好き嫌いゲージ2

2-2:モトとココロと『好き嫌いゲージ』(人生はなぜ辛いのか?と思った時に読む『モト』の話)

2-2:モトとココロと『好き嫌いゲージ』

ココロは『モト』の薄いカタマリ

 第一章で「モトはココロの燃料だ」と書きましたよね。ココロが動く時にモトが使われるのだとか、モトがたくさんあると幸せを感じやすいとか。

 実は、ココロそのものが、モトの薄いカタマリなんです。どれぐらい薄いのかというと、それこそ現代の科学では観測ができないほど薄いんです。
 現代の科学では、物質を形作るまでに集まっているモト(でできた粒子)は観測できるのですが、それ以下の「生のモト」を観測することはまだできていません。
 なので、僕たちのココロが実際にどの程度のモトを持っていて、気持ちの変化によってどんな風にモトが増減しているのか、なんてことは、まだ機械ではかることができないんです。

 ですが実は、僕たちのココロには生まれつき

「モトの量をはかる機能」

がついています。僕たちは24時間、その機能を使って自分のココロが持っているモトの量を、大雑把にはかりながら暮らしています。

 僕はその測定器にあたるもの、ココロの機能を

「好き嫌いゲージ」

と呼んでいます。


「好き嫌いゲージ」とは何か

 「好き嫌いゲージ」とは、文字通り「好きか嫌いか」を量るためのゲージ、メーターのようなものです。好き嫌いゲージはもちろんココロの中にあるものなので、目には見えません。見えませんが、意識するしないに関わらず、僕たちは常に世界をこの好き嫌いゲージではかりながら暮らしています

 では、好き嫌いゲージというものはどのようなものかというと・・・本当は目に見えないのですが、説明する都合上、もしそれが目に見えたらどんな感じなのか、という話をしますね。

 まず、横向きに直線を書きます。右端に「好き」を、左端に「嫌い」を書きます。そして、その中央に点を書きます。
 出来上がり! 簡単ですね。僕たちのココロは、目にしたもの、聞いた音や言葉、体験したことなどを、すべてこの「好き嫌いゲージ」に照らしながら暮らしています。


「好き嫌いゲージ」は感情の源

 好き嫌いゲージには、今の気持ちが「ゲージのどの辺りか」を示す針のようなものがついています。そして、その針が好き嫌いゲージのどの辺りを指しているかによって、ココロが動くわけです。

 例えば、チョコレートケーキを見たとしましょう。
 それはなんだか茶色くて四角い物体、いい匂いがする。
 まずそういう「カラダがとらえた情報」があります。
 それをもとに「アタマ」が過去の体験からそれを「チョコレートケーキという物体である」と認識します。
 アタマが状況を見極めたら、今度はココロが好き嫌いゲージを動かして、それが自分にとって「好ましい」か「好ましくない」かを判断します。

 もしあなたがこのチョコレートケーキが好きなら、好き嫌いゲージの針はグイッと「好き」のほうに揺れます。

 そしてもしチョコレートケーキが苦手だったら、そのときは逆に好き嫌いゲージの針が「嫌い」の方にグイッと揺れます。

 もし何の興味もなければ、好き嫌いゲージは真ん中の点を指します。

 その結果をもとに、ココロは気分や感情を発生させます。チョコレートケーキが好きなら「嬉しい」気持ちになるだろうし、嫌いなら「嫌悪感」が湧くかもしれません。何の感情も起こらないこともあります。そのときはきっと、好き嫌いゲージが全然動いていないんだと思います。

 人間には様々な感情がありますが、すべての感情の源にはこの「好き嫌いゲージ」があります。好き嫌いゲージの針がどの位置にあるか、そして、どういう風に針が動いたかによって、ココロは様々な感情を発生させるのです。


「好き嫌いゲージ」とココロの燃料「モト」

 そして、この針の「動き」に使われるのがモトです。好き嫌いゲージの針が動くとき、必ずモトが使われます。
 使われたモトは、注目した対象に飛んでいって、場合によっては「消滅」します。針を動かすと減るので、この現象は「ココロの燃料を消耗している」ようなものなんです。
 だから、前章から繰り返しているように「モトはココロの燃料」だと言えるのです。

 燃料であるモトがたくさんあると、ココロが好き嫌いゲージを「好き」のほうに動かしやすくなります。それゆえに、僕たちのココロはモトが多いほど幸せを感じやすいのです。

(続く)

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日南本倶生(みゅんひはうぜん)
「ニンゲンのトリセツ」著者、リリジャス・クリエイター。京都でちまちま生きているぶよんぶよんのオジサンです。新作の原稿を転載中、長編小説連載中。みんなの投げ銭まってるぜ!(笑)