。
 さらに後日、ある医者に、このことを話してみました。すると医者は少し黙ったあとで、「医学を超えた世界だね。難病に萎えている生命力を復活させる、そういう、“奇跡”はわれわれには起こらないことだ。しかしディズニーランドには、そういう力があるのかもしれない」と自らにいい聞かせるように呟いたのです。
《終了》
『魔法の国からの贈りもの』より
 
いつも痛みで顔を歪めているお子様でした。病状が重く、心臓が止まる危険もあったそうです。ところが奇跡が起きました。ディズニーランドに向けて出発し、名古屋駅から新幹線に乗ったころ、痛みが消えてなくなったそうです。痛み止めの薬を服用せず、ディズニーランドを楽しんでいただいたという話も事実です。
 
来園当日を迎えるまでに、ディズニーランド内の診療所や地域の病院と連携し、「もしものとき」に備えて万全の態勢を整えていました。訪れる予定のアトラクションはすべて把握し、待機するすべてのキャストに伝えていました。幸運にも当時、もしものことは起きなかったと記憶しています。
 
 こうした「小さな奇跡」の手紙などが、どれほど私たちキャストを喜ばせ、感動させ、励まし、勇気づけてくれたことでしょうか。ゲストの方々への感謝の気持ちでいっぱいです。
 
参考
魔法の国からの贈りもの | 上澤 昇 |本 | 通販 | Amazon
 



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