魔王、猫になる。〜魔王さまのほのぼの世界征服ライフ〜 第23話 魔王、ライバル視される。
俺様は俺様だ。名なんて忘れたぜ。
俺様はこのシマ(ご近所)を治める頭だ。
このシマでのいざこざは俺様が黙っちゃおかねぇぜ。
だが、この俺様でも敵わねぇ奴が最近になって現れやがった。
あれはいつもの昼下がり、狩りを終えた俺様が爪の手入れをするためにお気に入りの寝床にやってきた時のことだ。
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(=・ω・)(・ω・=)(=・ω・)(・ω・=)
まったく、今日もロクなもんが獲れなかったぜ。
そんなついてない時はいつもここにくるんだ。
ここは俺様の数ある寝床コレクションの中でも一等地の場所だからな。
気分転換にはちょうどいい。
俺様は優雅に寝転がり、自慢の爪の鋭さを確認した。
今日もうっとりしちまうほどの鋭さだぜ、なぁ相棒。
太陽の光に透けたその相棒の姿には、我ながらいつもうっとりしちまうぜ。
いつも通りその鋭い爪の先端で歯をシーハーしようと口元に近づけたのだが。
『ガシャ!』
がはっ!!
突然の騒音に俺様としたことが、体をビクつかせちまったぜ。
おかげで相棒が俺様の歯茎にめり込んじまったじゃねぇか。
まったく、この落とし前どうつけてくれるんだ?
俺様はその音源の方向へ目をやると、そこには礼儀知らずのお家猫様ってのが網戸を揺らしてやがった。
この俺様に向かっていい度胸だぜ。
どうやら、猫社会の礼儀ってやつを教えてやらねぇといけねぇみてぇだな。
俺様は、鳴く子猫もだまるってぇ評判の睨みをそいつにくれてやった。
『ガシャ!』
なっ!?
効いていないってのか?
いや、見えなかっただけだろう。
もう一度くれてやらぁ!
『ガシャ!』
バカな。
お、俺様の睨みに動じないだと!?
いったいどんな神経してやがるんだ!?
俺様のプライドにかけて負けるわけにはいかねぇ!
『ガシャ!』
だ、だめだ。
自信の睨みがまるで効かねぇ。
俺様は……今までいったい何をやってきたんだ。
こんな、家猫相手に俺様が負けるなんて。
だが、俺は見ちまった。
自分で言うのもなんだが、あれは強者にしか見えないオーラだったのかもしれない。
何かはわからねぇが、奴の背中からは凄まじいオーラが出てやがった。
俺様は、いや俺はこいつにはまだ勝てねぇ。
今までの俺はこんな小さな場所で自惚れていたのかもしれねぇ。
そして、奴は俺にとんでもねぇ目を向けてきやがった。
な!? その目は仲間になれって目だな。
バカにするんじゃねぇ。
これでも俺はこのシマの頭よ!
ちっ! もう一度いちから出直してやらぁ!
そして、俺は修行の旅に出た。
次に来るときには俺のオーラを見せてやるぜ!
それまで待ってやがれ!
そう、その時が来るまでな!
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