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私、障がい者手帳を持つの?~手帳取得するまで~

障がい者手帳について、どんな印象を持っているだろうか。
障がい者手帳を取得する前の私は、自分には縁のないものだと思っていた。
心のどこかで障がい者手帳を持つ人というのは、目に見えて障がいとわかるものがあると思っていたのだと思う。

だから、何も考えられなくなった。
障がい者手帳の取得を提案されたときには。


まず初めに

ここでは、障がいのがいの字をあえて平仮名で表記している。
今の職場の研修で、障がい者は害ではないのに害とつくのは変だという話を聞き、共感した。
(実際はもっと、感動するような言い回しだった)
だから私は、障がいと書きたい。

私の病状

今の私が抱えているものを列挙する。

1.ナルコレプシーⅡ型

最大の敵。
居眠り病ともいわれるが、これが居眠りで片づけられるなら、とっても危険だと思う。
眠りに入った瞬間、本人は気がつかない。意識が飛んでいるのだ。
立ったまま意識が飛ぶこともあり、バランスを崩すこともしばしば。
また、夢が現実的過ぎて現実との区別がつかなくなることもある。
しかし、障がい者手帳の対象にはならない。

2、うつ病

もともとは適応障害で診断されていたが、手帳を取得するときにはうつ病に進化していた。
希死念慮は悪友。大学生の頃からずっと一緒にいる。
(今は少し軟化)
正確にはうつ病のくくりではないだろうが、離人症もある。
常に生きている感覚がなく、ベールに包まれている感じ。
自分が他人に感じ、感情が遠い。
大学生以前の記憶があいまいなので、思い出話は不得手だし、何ならその日に起きた出来事でも飛んでいることがある。

3、ADHD

グレーゾーン判定が長かったが、手帳を取得するときには病名に追加されていた。
実家にいた頃はものが片づけられず、自分の部屋だけ汚い。
計算ミスや、漢字テストで線が一本抜けているなどのケアレスミスはしょっちゅう。
上京してからは、忘れ物で家に引き返さない日の方が少ない。


手帳を取得するまで

最後の決め手:ベンチャー企業

3社目でのことだった。
年齢に対してかなりの転職を繰り返している私だが、大きな目標があった。

コンテンツマーケティングがしたい。

あわよくばアマチュア同人誌を有名にする活動をしたいと考えていた。
だから、IT系の会社に入社した。
初めての出勤。言われた一言。

なんで雇ったのかわからない。

応募は400名を超えていたという。
その中で選ばれた私を雇った理由は特にないのだと。
嫌な予感がした。

その直後、新しいとっても優秀な人が雇われてきた。
私はその人と比べられ、出来が悪いことを遠回しに言われた。
普段のコミュニケーションはできるが、仕事のコミュニケーションは下手だとも言われた。
毎日のように飲み会があり、あるときに私が小説を書くことを知っている上司がBLも私の範疇内にあると知り、BLめいた発言をさせようとした。
毎日のように、職場で泣いていた。彼らは怒ったりなどしない。極めて冷静に、遠回しに私は仕事ができないといい続けただけだ。
残業時間は10時間と聞いていたが、40時間が当たり前になっていた。

そのうちに、クリエイティブ担当に回された。
別の上司に、クリエイティブは金にならないからいらない存在だといわれた。

ついに私は決壊し、休職を進められた。
同時に休職して戻ってくるのはしんどいだろうから、退職するべきだと勧告された。
その通りなのだろうと、従った。

この会社に勤めて帰宅すると立ち上がれなくなったり、会社で泣き出すようになったことに初めて、精神科に通うことになった。
限界のときに、ネットの海を泳いでいたら勧める記事を見つけたのだ。
休職する寸前に、適応障害の診断書をもらったが、出番はなく退職となった。

いつも通り診察に行って、いつも通りの話をした。
すると、先生は言った。

手帳の取得をしよっか。

一瞬、手帳という単語が理解できなかった。
だから返事は、きっと遅れた。いや、なんて返したかなんて覚えていない。
とにかく、なんだか自分の中にぽっかり穴が開いた気がした。

報告:両親へ

手帳を取得することに迷いが生じた。

きっと迷ていたのではなくて、怖かったのだ。
手帳を取得して、明確に障がい者と認定されること。
今まで健常者だと思っていた自分がいなくなること。

別に、手帳を取得したところで私は私であることを理解できていなかった。

親に連絡した。手帳の取得を進められたが、迷っている、と。

取得したければ、取得すればいいんじゃないですか。

返信を見たとき、私の中で確実に何かが崩れた。
私の両親は、私に過干渉で愛情のない親では決してない。
ナルコレプシーの診断を受けた他ときにも、よくわかっていたとは言えないが、話をきちんと聞いてくれた。受けいれてくれた。

わからなかった。
けれど私は、かなり泣いた。
そして、手帳の取得を決めた。


手帳を取得してみて

よいことの方が、結果として多かった。
自立支援の対象にはならないナルコレプシーの薬価代は高いので、その他の部分で割引が効くのはありがたい。
今の職場には手帳がないと入社できなかったので、取得しておいてよかった。

そして怖がっていたこと。自分が自分ではなくなってしまうようなことはもちろんない。
手帳を取得して自分が障がい者という立場になってから、他の障がいにも興味を持つ配慮する視点が広がった。
きっと、以前の私にはなかったよい部分が手帳の取得をきっかけに芽生えた。

だからもし、手帳の取得に迷っている方がいたら背中を押したい。
怖いことなんてない。
変わることなんてない。
きっと、あなたの役に立つから。

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