【13日目】『役割の押しつけ』とイライラのメカニズム(レンアイのトリセツ)
◆【役割の押しつけ】という「思い込み」
前回【役割の押しつけ】について書きました。今回はこれを『恋人(恋人だった人)にやってしまう』から関係にヒビが入ることがある、という話なんです。
大事なことなのでもう一度書きますが、【役割の押しつけ】というのは自分の中にある
『この人は△△だから、私に〇〇してくれるはず』
という『思い込み』でしたね。「他人の役割」を自分で決めつけてしまっているせいで、実際にそのとおり相手が動いてくれなかったとき「〇〇しないなんて(するなんて)おかしい!」というイラ立ちや怒りが起こるんでした。
これは相手の行動とは関係がないんでしたね。あくまで『自分の思い込み』が原因なんです……相手もただの人間なんだから。
こういうことが、恋人同士や夫婦の間でも起こるんです。
◆パートナーに対する「思い込み」
僕たちには、恋人や配偶者に対してもそういう『思い込み』で無意識に(習慣、でしたね)接していることが、よくあるのではないかと思います。
たとえば
・レストランではお金を出してくれるものだ
・出かけるときは玄関まで見送りに来てくれるものだ
・愚痴には付き合ってくれるものだ
・記念日を覚えておいてくれるものだ
などなど。人によっては「そんなの当たり前でしょ?」とお思いかもしれませんが、それはつまり
「相手が自分の恋人(配偶者)だから、やって当たり前だ」
という『思い込み』が出来上がっていて、自分で気がついていないということを意味しています。
◆僕たちは自分の【役割の押しつけ】に気づいていない
この『自分で気がついていない』のがやっかいなところです。
入門編・初級編でだいぶ書いたとおり、僕たちの普段の生活の大部分はこの「無意識の習慣」によって支えられています。これはこれで便利なのですが、自分が「愛すべき」相手の行動にも、この「習慣による対応」がなされることがよくあります。
それで円満にいけばいいのですが、時々この
【役割の押しつけ】どおりにいかない日
があって、そのときにはどうしてもトラブルになりますよね。
前回の「お母さんが朝食を作らない」例のように、
・恋人なのに私の誕生日を忘れるなんて!!
・奥さんなのに家事ができないなんて!!
・旦那なのに失業して稼ぎがなくなるなんて!!
というように、相手が「自分が思っていた【相手の役割】から外れる」ことがあるわけです。
こういうとき「イライラする」「怒ってしまう」ことはよくあることだと思いますが、恋愛スイッチがONの間は「有り余るモトの量」でカバーできてしまいます……相手と一緒にいるだけでモトがどんどん増産されるんでしたね。
ですが……恋愛スイッチがOFFになった後は、こういう【役割の押しつけ】によって減ったモトが、自動的に補充されません。だからイライラが募って、ケンカばかりのカップルになってしまったりするんですね。
◆その「イライラ」は誰のもの
前に書いたように、恋愛スイッチが切れたあとのカップルに残るのは
純粋な『人間関係』
なんです。ここで相手に無意識に「恋人としての役割」を押し付けちゃうから、相手にイライラしてしまうんです。
ここで大切なことは……この時相手がどうであろうと
『自分が勝手に怒っているにすぎない』
ということです。
これは「当たり前」にアタマが支配されている間はなかなか分かりづらいことかもしれませんが、入門編や初級編で書いてきたとおり、怒っているのは「あなた」であって、あなたの周囲の状況というのは、あなたがコントロールしているかどうかに関わらず
「ただ起こっていること」
に過ぎないんです。そこであなたがその状況を無意識に「アタマで解釈」しているから、ココロに「怒り」がわいてきているんです。ABC理論の話を思い出してください。
もしあなたがカップルのパートナーに「イライラしっぱなし」なんだとしたら、一生懸命に相手の行動をコントロールしようとしても、なかなか改善しないはずです(そもそも僕たちは他者をコントロールできません、他者なんだから)。それよりもむしろ、自分自身の「アタマ」がその状況を「どう解釈しているのか」という自分自身の『無意識の習慣』について、じっくり考えてみるほうがいいのかもしれません。
(初級編でも書きましたが、もし暴力や暴言、金銭的な被害にあっているなら、まずは逃げて下さい。考えるのはそれからです)
◆まずは自分の「思い込み」に気付こう
ですから結局、まずは
「自分の【役割の押しつけ】に気づく」
ことが大事なポイントです。
相手に対して何か不満が出たとき、その気持は「なぜ」起こったのか? をご自身でよく検討してみてください。その際に役立つのは、初級編でたっぷりお話しした
モトの動き
です。ネガティブな気持ちがあるということは、モトが減っているということなので
「なぜ減ったのか」
を考えると、自分で気づかなかった【習慣】を知るきっかけになるはずです。
もし何か新しい気づきがあったら、ぜひ「次の機会」に活かしましょう。時間が過去から未来へ流れているのは「過去にやってしまったことを、未来に繰り返さないようにする」ためでもあります(この辺は上級編で)。
自分が変わると、相手も変わります。先に変わるのは、自分の方です。
では次回はこの話の深淵である「浮気」をどう扱うか、という話です。お楽しみに!