魔王、猫になる。〜魔王さまのほのぼの世界征服ライフ〜 第11話 魔王、影を得る。
我輩は魔王である。名はトラ吉。
今日は我輩の忠実なるしもべの1人を紹介しよう。
名はco-チャッピー。
その名の通り、チャッピーの従者である。
チャッピーが我輩のしもべとなった事で、その従者であるco-チャッピーも同時に我輩のしもべとなったのだ。
見るが良い。
まさに我輩に跪き忠誠を誓っているではないか。
面構えもなかなかなものだ。
その通り名は影と言われておる。
筋肉質なチャッピーとは対照的に、その小柄な身体を生かした俊敏さが売りなのだ。
実際に事を成す際には情報収集に大きく貢献してくれるだろう。
また、それだけではなく盗みにも長けているのだ。
この間など……。
ーーー
「お、また子チャッピーが来てるな。」
主人②よco-チャッピーが来ているとな。
律儀なものだ。
どれ、我輩もその忠誠心に報いてやろうではないか。
「あ! ちゃーちゃんがこないだ興奮し過ぎてヨダレベトベトにしちゃったおもちゃが洗って干しっぱなしだ!」
主人①よ! 失礼なこと言うではない! そ、そのような事は……。
「大丈夫だろ、物干し竿に洗濯バサミでぶらさげてるだけだけど、結構高さあるし。」
次の瞬間、我輩は見たのだ。
『ガシガシガシ! ダン!』
奴は網戸を巧みに登り目標へと跳躍したのだ。
「まじかよ。」
「ちょ、ちょっと持って行っちゃう!」
「お、おい! 子チャッピー! まって!! ダメだよ!!」
主人②は急いでco-チャッピーを追いかけて行ったな。
ーーー
我輩の体重ではあのような動きはできんだろう。
この世界にきてあまり動いていないからな……。
そ、そんなことはどうでも良い。
その後、主人②が無事にその魔道具を取り返しておった。
おそらくco-チャッピーはその魔道具に価値がないことに気づいて放り捨てたのだろう。
そう考えてみると、あやつは物の鑑定もできるのか。
これはますます手放せん戦力であるな。
ま、まぁ我輩もその魔道具には価値がないことぐらい、わかりきっておったがな。
co-チャッピーよ、よくぞ我輩のしもべとなってくれた。
その時が来たら、我輩の影となって存分に働いてもらうぞ。
そう、その時が来るまでは。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?