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世界の再構築者は3匹の猫耳少女に殺される!? 3-13 新たな生活⑥

「本当に手伝わなくて大丈夫なのか?」

「私が見ても包丁を持つ手が怖いけど大丈夫?」

 その後、家に帰り夕食を済ませ台所が落ち着いた時間を利用してルコが明日の弁当の下準備と練習をしている。
 俺は台所に立っているルコが心配でカウンター越しに眺めていた。
 スズも興味があるようで俺の隣でその姿を眺めている。
 隣と言ってもスズは明らかに俺から距離をとっているのだが。

「だ、大丈夫ですわよ! それに、見られているとやりづらいのでどこかへいってくださいます?」

「あぁ。そう言うなら。何かあったらすぐに呼ぶんだぞ。」

「ひゃ!?」

 振り返った直後、早速心配になる声が聞こえてきた。

「だ、大丈夫か!?」

「大丈夫ですから気になさらにでください!」

「わ、わかったよ。」

 そうして、俺とスズは邪魔にならないようにそれぞれの部屋に戻っていった。

「まったく、どうしてルコは柳原さんと張り合っちゃうのかな。」

 俺は自分の部屋のドアを閉めて振り返ると。

「あらぁ。タカシちゃんを奪い合うライバルが出来て燃えてるのねぇ。良い方向に動いてるじゃなぁい。」

 聞きなれた声が耳に入ってきた。

「スズさん!? なんで俺の部屋にいるんですか?」

「そんなことどうでもいいじゃなぁい。」

 いつも通りはだけたその格好でずいと顔を俺の前に近づけてくる。
 やはり前傾姿勢になったツキの見えそうで見えないそれにやきもきしてしまう。
 だが、ツキのペースに巻き込まれてはいけない。

「そうだ! ツキさん。今日ルコから聞いたんですが、俺が3人の義理の兄って設定になってたんですが、いつの間に修正したんですか?」

「あらぁ、もうバレちゃったのぉ。もう少ししてから『実は……』ってシチュエーションにしたら面白いと思ったのだけれどぉ。」

「なんでも面白さを優先しないでください。」

「えぇ。いいじゃなぁい。」

 ツキはそう言うと更に俺に近づいてくる。

「ちょっと、いつも通り近いですって。」

「あらぁ、ならもっとすごいのを……」

「タカシー。やっぱりルコのこと心配なんだけど。」

 まずい、スズが俺を呼んでいる。
 こんなところを見られたら保護観察期間の俺はなにを言われるか分かったものではない。

「い、いや! ルコの邪魔をちゃ……う、うわっ!」

「あらぁ?」

『ドタン!』

 振り替えてドア越しにスズに応えようとしたがバランスを崩してしまった。
 そして、運悪くツキが俺の下になる形で床に倒れ込んでしまった。
 そう、お決まりの押し倒したというシーンだ。

「なんだかすごい音したけど大丈夫!?」

「いや大丈夫……」

『がちゃ』

「あ」

 もう終わりだ。
 これで執行猶予はなくなり家を出ていくという刑を甘んじて受け入れなくてはならない。

「ひとりでなにやってるの?」

「あ、あれ?」

 俺の下に倒れているはずのツキの姿はそこにはなかった。
 助かった。
 代わりに頭の中にツキの声が響いてくる。

『これで義兄にした貸し借りはチャラねぇ。じゃぁ、頑張ってちょうだぁい。』

「ちょっとそれとこれは話が!」

 その声はツキには届かなかったようで、俺の口から吐き出された。

「タカシ、なに言ってるの? やっぱりタカシは変……」

「いやスズ、これは違うんだ!」

 スズは静かに扉を閉めて自室へと戻っていった。

第3章終わり

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