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はんこ問題
気に入って、使いたくって、欲しいと思って買ったはんこが、使いこなせず悲しくなる、というお話。
はんこが使いこなせない。
うまく押せないし、押す場所が見つからない。
ちょっとしたメモやカードを可愛くできそうだと買ったはんこ。スケジュール管理が得意になれるかも、手帳に良さそうと買ったはんこ。大好きなキャラクターのはんこ。お気に入りのイラストのはんこ。みーんな、箱に仕舞われている。
はんこが押せないってなに?
インクをつけてポンってするだけだから、押せるって思うでしょう?
それがちがうのよね。
形はどうであれ、インクが紙にのってさえいればいい、という状態を「押せた」というのであれば、押せてはいる。
けれどちがうの。天とか頭とか呼ばれる、上の部分に描かれた絵柄とおなじ感じが紙の上に出現してこそが「押せた」なのよ。そう思って紙面を見てみたら、私のはんこは、まったく押せていないのだ。
にじむ線、妙に太くなる線、意図せずあちこち欠ける線、キレイじゃない。
ゴム部分の不要な角のあたりや不要な枠線が押せてしまって、格好悪い。
これは、押す場所にも影響される。
綴じの関係で完全に開いてはいない手帳に押すと半分しか写らないことがある。カバーにあるペン刺しがでこぼこして均等に押せないことも、前後のページのデコが微妙な膨らみを作っていて部分的に欠けてしまうこともある。
なので、はんこは、どこにでも押せるというものではない。
加えて、裏ページに染みてしまったり、紙の繊維に滲んでしまったりすると、心底がっかりしてしまう。もうそのノートを使いたくないくらいにションボリしてしまうことさえある。
そうしてどんどん押す場所が無くなっていって、いつの間にか、押す場所を見つけることができなくなる。はんこはキレイに仕舞われたままとなる。
大活躍を期待してお迎えしたのに、まったく使いこなせないことに悲しくなる。
これはどうしたらいいのだろう?
ひたすら練習する?
うん、結構したよ、練習。奇跡の一枚が押せることもあるよ。
けど私が欲しいのは奇跡の一枚ではなく、安定して常にいい感じな印影よ。
シールやふせんに押してから、手帳やノートに貼ったら、裏抜けなんてへっちゃらになる?
だよね。それは私もやってみた。
でもね、切ったり貼ったりをする余裕がないときの方が多いから難しいよ。
おまけに、私、面倒なことが続かない性格だしね。
どうやら努力で解決するのは難しそう。
ならば仕方がない。使って落ち込むなら、使わないほうがいいのかも。
あんまり気持ちのいいものではないから、もう買わないようにしよう。
そう考えたはずなのに、気づくとまた、「あ、これいいな」「欲しいな」と、はんこを手にしているのだから、どうしようもない。
悩ましき、はんこ問題。
これを書きつつ、今、思い出したのだけれど、そういえば、私にとってはんこは、昔から色々難しいものだったなぁ。
履歴書にまっすぐ押さなければいけないと、就活の指導員さんに何度注意されたことか。
役職の上の人がほんの少し上になるように、はんこを押す位置を直しなさいと、よくお局様に怒られたなぁ。
書類の枠内に常に一定に受付印を押す後輩に、先輩のは汚いって笑われたっけ。
そうだ、はんこは昔から悩ましいものだった。
もうはんこは諦めよう。
そう言いつつ、またちょっと押してみたり、欲しくなったり、してしまうんだけれど。
欲しくて買ったのに、はんこが使いこなせず、悲しくなる。
ううむ、これは文具全般に言えるなぁ。いやいや、もしかしたら暮らし全般に言えるのかもしれない。どうやら、はんこに限った話ではなさそうだ。
人生、日々悩みごとは尽きず。
これも考えすぎる性格ゆえか。。。
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