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魔王、猫になる。〜魔王さまのほのぼの世界征服ライフ〜 第15話 魔王、ちゅ〜る。

 我輩は魔王である。名はトラ吉。

 最近、我輩が世界征服を諦めてのほほんと過ごしているように見えているかもしれんがそんなことはないのだぞ。

 我輩の行動には全て意味があり、この世界の征服を目的としている。

 それではついこないだの話をしてやろうではないか。

ーーー

「ちゅ〜る、ちゅ〜る、○○○ちゅ〜る〜」

 主人①よ、それを歌っているということは、例のあれであるな?

「は〜い、ちゃーちゃんどうぞ〜。しかも新しい味ですよ〜。」

 なに? 新しい味とな!?

 うむ。この味もなかなか。

 やはり、我輩の目に狂いはなかったようだ。

 我輩が調べたところ、この「ちゅ〜る」は非常に優秀な携帯食なのだ。

 保存が効くうえ、何より美味なのだ。

 荒んだ戦場では食事というものは唯一の楽しみと言っても良い。

 いずれ来るその時には、チャッピーひきいる戦士たちの重要な物資となるだろう。

「しかしなぁ。」

「ん? どうしたの?」

「なんだか、うちに来た頃よりも、なんというか……たくましくなったというか。」

 主人②よ、我輩は魔王ぞ。

 たくましいなどという言葉だけでは語り尽くせんのだ。

「当時の写真見てみなよ。」

※写真:当時の魔王さま

「まだ、ちゃんとぺろぺろしてるんだよね。」

 その頃はまだ完全に貴様らを信用していたわけではないからな。

 慎重に舐めていたのだろう。

「それが今はこうだよ。」

※写真:現在の魔王さま

「そうだねぇ。今は出てくるのが待ちきれなくて袋ごとかじっちゃうからね……」

 主人①よ、我輩をまるで節操の無い犬のように言うではないか。

 魔王である我輩のスピードについてこれん貴様が未熟なのだ。

「CMの子みたいに、かわいく舐めてくれないかなぁ。」

 主人②よ、魔王である我輩に可愛さを求めるなど愚の骨頂よ。

「は〜い、ちゃーちゃんもうおしまいだよ〜」

 む、主人①よ、この魔王の器を満たすための贄としては少々足らん……。

 いや。

 戦士たちへ支給する「ちゅ〜る」の調査のために、別の新しい味の「ちゅ〜る」もよこすが良い。

『すりすり〜』(主人①の足に)

「ちゃーちゃん! そんなに食べたらデブーんになるよー」

 また適正体重とやらの話か。

 くだらん。

 我輩にそんなことが関係……。

『むにっ』

「ほらー、こんなにお肉ついてるよー」

 くっ! 我輩の腹をつまむでない。

 主人①よ、今日のところは見逃してやろう。

 新たな「ちゅ〜る」の調査もできたことだ。

 どれ、夕の贄まで寝るとするか。

 そう、その時が来るまでは。

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