ひねくれサウナ 〜サウナ嫌いも好きにならざるを得ない、最高のタザワコサウナ@秋田県田沢湖
先日、と言ってももう数ヶ月前なのですが、「サウナが嫌いになりました」という記事を書きました。詳しくは以下をお読み頂ければと思うのですが、わざわざ本場フィンランドはヘルシンキまで行ってサウナの文句を書き連ねるという筋金入りのサウナ嫌いの私が、日本で最高のサウナに出会い、サウナが好きになりました。手のひらを返すとはこのことなのですが、本心なのです。まあ聞いてください。
1.秋田に旅行に行きました
事のきっかけは友人と秋田に旅行に行ったことです。どこに旅行に行こうかという話になった際、サウナが好きな友人のプレゼンで「タザワコサウナ」というものがあるから行きたい、と秋田行きが決まりました。
もちろんサウナ嫌いの私としてはサウナなんてどうでもよく、一番の目的は美術館でした。藤田嗣治(ふじたつぐはる)という画家が前から好き、、、というか個人的に興味があり、秋田県立美術館にある「秋田の行事」という壁画が見たいと思っていたのです。秋田はこれまで人生で一度も行ったことが無い県だったこともあり、サウナにはまったく気乗りしないにせよ、他に熱くプレゼン出来る行き先も無いしなと思いました。
東北にお住まいでない方。秋田が近いというわけではない方なら、何をもって秋田を旅行先に選びますでしょうか。
なまはげ・秋田犬・秋田美人
竿燈まつり
角館の武家屋敷・乳頭温泉
きりたんぽ鍋と比内地鶏と稲庭うどんと横手焼きそばとしょっつる
新政、雪の茅舎、福小町、高清水、刈穂、大平山、、、etc(全部日本酒です)
がんばって絞り出しても、これぐらいしか普通は思いつかないのではと思います。藤田嗣治が気になるという人はあまり多くないのではと思います。 だったら青森で奈良美智さんがいいです、という方のほうが多い気がします。
というか、わざわざ秋田になまはげが見たいと思って行く人がどのぐらいいるのでしょうか。千葉のネズミに会いたいとか、熊本のクマに会いたいとかなら全然分かります。百歩譲って沖縄のシーサーに会いたいも分かります。
ただ秋田のなまはげに会いたいはあまり分かりません。秋田犬に会いたいもよく分かりません。しかし、なまはげと秋田犬以外の知名度、あまりなくないでしょうか。佐々木希さんみたいな秋田美人に会いたいとかっていう不埒な輩の方がまだ多いのではないでしょうか。
まあそんな秋田旅行のメジャーどころではありませんが、タザワコサウナは素晴らしかったのです。まったく期待していなかったサウナ嫌いの私すらも心を揺さぶられました。秋田には、なまはげでも、秋田犬でも、ましてや秋田美人でもなく、サウナに会うために行くべきなのです。
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2.ここが最高!
最高とか、そんな言葉をやすやすと使いたくありません。そういう強めな言葉を使うと、ただでさえ薄っぺらい私の話がさらに薄くなると思うのです。ペラペラです。
しかし事実だから仕方ないのです。
汗を流さず頭から入れる自然の綺麗な水。
森の匂いを運んでくれるそよ風。
湖の心地よい水音。
美しい湖と遠くに見える山々、淡くぼやける雲。
視界が霞んで、極楽浄土にいるみたいに思えてきます。「ととのう」という言葉はなんだか腹立つので使いたくないのですが、きっとととのうってこんな感じです。
「言葉は要らないから。とりあえず体験してみてほしい」とイケメン風に言いたいところですが、秋田は結構遠いです。近場に住んでいる人はこんなブログ読んでる暇あったらさっさと行ってみてほしいというところですが、関東から秋田はけっこう遠いです。
しかし、それでも行ってみてほしいので、秋田への旅行を決意していただくために、もう少し具体的に素晴らしさを語りたいと思います。具体的には以下の2つになります。
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2-1.大自然
タザワコサウナのいいところ1つ目は、その名の通り田沢湖というロケーションです。水風呂が湖、休憩は湖のほとりで外気浴、という贅沢なスポットです。
ーーあれ、田沢湖って日本一深い湖なんでしょ? 危ないんじゃない?
いえ、もちろん入るのは浅瀬です。足がつくのでぜんぜん大丈夫です。奥まで行くと危ないので気を付けてくださいと最初にしっかり案内もいただきます。それに棒状の浮き輪(プールスティック)も無料で貸していただけるので、プカプカ浮くことが出来ます。
ーーあれ、田沢湖ってたしか魚が住めないんじゃなかったっけ? 入って大丈夫なの?
はい、そう思われる方ももしかするといるかもしれません。田沢湖は昔は強酸性で魚が住めないぐらい汚染されていたそうなのです。サウナの担当のお兄さんにお聞きしたところ、玉川温泉から流れ出した強酸性の水が田沢湖に流れ込んでいたため、魚のいない死の湖になっていたそうです。
しかしダムが整備され、現在は水質改善が進んでおり、とても綺麗な湖になっています。水質ランキングでも毎年、上位に名前が載るようになっているとのことです。
こんな美しい湖に頭からダイブが出来ます。こんな贅沢なことは中々ありません。普通のサウナの水風呂って、頭まで入ることが禁止だったり、あんまり水が綺麗じゃなくてそもそも顔をつけたいと思わなかったりと色々ありますが、タザワコサウナではこんなに綺麗で雄大な瑠璃色の湖に心置きなく飛び込めるのです。
そのほかにも、テントサウナ(屋外で行うサウナ)の場合、有識者曰く、「海だと塩でベタつく」・「川だと浅い」ということがあるそうです。つまり真水・一定の深さがある湖でやるテントサウナが最強なのです。
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2-2.貸し切り
タザワコサウナ2つ目の魅力は、一組ずつ貸切という部分です。周りに気を遣わずのびのび入れるというのはもちろん、温度調整が自由に出来るというのは個人的に推しポイントです。薪をくべる量の調整・ロウリュの調整・アウフグースの調整が自分勝手にし放題なのです。
ロウリュとは:フィンランド語で「蒸気」。熱い石に水をかけて、水蒸気を発生させること。フィンランド人は無限にこれを行うため、信じられないほどサウナ内がモクモクになり、肌が弱くこらえ性の無い観光客はさっさと退散する。そしてサウナが嫌いになる。
アウフグースとは:ドイツ語で「蒸す」。立ち昇った蒸気をタオル等で扇ぐこと。熱波ともいう。これを顔面に食らうと信じられないぐらいの熱が眼球を襲い、なんで他の人はこれをさも素晴らしいもののように有難がるのだろうかと自分の常識を疑いたくなる。
一般的な個室サウナって、サウナは個室でも水風呂や休憩スペースは共有だったり、そもそも水風呂が無かったりします。貸切とは言ってないからウソではないんですが。
でも、やっぱり貸切がいいんです。
何度も出入りしちゃ風が流れ込んで寒いから悪いんじゃないかと気を遣ったりしなくていいんです。好きな時に入って、出てを繰り返していいのです。
というのもちょっと脱線なのですが、サウナを時間で区切らず、気分で出たり入ったりすることを、私は推奨したいのです。サウナ7分とか、水風呂1分以上が一番良いとか言いますが、絶対無理しない方が良いと思うのです。
気持ちよくなるために我慢してたら意味がないし、体が悲鳴をあげているのに無理すると、それはととのうではなく、ヒートショックの予兆なのではと思います。
そしてタザワコサウナなら大丈夫、貸切なのです。何回出たり入ったりしても怒られないし、2時間半もあるのでゆっくり休憩すれば良いのです。無理しないでずーっと日向ぼっこしててもいいのです。それで、ちょっと寒くなってきたらまたちょっとだけサウナに入ればいいのです。
温度調整について熱く語ってしまいましたが、単純に大自然を独り占めできるので、貸し切りは本当に言うまでもなく最高です。特に周辺エリアを出入り禁止にしている訳ではないので、人が来ないわけではないのですが、水着姿の人(ほぼ裸のおっさん)がととのってるところ(気持ち良くなっているところ)にわざわざみんな寄ってきません。また、朝一の10時スタートの回であれば、人は全然通りかからなかったです。
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3.本当に行きたい人向け・細かな情報
人が気合い120%で勧めても、行かない人っているじゃないですか。騙されたと思って観てほしいと全力で一番おすすめのコンテンツを紹介しても、絶対に観てくれない人っていっぱいいるじゃないですか。
まあもちろん、それが正しいです。ネズミ講に勧誘されたら断る勇気が必要ですし。絵を買わされそうになったら躱すべきです。
そして、そういうテンションの低い相手にわざわざ熱を込めて話さなくてもいいって思うじゃないですか。がんばって愛を語るより、話題変えたほうがいいじゃないですか。
しかしブログは一人でお話を続けるので、無限に好き勝手続けられてしまうのです。ということで、ちょっとディープな話に突入していきます!
興味ない人は読み飛ばしてね♪
よかったら他の記事を読んでね♪
北欧についてとか革靴についてとか書いたよ♬
という話です。。。
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3-1.料金は?アクセスは?→料金は安い。アクセスはレンタカーしかないかも。
レンタル料金は、1組(3名まで)で1万5千円(税込)です。
最大6名まで追加料金で利用可能で
4名:1万8千円(税込)
5名:2万1千円(税込)
6名:2万4千円(税込)
3人で行けば、1人5千円
4人で行けば、1人4千5百円です。
個室サウナは安くても1時間5千円くらいすると思うので、貸切でこのお値段はとてもリーズナブルです! アクティビティとして考えても、2時間半で5千円前後というのは妥当・お得ではないでしょうか。しかもサービスでコーヒーとステッカーを頂けます。
アクセスは、秋田県の旅行全般に言えることなのですが、レンタカーもしくはカーシェアしかないかと思います。
秋田新幹線は遅かったりと使い勝手が悪く、東北新幹線で盛岡に行き盛岡でレンタカーを借りて、帰りも盛岡に返すルートにすれば、旅程を組みやすい、と有識者が申しておりました。
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3-2.初心者でも大丈夫?備品は何がある?→絶対大丈夫。色々あるけどタオルと水着だけ持参
サウナの担当のお兄さんに最初にやり方を丁寧に教えてもらえるので、初心者も全然大丈夫です。たとえば、テントサウナの出入り口のところのチャックが熱くなるから革のところを持ってとか、一酸化炭素中毒のアラームがもし万が一鳴ったら外に出てとか。親切にフレンドリーに教えてもらえるので心配ありません。
備品については色々あって、まずメインのサウナは、テントサウナ「MORZH(モルジュ)」です。詳細は以下をご確認ください。
次に、休憩用の椅子「コールマン(Coleman) インフィニティチェア」。これがフルフラットに近いぐらい背もたれが倒れて、超寝心地が良くてびっくりでした。めちゃくちゃ欲しくなりました、置く場所無いけど。。。
他には荷物置き場のためのテントスペースに椅子と机があります。
着替えについては、レストランの駐車場の端に設置されたテントで行います。
持ち物についてはタオル・水着は持参必須です。あとはビーチサンダル・日焼け止めがあると良いかと思います。
設備に関しては最後に、シャワーが無いというのはありますが、真水なのでとりあえずはタオルでちゃんと拭けばいいかなというのと、サウナの後に温泉に行ってもらえたらと思います。有名な乳頭温泉郷が近いです。
※2024.5時点の情報ですので、詳しくは公式HPを合わせてご確認ください。
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3-3.時期はいつがいい?→5・6・7月。しかし天気次第かも
個人的なバイアス、というか1度しか行ってないヤツの話なのですが、初夏が一番いいと思います。
5月頭、ゴールデンウィークに行ったのですが、まだ水温が冷たいかんじがしましたので、できればもう少し夏に近い方がいいと思います。
湖水浴が出来るのは夏場だけですが、冬は雪にダイブが出来るそうです。絶対寒いと思いますが、湯気のかんじとかすごくよくて、写真が綺麗に映るのは冬とタザワコサウナの担当者さんが仰っていました。
時間帯は上述の通り、人が少なくて、湖が凪いでいて、日差しがまだ強くなり過ぎていなくて心地良い、朝一番の10時スタートの回が一番だと思います。
※タザワコサウナは【BASE1】レストランの前(「湖畔の杜レストランORAE」前面の砂浜)と、【BASE2】森の前(「田沢湖キャンプ場」前面の砂浜)の2つのスポットがあります。私は【BASE1】レストランの前でしか経験が無いので【BASE2】森の前だとまた違うかもしれません。
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3-4.その他は?→レストラン&カフェに行ってほしい。
「湖畔の杜レストランORAE」と「coffee & gallery zawa zawa(コーヒー&ギャラリーザワザワ)」にはぜひ、サウナの後に行ってみて頂ければと思います。
まず「湖畔の杜レストランORAE」にはショップが併設されており、色々なビール・ソーセージを購入することが出来ます。
続いて「coffee & gallery zawa zawa(コーヒー&ギャラリーザワザワ)」は、サウナの経営者さんと同じ方が運営されており、関連グッズも販売されております。サービスで頂いたコーヒーのおいしさの秘密はカフェをされているからだったのかと腑に落ちました。
元々写真館として使われていた建物をリノベされており、お洒落なカフェなのですが、ただお洒落なだけではなく独特の雰囲気・趣のある、味のあるお店です。
店員さんたちは中学までの先輩後輩の関係だったとのことで、その縁で一緒に運営をされているとのことでした。このあたりには学校が一つしかないので、中学卒業まではずっと一緒で、みんな仲良くしているとのことでした。
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4.まとめ:サウナ嫌いにこそ行ってほしい
サウナ嫌いのポイントは、先述の通り
①極端な寒さと熱さの不快感
②公衆浴場特有の不快感
③サウナが好きと公言している集団のオラオラ加減に対する不快感です。
しかし、タザワコサウナはこれらのポイントをすべて解決してくれます。
まず①ですが、貸切だから、好きに調整が出来るのです。他の人に気を使ったりせず、好きに出来るのです。
そして②ですが、これも大自然を独占なのでとても綺麗で最高です。おじさんの蒸気で永久機関になることはありません。
最後に③ですが、サウナが好きとか言ってるヤツってだいたいリア充ですよね。自己肯定感が高くてモテそうなヤツが多いですよね。なぜ石のことをストーンとか呼ぶんでしょうね。はい、嫌いな人種です。具体的には幻影旅団ぐらい嫌いです。無論、私はクラピカ推しです。
これは自己肯定感が低い私の被害妄想だという自覚が多々ありますが、まあそういう先入観があったとしても安心してください。タザワコサウナは貸し切りです。リア充とバッティングすることはありません。
何度も同じことを言いますが「大自然の貸切」、これこそ最高の贅沢です。心からサウナを満喫することが出来ます。
さて、長くなってきましたのでそろそろ終わりにしたいと思うのですが、どうでしたでしょう、サウナ嫌いが壮大な伏線になっているなんて、これは中々良いひねくれっぷりじゃないでしょうか。
やはり年齢を重ねてくると、じぶんが好きなことしかしなくなると思います。めんどくさいことや嫌いなことにわざわざ挑まなくなりますし。合わない人とは会わなくなるし、楽しい可能性が高くない飲み会には行かなくなります(もしかしたら行ったら楽しいかもしれないのに)。
でもそうしていると、閉じた世界で同じことをしているだけのつまらないおじさんになるんじゃないかと心配です。フィルターバブルというやつです。「泡」の中に包まれたように、自分が見たい情報しか見えなくなることです。
やっぱり嫌いでもたまには飛び込んでみると、世界が広がって良いなと今回、つくづく思いました。
中高生の時の芸能鑑賞とか最たるものですが、大して興味も無いのに無理やり劇団四季とか歌舞伎に引っ張って行かれて、だいたいの人はあーよく寝たってなりますが。でも、あれですごく感動して、感化される人もいるわけで。
まさにそんなかんじのことを考えた秋田旅行とサウナ回でした。
「サウナは嫌いだけどタザワコサウナは好き」という人はきっとたくさんいるんじゃないかと思うので、ぜひ機会があれば行ってみて頂けたら幸いです。