ひねくれ革靴⑥まとめ2:最初の一足にはマスターリーガルがおすすめ&永く愛せる一足を
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1.マスターリーガル
ここに辿り着くまでに5話かかりました。満を持してお伝えしましょう。私が革靴初心者の方におすすめしたいのが「マスターリーガル」という靴です。お値段税込5万5千円でございます。
こちらは誰でも知っているリーガル(REGAL)というブランドの靴ですが、リーガルって色々ありすぎて選ぶのが難しいと思います。イメージとしては楽天市場ぐらいの闇鍋感です。そんな中で「マスター」がつくのです。もうこれはブランドとしてもイチ押しに決まっています。しょっちゅうセールをやっている楽天の「楽天スーパーセール」と同じです。「お買い物マラソン」とかとは格が違うのです。
そんなスーパーでマスターなリーガルなので、「マスターリーガル」は満を持して発表するほどの、「うーん、さすが! 良い線ついているね」的な靴ではなく、どちらかというとドメジャーです。ドメジャーなブランドのドメジャーな一足です。日和りましたね、はい。チキン野郎です、はい。
リーガルで王道の1足と言ったら「01DRCD」でしょうがぁああ、というお声が聞こえてきそうですが、あれは実用靴でしょうと私は言いたいのです。デザイン的にもカラー的にも01drcdは毎日仕事で履く相棒でしょうと。趣味の靴は、「マスターリーガル」です。もちろんマスターリーガルを仕事靴にしてもいいと思うのですが、まあもう少し具体的に紹介させていただきたいです。
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2.マスターなリーガルの魅力4つ
マスターリーガルの魅力については、ホームページが気合入りまくっているので上記のホームページ見てくださいという感じですが、せっかくなので個人的な思いの丈を書きたいと思います。
ざっくり特徴としては
①フランスの名門、デュプイ社のカーフを使用
②盛岡の職人の技術がふんだんに盛り込まれ
③グッドイヤーウェルト製法で、レザーソール(革底)
④オンラインで売らないというこだわり・2年10回の磨きサービス
という4つになるかと思います。
①フランスの名門、デュプイ社のカーフを使用
革に国産を使う選択もあったのではと思うのですが、超絶メジャーなフランスの「デュプイ社」の革を使っています。それでこのお値段というのは、個人的にはここが1番刺さりました。どこの会社の革か(どこのタンナーなのか)については、秘密にされていることもけっこうあるのです。特にリーガルは内緒なことも多いイメージです。なのであえて「デュプイ社」です! と謳っているのは漢気なんです。革好きには分かりやすいアピールポイントなのです。
②盛岡の職人の技術がふんだんに盛り込まれ
そして、職人の腕がまた素敵という話です。ヒドゥンチャネルとか難しい話は置いておいて、とりあえず動画を見てください。こんなに手が込んでいるの?? と思います。細かい理屈より先に、誰にでもわかる「丁寧な仕事」が視覚的に伝わってきます。革靴は革と技術で出来ているのだと思う今日この頃です。
③グッドイヤーウェルト製法で、レザーソール(革底)
グッドイヤーは、革靴に興味が出てきて最初に知る単語と言っても差し支えないでしょう。初めての本格的な革靴といえばこれ、なイメージです。
レザーソールについても、同じく本格革靴には欠かせない要素です。2話で書いた通り個人的には滑って転びまくるゲームと、綺麗なトイレにしか行けないゲームが始まるので、ハーフラバーをつけたくなっちゃうのですが、ともかく本格的な革靴といえばレザーソールなのです。
つまり、私のようなニワカ革靴ブロガーでも、初心者でも誰でもわかる、押さえるべきポイントをしっかり押さえた一足ということなのです。
④オンラインで売らないというこだわり・2年10回の磨きサービス
今のご時世、絶対にオンラインで売った方がいいです。販売チャネルはあればあるほど売上はあがるんです。なのに、オンラインでは売らないとマスターリーガルは頑なです。広い広い九州で福岡でしか買えないんです。とても思い切った販売戦略です。ブレーンがいますね、これは。覚悟を持ってこの舵取りをしたお方がきっといますね。
そして、2年10回の磨きサービス。つまり「アフターサポート無料でやります」ということです。具体的なサポート内容ですが、購入時にもらえるカードを持っていくと、購入店限定で、汚れ落としと乳化性クリームで磨いてくれるというものです。
2年ってけっこうすごくないですか?? たとえばですが……
ーー爪先が削れてきて、トゥースチールを最初につけておかなかったことに後悔したり。
ーーレザーソールで滑って転びまくって、ハーフラバーに感動したり。1周回ってハーフラバーをつけたことを後悔したり。
ーー安いシューツリーを探したり、純正のシューツリーが欲しくなったり。シューツリーという呼び方より、シューキーパーという呼び方の方が好きになったり。
2年というのは短くありません。長い長い時間です。そして、楽しい時間です。
ーー気合い入れて新品をデートに履いていったら、靴擦れが痛かったり。
ーー新しくできた彼女に、靴ステキねって言われたり。
ーー新婚生活開始直後に、妻から靴買い過ぎだから捨てなさいと言われたり。
そういう楽しい楽しい時間です。(ぜんぶ妄想)
ともかく、このリーガルというブランドが、このマスターリーガルに込めている本気度が伝わりますでしょうか。
ーー接客に命かけてます。接客まで含めてちゃんとしたフィッティングで長く履いてもらうことまで含めた商品です。たとえフリマサイトで半額になっていたとしても、新品で買う方が絶対お得で満足度高いっす。
そんな言葉が匂い立ってくるような尖った販売戦略です。
実際この圧倒的充実度なので、フリマサイトでほとんど見かけず、(探したのかい?? ん?探したに決まっておろう) たまーに見ても高いことがほとんどです。これなら新品買った方が百倍良いなという値段なので、全然売れません。
そしてなんと、マスターリーガルは、みんな大好き「イヤーモデル」も作ってるのです。
(あれ、イヤーモデルってリーガルなくなったんだっけ??)
(この話は次回に続きます)
(あれ、今回で終わりだったはずなのに。。。)
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3.好きになれる1足。愛せる1足を。
べつにマスターリーガルでなくてもいいのです。手の込んだ、メジャーな、高級な革靴でなくてもいいのです。大事に履いてもらえる靴ならなんでもいいのです。なぜかというと、履かれない革靴が一番可哀想で、不経済だと思うからです。
革靴は履かないとすぐ硬くなって、ダメになっていってしまいます。以前、足の小指を本棚の角に強打して骨折するというアホみたいなことをやらかして、しばらく革靴を履けなくなったことがあったのですが、無事足が治って数カ月ぶりに靴を履いたら、持っていた革靴がすごく変わったかんじがしました。
足が1つしかないから、ちゃんと履ける靴は正直、3足ぐらいが限界だと思います。「何年履きました」みたいなエイジングのブログよくありますが、ほんとにちゃんと履いてますか?って思うものもあります。半年クリーム乗っけただけなら、エイジングとは言えません。道具として使われたからエイジングです。
でも気持ちはわかります。長く大事に履くのって難しいのです。
趣味が変わる、流行が変わる、環境が変わる、時代が変わる……そんな理由で、靴が寿命を迎える前に手放されます。
グッドイヤーとか修理すれば20年30年いけるそうなので、寿命なんて無いみたいな勢いだから、正直オーバースペックになりがちです。ちゃんと履き潰される前に、道具としての寿命を迎えるより先に、履かれなくなってしまうことがほとんどです。(そしてフリマサイトに流されます……そして安物買いの銭失いになる人がまた現れます。負のスパイラルです)
なので、永く愛せる一足を選びましょう。
丁寧なモノづくりに感謝できるような。
自分の道具として育っていくことを楽しめるような。
フリマサイトに流さず、大事に最後まで履き潰せるような。
そんな相棒にふさわしい一足を選んでほしいのです。
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4.ここまでのまとめ
革靴に興味が出た方の入り口として、新品を買うなら最初はマスターリーガルがいいのではないかと思います。この値段とは思えないつくりで、接客ありき。基本サービスみたいに、リペアがついてる。正しく革靴好きになれる革靴です。
もちろんそれで革靴沼に嵌らなかったとしても持っていて損はしない、国産のどこに出しても恥ずかしくない素敵な一足です。
パラブーツもキャッチーで一足目におすすめかと思ったのですが、一足目にはちょっと値段が高いかなと思いました。色とか形とかバリエーションが色々あって選択肢が多いですし、ファッション好き寄りのアイテムなのでキャッチーですが、パラブーツ沼はまた別の沼かなと。
しかしもちろん、マスターリーガルも安くはありません。
フリマサイトを見れば、マスターリーガルはほとんどありませんが、パラブーツならたくさんあります。この物価高の日本で、フリマサイトの提供する「安さ」は正義です。消費税がかからないし、ネットだけのやりとりで匿名で安心だし。もうすべてが時代にあっています。
しかし、しかしです、そこを売り手側は越えるのです。
メーカーが小売りまでやって届けたいのは「安さ」ではなく「価値」なのです。サプライチェーンをトータルでマネジメントして最高の形で商品をお客に届けようとしてくれているんです。
ほんとうに言いたいことは、これなんです(サンボマスターふうに🎵)。
物を買う際に、フリマサイトという選択肢が増えました。選択肢が増えるということは、幸せなことだと素直に思います。
でもそんな今だからこそ、店舗で新品を買うという選択の価値も、大きくなっていると思うのです。
永く愛せる一足は、プロから買った方が良いと思うのです。
ここまでお付き合いいただきありがとうございます。次回以降もよろしくお願いいたします!