【『黒月』の名前の由来】
よく聞かれるのですが、ちょっとしたストーリーがあるのでここにも残しておこうと思います。
私が今はなき某エンタメユニットでヒールアイドルをやっていた頃の芸名が「ブラック・ムーン」でした。
ただそれを漢字に当てただけ……?というと数年前のことを引きずってんのかって話になってしまうと思うのですが(それも面白いけど)、もちろんそれだけというわけではないです。
アイドルとしての活動中、とある番組で将来の夢を語る会がありました。(アイドルとしての夢でなく、もっともっと先の話)
そのとき私が答えた夢が
「スナック黒月をオープンして、今まで出会ってきた人達が集える場所をつくりたい」
というものでした。
私は昔から、人が離れるのが怖かった。
幼少期の出来事が心の奥底に残っていて、そのような状態になっていることは自分でもわかっていて。世の中には死別以外にも望まない別れが存在することを小学生くらいのときに知りました。
「出会いがあれば別れもある」
生きていれば当たり前のことのようで、実はとても悲しいこと。それでも、人生はそれぞれが自分のものなのだから、受け入れなければならないことなんだと思います。
むしろ、今現在、それぞれのいろんな人生の道の中で交差し、同じ空間を共有出来ていることの方が奇跡なのかな…と。
アイドル時代に語った将来の夢は、ファンも戦友もスタッフも関係者も、もっというとアイドルになる前に出会ってきた人達も、みんながそこに集まって昔話を出来るような場所を私が用意したいという思いからの答えでした。
その時は、もっと20年後とかに縁側でお茶を啜るような感覚でふらっと「ムンちゃんのとこ行こうよ~」的な感じをイメージしていたので、時期の話でいうとかなり早まったかも。
『アイドル』という場所がなくなってしまったときに、会える機会をつくることってなかなか難しいと思うのです。
姿を消す。思い出として輝く。
という選択も素敵だと思います。
むしろ、アイドルとしてはそっちの方が正しいのかな…私はそれが出来なかったから売れなかったのかな…笑
それでも私はとても人間臭くて泥臭くて、人に執着してしまうから。
私の方から、また会える場所をつくりたいと思いました。
確執があった人も、何年か経てば一緒にお酒が飲めたりするのかなー?とか思ってしまう。
だから私は例の昨年の年末の出来事。
某エンタメユニットのあの人が黒月を訪ねてきたのは驚きと共に嬉しさもありました。
色々あって直接会ったりは出来なかったのですが、まだちょっと早かったのかな…と。
コロナ禍で「会える場所」がどんどん減っていった中、演者さん達がつくってくれている「今」としての会える場所。そして、私達が生きてきた中で出会ってきた人達が集える「時空を超えた」会える場所。
私がここでお店をやっている以上は、ここにいる以上は、みんなが会いたいと思ってくれたタイミングで会いにきてもらえるんじゃないかな。
私自身の、「別れの怖さ」に対しての答えがお店を出すことだったのかなと思います。
生きていると出会いも別れも色々あるけれど、私はいつもここにいるよ。という気持ちでいます。
ムンヒジュ