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 転 校 生

 私が通っていた小学校は、田舎であったけど転校生が2年にひとりは、いた。

4年生になって、ひとりの女の子 「 おみ(仮) 」がやってきた。

おみ は、動物大好き! とても優しくて、人懐っこい笑顔の女の子でした。
そして、おみは、ひとつのブームを私たちに放り込んできた。

白い戦士ヤマト

当時「 りぼん 」 「 なかよし 」全盛期の
女子女子していた私たちに、全くあたらしい風を吹きこんだ。

思春期の真っ只中、私たちは、
「白い戦士ヤマト」「銀牙」
を、ものすごいスピードで、集中力で読んだ。

おみは、もちろん、大の人気者になった。

おみは、犬のイラストも上手だったし、
学校に住み着いている、野良犬たちとも仲良しだった。( かっこいいんだよ。私は動物苦手。)

ドッジボールも何度もやった。( ドッチボールとよんでいたけどね。)
その、ドッチの時、事件が起きた。

前日の雨で、学校横の水路は雨で満ちていた。
そこにボールが落ちた。

おみは、泥水の水路に飛び込んだ。

おみは、なかなか上がってこない。

数分後(体感です)、おみはボールを抱えて、泥水の中からずぶ濡れで出てきた。
そして、そのままひとり保健室へ…

残された私は、ポカーン。としてしまって、その後の記憶はありません。
ただ、おみカッコいい。という思いは残っている。

その後、数ヶ月で、おみはまた転校していった。
私とおみは、文通で友達を続けていた。
おみの新しい学校は、明るい食堂があり、全学年一緒に給食を食べるという最先端の小学校だった。
やっぱり、おみはカッコいいなぁ。

文通はしばらく続いたけど、よくある流れでいつのまにか終わった。

今思うと、おみは、一生懸命だったのかな。
漫画本を学校に持ち込むことも、校則違反。
泥水に飛び込んで、龍が玉を抱えるようにボールを取ってきたことも、涙が出る。
強いな、おみ。

白い戦士ヤマト も、 銀牙 も、内容は忘れてしまった。

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