【8日目】恋の落とし穴②「破局のドラマの『内幕』」(レンアイのトリセツ)
◆『命令系統の逆転』が逆転する
さて、恋愛スイッチがOFFになったアルファ。その後どうなるのかというと……。
(筆者注:前回のあらすじ……恋人同士のアルファとベータ。ある日アルファが急に冷めました、二人はどうなるの?)
恋愛スイッチというのは「カラダからの命令」でしたよね(繁殖の命令です)。これがOFFになった瞬間、脳内ホルモンの分泌がピタッと止まり、恋の気持ちがスッ……と消えます。場合によっては本当に「一瞬」で消えます。それまで、相手の姿を見るだけでトキメキが止まらなかったのに、この瞬間を境にココロが全然動かなくなってしまうんです。
そうなるとどうなるか……ココロが
「恋の気持ち」を出すのをやめてしまう
のでしたね。具体的には、それまで無尽蔵に湧いていた「モト」が、生まれなくなるんです。
恋の状態のときは、相手に対して
カラダ → ココロ → アタマ
の順番で気持ちが出てきますが、【恋愛アピール】が終わってしまうので
カラダ → アタマ → ココロ
という通常の思考状態に戻ってしまうわけです。
前に書いた『命令系統の逆転』が終わってしまうんですね。
ですから、アルファは相手のことをとても冷静に見るようになります。そして、恋をしていたときには気づかなかった(もしくは見ないふりをしていた)相手の「イヤな接し方」に気がついてしまいます。
これが恋の「終わりの始まり」です。
◆アルファの態度の変化とアルファの『モト』の変化
そんなある日のこと。まだ「恋愛スイッチがON」の状態であるベータが、いつも通り【恋愛アピール】をしてきます。恋愛アピールは、相手に好かれるために、こちらの注意を相手に向け、モトをどんどん送る行為でしたね。
ですが、相手の気を引こうとしているわけですから、アピールされたアルファはモトを送られてはいるものの、やっぱり
注目し返した分だけ減らしてもいる
んです。これが恋愛アピール【合戦】ならお互いの間で増えたモトが循環するんですけど(だからそばにいるだけで「気持ちいい」んでしたね)、片方がすでに冷めている現状では……アルファは
「うっとうしさ」
を感じ始めます。
これはマイナスの気持ちですよね? マイナスの気持ちが出る、ということは「モトが減っている」ということです。
モトを減らしているアルファは、恋愛アピール合戦のときのような「モトの交換」ができなくなっています。アルファ自身の「恋愛スイッチ」がOFFになってしまっているので、ココロが勝手にモトを生み「出さない」からです。だから【恋愛アピール】で気を引いてくるベータに対して送り出したモトを、単純に減らしてしまっているのです。
こうして、ベータのアピールに応えられなくなったアルファの態度は、どんどん冷たくそっけないものに変わっていきます。
◆ベータの「恋の終わり」
このとき、ベータはどう感じ、どういう態度を取るようになるでしょうか。
ベータはまだ恋愛スイッチがONなので、あふれる恋心をどんどんアルファに向け続けます。そしてもちろん、今までどおりにモトが「返ってくる」つもりでいます。
ですが……アルファの恋心は終わっていますので、もうモトを生み出していません。当然、ベータが期待していたほど、モトが返ってこなくなります。こうなると、ベータのモトの量に
【送り損】
が発生してしまうようになります。いくら『恋愛スイッチ』によって無尽蔵にモトが湧いているとはいえ、相手の態度があまりにそっけないと、ココロは「以前みたいに、期待したほどモトが増えない」と敏感に察知し、『好き嫌いゲージ』がじわじわと下がっていきます。
このとき、ベータはアルファと一緒にいても前みたいに心地よさを感じなくなるので(今までみたいにアルファからモトが返ってこないので、ベータのモトが増えなくなって)、「あれ?」という違和感を感じるはずです。
ここででしゃばってくるのが「アタマ」です。アタマは「習慣」で行動しようとするので、ベータのアタマは「この人は、今でも自分のことが好きなはずだ」と習慣的に判断し、今までと同じ行動を取ろうとします。
つまりやっぱり、しばらくベータの恋愛アピールは続くんです。
こうしてベータの【送り損】がかさんでいき、いつかベータも「モトを減らす」時が来ます。モトが急に減ると(好き嫌いゲージが急に下がると)どうなるんでしたか?
そう、「怒る」んです。
ベータはアルファの態度に「怒り」を覚えるようになります。
こうなると、ベータの恋愛スイッチもOFFになってしまいます。こうして破局のドラマが幕を開けるわけです。
「ニンゲンのトリセツ」著者、リリジャス・クリエイター。京都でちまちま生きているぶよんぶよんのオジサンです。新作の原稿を転載中、長編小説連載中。みんなの投げ銭まってるぜ!(笑)