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魔王、猫になる。 第3話 魔王、キリッとする。

 我輩は魔王である。名はトラ吉。

 この世界の生活にも慣れてきた。

 だが、それも我輩の野望を叶えるための通過点でしかないのだ。

 この世を統べる者として、我輩は常に民衆の模範とならなければならない。

 そう、外見も重要な要素のひとつなのである。

「ちゃーちゃん、この時はいつもキリッとしちゃうんだねー」

 主人①よ、なにも意味もなくこんな顔をしているわけではないのだぞ。

 この世界をいかにして我輩のものにするか、今はその戦略を練っているところなのだ。

 要は頭を使っている最中なのだ。

 決して、体に力が入っているからキリっとしているわけではない。

 我輩は歴代魔王の中でも、叡智を授かりし魔王として魔界に君臨していた身であるぞ。

 力を使うことしか能の無かった野蛮な歴代魔王と同じにしてもらっては困る。

 しかし、この世界の食料事情はかなり良好であると見て取れる。

 我輩も、つい食べ過ぎてしまうほどであるのだ。

 だが、統治をなす上でも体調管理は基本中の基本。

 次からは気をつけなければ。

「ちょっとー! ちゃーちゃんまたすんごいのしたよー!」

「なに! 早く片付けないと臭いが! スコップどこだ!? スコップ〜!」

 さぁ、更なる戦略を練るとしよう。 

 そう、その時が来るまでは。


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