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【連載小説】マジカル戦隊M.O.G.(第5回)

前略

とうとう実戦配備になった。
いよいよ俺たち黒魔道士の本領発揮! って言いたいところだけど、実際はそんなもんじゃない。
また電池だよ、電池。
まぁ、俺が本領発揮したら、生きた人間を火で焼かなきゃいけないわけで、それはそれで助かった感じがするんだけど、それでもなんだか拍子抜け感は否めないな。
複雑だ。

一応マスコミなんかでもう流れてるみたいだから、この情報は公開しても検閲されることはないと思うから書いてみるけど。

新兵器の魔道アーマーって聞いたことある?

テレビやネットで世界中に映像が放送されてるみたいだし、たぶん見たことくらいはあるんじゃないか?
ほらあの、戦車のキャタピラを取って、そこからカニの足を4本生やしたようなやつ。
俺たちはこの度、あれの補助動力源として「搭載」されることになっちまった。
そうさ、操縦するのは非保持者のパイロット様だ。
俺たちはただ、マシンの動力源として中に入るだけだ。
魔道アーマーの中心部には、コフィンって呼ばれる金属製のカプセルがあって、その中はなんかドロッとした透明の液体で満たされてて。
俺たちは特殊なスキンスーツを着て酸素マスクをつけられて、その中に入ることになるわけだ。
ま、一度中に入ってフタをされたら、中はもう完全に真っ暗闇で無音だし、しかもふたが閉まると同時にマスクからちょっとした麻酔みたいなものが出るらしく、俺たちは戦闘中は完全に意識がないそうだ。
気がついたら基地に帰ってきてるか、もしくは・・・天国か(いや、むしろ地獄だろうな)。
まさに文字通りコフィン、つまり「棺おけ」って寸法だ。
俺たちから効率よくMPだけを吸い取るシステムらしいんだけど、もしかしたら入ったら最期かもしれないと思うと、正直、今かなりビビってる。
自分の運と、あとパイロット様の腕を信じるしかないわけだからね。
で、肝心のパイロットと俺たちの組み合わせは、なんと毎回ランダムらしい。
パイロットと電池の余計なトラブルを防ぐ目的らしいけど。
つまり、やっぱり最後に頼れるのは自分の運だけということになる。

俺、パンを取り落としたら、必ずバターの面が下向きになるような人間なんだけど、何回生きて帰ってこれるやら。

自分の力でどうこうってわけじゃない、変な環境になってきたけど、今のところどうにか生きてる。
そっちはどうだ?
この内戦が大国同士を衝突させる引き金になるかもとか言われてるけど、今のところまだそっちは大丈夫なんだろ?
今の俺みたいになっちゃうと何とも言えないけど、お前は結局最後は自分の力で何とかしなきゃいけない。
間違っても、奥さんを残して戦争なんかに参加しちゃ駄目だぜ?
あ、だからといって一緒に来ても駄目だ(笑)。
なんだかんだ言ってもさ、結局、命は大事だと思う。
俺が死んでも代わりの電池はあるわけだが、お前が死んだら、俺の友達に代わりなんてないからな。

俺は死なない。
少なくともそのつもり。

おっと、召集だ。
いよいよそのときが来たようだ。
ちょっくら行って来るから、まぁ次の手紙も楽しみにしておいてくれ。

早々


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日南本倶生(みゅんひはうぜん)
「ニンゲンのトリセツ」著者、リリジャス・クリエイター。京都でちまちま生きているぶよんぶよんのオジサンです。新作の原稿を転載中、長編小説連載中。みんなの投げ銭まってるぜ!(笑)