増えていく食べもの
お気に入りのケーキ屋さんのタルトの中に、いっぺんで大好きになってしまったものがある。
それはルバーブのタルト。
甘くてサクサクのタルト生地の上に、たーっぷりのサワークリームが、ジャムにされたルバーブをサンドしてのせられた甘酸っぱいタルト。
もう初夏はこれなしでは迎えられないと、昨年も心待ちにして食べたし、今年も来年もぜったい食べたいな、と思っている。
今ではすっかり食べ慣れてしまっているけれど、このタルトを初めて目にしたときは思いましたよ、ルバーブってなに、って。
黄色いクリームの真ん中に、赤い、ベリーのようなものがサンドされたタルトの姿から、ベリー系の甘酸っぱいフルーツだろうと予想したものの、その時点では正体不明。それでも、美味しそうな見た目にがまんできず、買っちゃいました。
実際に食べてみると確かに酸っぱいのだけれど、ベリーの雰囲気ではなく、もっと繊維質で、大型の素材かな、そう感じました。
ご存じですか、ルバーブ。
調べてみたら、赤いセロリとか、赤いフキ、といった感じの、ヨーロッパではポピュラーな野菜だそう。
野菜! 野菜のタルトだったのか!
そしてルバーブ、日本では長野での栽培が有名なのだとか。これまた知らなかった!
知らなかった、こんなのあるんだ、そういう食べものが、増えている気がする。なんだろうって、珍しいものを目にしたかと思うと、いつのまにかそれが近所のスーパーにまで並ぶようになっていたり。
ロマネスコってご存じですか。
デパ地下の高級スーパーで、なんだこれは、って、でこぼこ固そうな植物を初めて見たのは何年か前のことだったと思うのですが、今では日々それがふつうに店頭に並んでいるのだからびっくり。
これはカリフラワーの一種で、カリフラワー同様に下茹でして食す、イタリアではポピュラーなお野菜だそう。
シャドークイーンってご存じですか。
シャドークイーン送ったよ。そう言われて思わず、なになに、誰のスタンドなの、って訊きたくなったネーミングですが、これは紫じゃがいも。
2006年に北海道で生まれた、中身が赤紫、外は黒っぽい紫という見た目で、ポリフェノールが多量に含まれたじゃがいもなのだそう。
こうやってあげてみると野菜が多いのかしら。いやいや、そんなことはないな。みかんに似てるけどなんだあの色は、とか、南国フルーツに見えるけど匂いがしないね、とか、果物も増えている気がするよ。
だから、きっともっと、あるのだと思う。じっくり店頭をチェックしていったら、あっちにもこっちにも知らないものが溢れていそう。
情報化社会に置いて行かれないよう、気を付けなくっちゃなんて、昨今のデバイスやらソフトやらの進化に思っていたのだけれど、うかうかしていると美味しい食べものにも疎くなってしまうのね。食いしん坊の私は、食べもののほうにこそ置いて行かれたくはない!
アンテナを伸ばそう。
次はどんなビックリがあるかしら。ドキドキしながらいつものスーパーも探検しよう。
夢のような食材がずらっと並ぶ未来は、考えてみれば、とても楽しみなことである。