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【連載小説】マジカル戦隊M.O.G.(第4回)

前略

元気か?
俺は毎日フラフラよ。
いやープロってのは厳しいもんだね。
いくらしんどくても休むわけにいかないもんな。
しかも、人の命がかかってるんだから。
なーんて、カッコいいな俺。
実際えらいのは俺じゃないんだけどな。

ここは首都から300キロほど離れたところにある地方都市で、戦線は今のところ、ここの郊外から北のほうだとか。
戦場っていったら、なんか鉄のヘルメットかぶった兵隊が、泥だらけになりながらマシンガン片手に匍匐前進をしてる、みたいな世界を思い浮かべると思うけど、俺たちは今のところ戦闘そのものには参加していないから、それはまだテレビか映画の世界って感じかな?
とはいえ、俺がこうやって机に向かってるここからほど近いところでは、それに近いような殺し合いをやってるんだと思うと、自分の国に住んでた頃よりは、戦争を近くに感じてるようには思うね。

で、今のところ、MOGの任務は負傷兵の治療だから、白魔道系の皆さんはホント忙しそうだけど、俺みたいなバリバリの黒ははっきり言って白魔道さんの電池だ。
そう、電池。
白魔道さんのMPが尽きたときに、ロバンナ系の魔法で俺たち黒魔道からMPを吸いとっちゃぁ、また負傷兵の治療に当たるわけだ。
じゃ俺たちは普段何をしてるかって言うと、吸われるとき以外は雑用。
物資をトラックから下ろしたりとか、制服を洗濯したりとか、居留地の掃除だとか。
普段体力を使う仕事をしてないもんだから、こんなちょっとしたことの積み重ねで、もうフラフラしてて。
それに休日とか休暇とか、戦場にはありはしないからね。
俺も土日休んだりしたいよ。せめて週1くらいはさ。

お前もクリスマスくらいは休んだほうがいいぜ?
去年もカミさんを怒らせちまったんだろ?
今年は、休みを取ってあげなよ。
お前だって、彼女がいないと生活が成り立たないことくらい、分かってるだろ?
・・・とはいえ、そうも言ってられない、お前の仕事の事情も分かるんだけどさ。
ハァ、やっぱり神様はロクデナシだ。
まぁいいさ。
俺がそのうち神にでもなってやるよ。
つっても今の神様より、きっとロクデナシなんだろうケドさ。

じゃ、よいクリスマスを。

早々


「ニンゲンのトリセツ」著者、リリジャス・クリエイター。京都でちまちま生きているぶよんぶよんのオジサンです。新作の原稿を転載中、長編小説連載中。みんなの投げ銭まってるぜ!(笑)