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【9日目】自分が「困った人」だったと気づいたら(カンジョウのトリセツ)

◆一番目のモトあつめを「してしまう自分」に気づいたら

 前回紹介したような「イヤな人のモトあつめ」は、ココロのネガティブな気持ち……イライラやムカつき、ハラハラする気持ちを埋めるために、あなたからモトを取ってこようとする行動なんでしたね。

 今回はひるがえって、自分のモトあつめとして「そういうこと」をやってしまうことに気づいたとき、どうするのか? という話をしましょう。

 前回の「ネガティブなモトあつめ」の例、

・顔を見るたびに大声で怒鳴る
・ついつい心配なことを言ってしまう

こういうことに加えて

・やたら人にモノをあげたがる
・ついつい人にモノを教えたがる

こういうことも、結局「なんかスッキリする」からやってしまうことで、結局は

「一番目のモトあつめ」(奪うモトあつめ)

なんです。 

 誰かから食べ物や品物をもらうときや、誰かに情報を教わるときというのは、相手に特に注意を向けるものです。注意を向けると、そちらにモトが飛んでいきますので、それを利用して「自分のモトを増やそう」としているのですね……ハトの餌やりの例を思い出してください。

もちろん、それで相手が
「助かった!ありがとう!」
と言ってくれるなら、それは「親切」になるのですが、頼まれてもいないのに押し付けがましく「親切をしようとする」のは、相手を逆にイラ立たせたり、めんどくさいなぁというネガティブな気持ちにさせてしまうものです……『小さな親切、大きなお世話』という言葉もあるくらいです。
 ネガティブな気持ちになるのは、モトが減るからですよね。相手にそういう『大きなお世話』な気持ちが出るのは、あなたが相手からモトを吸っているからにほかならないんです。

◆一番目のモトあつめが「習慣化」していないか

 こういったことも「習慣」のひとつです。自分で気がつかずに、ついついやってしまう「悪いクセ」ですよね。ですから、まず自分の行動がこういう「ネガティブなモトあつめ」になっていないかを、一つ一つ検証していく必要があります
 今日のお休み前にでも、自分の一日の行動を振り返ってみて「一番目のモトあつめ」をどれくらいやっているのか……ちょっと考えてみて下さい。
 実際問題、これまで「モトの動き」なんか意識して生活してきた人はほとんどいないと思うので、ともすればほぼ全部が「一番目のモトあつめ」になってしまっていた……なんて人もいるかもしれませんね。

 自分がどんなモトあつめをやってきたか、がよくわからない人は、相手を「どのくらいイラつかせたか」に注目して下さい。意図せず相手をイライラさせてしまったり、怒らせてしまったり、がっかりさせてしまったり……そういうことはよくあることですが、相手に「ネガティブな気持ち」が出ているということは、相手のモトを「あなたが奪ってしまった」証拠のようなものです。

 こういうモトあつめを「習慣的に」やってしまっていないかどうか、そういうことを自分でチェックしてみるんです。これはちょっと大変な作業になるかもしれませんが、一度やると二度目は楽チンになります。ぜひやってみて下さい。
 そして、もしそういう「習慣」ができているなら、自分で意識して「変えよう、やめよう」としてみるんですね。

◆「習慣」を変えるには「アタマ」を変えるしかない

 これが「アタマを上手に使う」ということにほかならないんじゃないかと思っています。ABC理論の「B=信念」をアタマを使って変えていく、ということです。

 日常で何かそういう気づきがあったら、試しに「違うやり方」をやってみて下さい。

 相手のいいところを見つけたら、そんなの僕だってできるもん、と意地を張るんじゃなくて、ちゃんと口に出して
「すごいね!いいね!」
ホメてみる

 相手が頑張ったのを見たら、そのくらい当たり前さ、とツンケンするのをやめて、ちゃんと口に出して
「頑張ったね!お疲れ様!」
ねぎらってあげる

 相手がなにか失敗したら、バカにして笑い飛ばすんじゃなくて、ちゃんと口に出して
「残念だったね……次は頑張ろうね」
励ましてあげる

 こういうことが少しずつ積み重なるにつれて、あなたという人の印象は少しずつ変わってくると思うし、周囲の人もモトを増やしていい気持ちになるので、あなたも相手も「場のモト」の量が増えていい気分になる、という経験をする機会が増えるはずです。

 こういう『二番目のモトあつめ』が重要だ、とこれまでずいぶん書いてきましたが、結局どうしてそうなのかというと「自分のモトが効率よく増えるから」なんですね。

◆「奪い尽くす」より「増やし合う」ほうが栄える、ということ

 例えるなら「狩猟生活」と「農耕生活」に似ています……そこら中の草や木の実を食べ尽くしてしまったら、もうあなたには何も残りませんが、あなたに大地のめぐみを分けてくれる植物を育てることで、その先もずっと食べ物を得やすくなるのですよね。

 モトも同じです。他の人といい関係を結ぶと、今後もあなたと一緒に『二番目のモトあつめ』をやってくれる可能性が高まります。だって、『一番目』で奪われてイヤな気持ちになるんじゃなくて、その人自身もあったかくて幸せな気持ちになれるからです。

 結局のところ、今まで「相手のために」とあなたが思っていたことも、モトあつめという観点で見れば「自分のため」にやっていることに過ぎないのだ、ということです。昔からよく言われるように

『情けは人の為ならず、己がためにするものぞ』

というのは、モトの観点からはまさに「言い得て妙」なのですね。このことをいつでもアタマの片隅にでも置いておくと、自分の「習慣」に気づきやすくなります。

 ……もちろん、相手に暴力をふるったり暴言を吐いたりするのは論外です。そんなモトあつめをする必要は一つもありませんので、今すぐにやめましょう。

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日南本倶生(みゅんひはうぜん)
「ニンゲンのトリセツ」著者、リリジャス・クリエイター。京都でちまちま生きているぶよんぶよんのオジサンです。新作の原稿を転載中、長編小説連載中。みんなの投げ銭まってるぜ!(笑)