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【4日目】本当は恐ろしい『恋愛中毒』(レンアイのトリセツ)

◆恋愛には『中毒性』がある

 『恋愛中毒』……ちょっとコワい響きですよね。今回はこの、恋愛の中毒性についての話です。

 『恋愛中毒』というのは、「恋がしたい!」という考えが先にあって、とにかく相手を探そうとしてしまうことを指します。恋愛には実は

「中毒性」

があるという話なんです。こういう「恋愛の中毒性」について考えたこと、ありますか?

 考えてみたら、恋というのは「相手」がいるから「落ちる」ものですよね。素敵な相手がいる、『恋愛スイッチ』がONになる、キューンとなる、という順番なはずです。

 ですがこの『恋愛中毒』という状態になると、この「キューン」が欲しくて「相手をとにかく探そう、ダメだったら次の相手に行こう」という、通常とは「逆の発想」で恋愛をしようとするようになります。

 世の中の女子たちは(男性もですが)恋バナが大好きですよね?(もちろん全員ではないですけど)。誰と誰が付き合ってるとか、誰が誰を好きだとか、誰と誰が結婚間近だとか……学校のクラスや職場、ご近所さんにとどまらず、テレビや映画の人気者たちのウワサなんかもよく話題に上がります。そういうゴシップ専門の番組すらあります。

 そうして、自分自身も「恋をしているか否か」でずいぶん葛藤(かっとう)しているもんです。人によっては「誰かに恋をしている状態」が当たり前で、そうでない状態は寂しくて、虚しくて仕方がなかったりするようです。

 繰り返しますが、恋は本来「相手がいるから始まる」ものなのですが、僕たちは考えてみると「恋」そのものを求めてしまっているんです。どうして僕たちはこんなにも「恋」を求めるのでしょうか?


◆『恋愛中毒』の「メカニズム」

 ではなぜ僕たちが恋の「キューン」な気持ちを欲しがるのか? という話を、モトの観点から見ていきましょう。もちろんこの『恋愛中毒』の状態にもモトによるメカニズムが存在します。

 実は『恋愛中毒』には、前回登場した『恋愛スイッチ』『好き嫌いゲージ』が関係します。
 思い出してください。僕たちは恋の状態になるとココロの

モトが勝手にマックスまで増える

んでしたよね。

 実際問題、こんなに「幸せな気持ち」になれる方法なんて、他にはなかなかないんです。
 初級編で話してきたように、僕たちの日常生活ではさまざまな場面で「モトの奪い合い」が起こっていて(一番目のモトあつめ、でしたね)、好き嫌いゲージが「好き側マックス」になることなんてめったに起こらないんでしたね。
 ですが……カラダが『恋愛スイッチ』をONにする、たったそれだけで『好き嫌いゲージ』が「好き側マックス」の状態に勝手になっちゃうんです……こんなにも手軽な「幸せ」を得る方法は、恋愛以外では本当にまれなんです。

 だから、一度でも「恋の喜び」を体験してしまうと、ともかくもう一度「あの状態」(=好き嫌いゲージMAX)になりたくて

「相手」よりも「恋の気持ちそのもの」を求める

ようになってしまうんです。

 これが『恋愛中毒』の正体です。


◆普通の状態が「苦痛」に変わる『恋愛中毒』

 ちまたではよく「恋に恋する」なんて言い方をしますが、まさにこういう状態をモトの視点から『恋愛中毒』と呼んでいるわけです。そこにもこういった「メカニズム」が存在するということです。

 もちろん、それで幸せならいいんですけど……でもね、恋愛中毒の状態になってしまうと、

「恋をしていない状態」が苦痛になってしまう

んですよね……これは「今は相手がいない、だから寂しい、恋がしたい!(このさい相手は誰でもいい)」という発想でもあります。

 この「発想」をよく見てほしいのですが……「恋をしていない」「恋人がいない」状態というのは、特に「異常」ではないんですよね。これはニンゲンという一介の生物として、普通に生存している状態、と言えます。

 恋は素晴らしい気持ちですし(ゆえに苦しみも多いですが)、恋ほどココロをキモチヨクする(効率よくモトを増やす)ものはないと言えますが、だからといって「やってないなんておかしい」というものでもないんです。だって、モトには他に増やし方がありますし、慣れれば恋ほどではないものの、意識的に好き嫌いゲージを高止まりさせて生きることもできるようになるものですから。

 だからそういう『普通の状態』が「恋をしていないなんて寂しい! ツライ!」という『異常状態』になってしまっている、というのがこの『恋愛中毒』なんです。

 もし今、ご自分の生活を振り返って「恋人が居ない! ツライ!」だとか「恋人とうまくいってない! 他の人と恋がしたい!」という思いでココロがいっぱいになっていたとしたら、それは『恋愛中毒』かもしれません。お付き合いしている「相手」ではなく「恋に恋している」のかもしれませんね。


◆恋と「人間関係」という視点

 恋愛にはいろいろな形や人それぞれの関係性が在るものですが、いずれにせよ恋愛の関係には「相手」が必要ですよね。まあ当たり前の話ではあります。なぜなら恋は「性欲」ですから。

 ですが……それは別の視点から見たらやっぱり

「人間関係」

なんですよね。始まるきっかけは「恋愛スイッチ」というカラダからの信号なんですが、相手とお付き合いするまでの過程やお付き合いが始まってからのモロモロ、そして破局したり結婚に至ったりして、そこからの関係性……こういうのも全部やっぱり結局は「人間関係」なんです。

 この人間関係がおろそかだと、恋仲になっても結局は破局しちゃうわけで、だからもし長続きするおつきあいを望むなら

「恋の気持ち」だけでは足りない

ということが言えます。恋の気持ちはあくまで『恋愛スイッチ』がONになっているから起こる「現象」であって、その先は初級編で話してきたような「人間関係」だからなんです。

 恋は「魔法みたいだけど、万能ではない」ということです。あなたも

『恋愛中毒』

になっていませんか? ご自分の「ツラさ」をよく振り返ってみてくださいね。

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「ニンゲンのトリセツ」著者、リリジャス・クリエイター。京都でちまちま生きているぶよんぶよんのオジサンです。新作の原稿を転載中、長編小説連載中。みんなの投げ銭まってるぜ!(笑)