【25日目】選びなおす練習『断捨離』
◆許すことはモトを「与える」こと
さて、人間が行う最も難しくて尊い行為『許す』ために必要なツールである「あきらめる」「選びなおす」の話をしました。今回から、これらをどう使って「許していくか」をもっとくわしく見ていきます。
『許す』行為は「幸せな人生を『つくる』ための最強ツール」だと説明しましたよね。だからとても重要なのですが、なにせ『難しい』行為だとも書きました。なぜ難しいのかというと、一旦不快な気持ちになることを自分で「そのままにしておこう」と決めないといけないからです。
モトの観点から言うと、モトを奪ってくるものに対して「与えよう」と決めないといけない、ということです。
これは実は、ココロというものは常に【モトあつめ】をしようとするものだから、ココロの自然な反応(モトを奪われるな、という命令である「怒り」「嫌悪感」「恐怖」という感情)に「アタマ」で抵抗しないといけない、という意味でもあるんです。
だから難しいんです。
◆断捨離と「モト」の動き
前回ちょっとだけ『断捨離』という例を出しましたね。断捨離とは、家にあるものを一つずつ「必要なもの」「必要のないもの」に分類して、必要のないものについては「手放して」いきましょう、という『片付け』の手法です。風水が元になっていると聞いたことがあります。
たとえば古い靴や服、もう使わないコーヒーメーカーやミキサー、コレクションというほどでもない本や食器類。そういうものを「ひとつひとつ、自分の手元に残すか、誰かに譲るか、捨てるかを『選びなおす』こと」が断捨離です。
断捨離をすると、かなり「すっきり」します。家が片付くし、自分にとって不要なものもリサイクルなどで誰かの役に立つかもしれないし、捨ててしまったものもかつて世話になった思い出が残るし、悪くないものです。
ですが……『選びなおす』過程では、やっぱり葛藤(かっとう)があるものです。
前にだいぶ役に立ったし、これからも役に立つかも……
まだ使えるものだし、手元に置いといたほうがいいのかも……
大事に使ったものだから、譲った人がぞんざいにしたら嫌だ……
今はほとんど使ってないけど、いつかまた使うかも……
捨ててしまうのが、単純にもったいない……
こういうとき、知り合いに譲ったりリサイクルショップに売るのもそうだけど、きっぱり捨てるとなると、やっぱりちょっと「勇気」みたいなものがいりますよね。
このときのモトを見てみると……
「もったいない」と感じているとき、それはちょっとした「不安」なんです。まだ使える、いつか役に立つかも、そのチャンスを失うのではないか? という漠然とした不安感が「もったいない」の正体です。
不安な「気持ち」なのですからこれは「モトが減っている」=好き嫌いゲージがマイナスに傾いていることを意味しています。
『断捨離』に「思い切り」の気持ち、ちょっとした「勇気」が必要なのは、こういう漠然としたマイナスの気持ちである
「もったいない」にケジメをつける
ため、ですよね。もったいないなぁ、というなんとなくモヤモヤする気持ち(=マイナスの気持ち=好き嫌いゲージが下がる)を【アタマ】で
「いやいや、そうじゃないぞ、手放すと『あとで』スッキリするぞ」
と説得することで「よし、やっちゃえ!」と判断できるようにすることが『断捨離』という行動なわけです。
◆『選びなおす』で「もったいない」を乗り越える
前回説明した『選べ、もう一度!』が、このときも役に立つはずです。
目の前にあるものは、たしかに一度は「必要」だったのかもしれない。けど、僕たちには「未来」という時間がかならず来る。その時も同じように「役立つ」のか? もっと良い何かを新たに「得る」こともあるのではないか?
その方が「自分を幸せにできる」のではないか?(自分ファースト)
そう【アタマ】で考えることで
・履きつぶした靴、選べ、もう一度!
↓
・もったいない、を乗り越えて「手放す」
という選択ができるようになるものです。
『許す』とは「こういう『モトの流出』をそのままにしようという考え」だと前に説明しました。モトが流れ出るんだから、一旦はイヤな気持ちになるはずです。それを【アタマ】で「そのままにしよう」と決めなければならない、というのは、こういうことなんです。
「選べ、もう一度!」にくっつけてみて、それを「あきらめる」。
こうして初めて、それを「手放す」か「手元に残す」かを決めることができます。そして「手放す」ことにしたときに出る「モヤモヤ」を『許す』ために、ちょっとした勇気=「未来について考える力」がいるんですね。
これらが『許す』という行為の「一連の動作」になります。
選びなおす
↓あきらめる
↓許す
この「所作(しょさ)」をよく覚えておいてください。『断捨離』に限らず、僕たちは生きる上で出会うすべての人、モノ、出来事に、これをやっていかないといけないんです……幸せな人生をちゃんと【アタマ】でつかみ取るために。
『断捨離』は『許す』練習に最適です。やったことない人もぜひチャレンジしてみてください。
「ニンゲンのトリセツ」著者、リリジャス・クリエイター。京都でちまちま生きているぶよんぶよんのオジサンです。新作の原稿を転載中、長編小説連載中。みんなの投げ銭まってるぜ!(笑)