世界の再構築者は3匹の猫耳少女に殺される!? 2-5 最愛の妹①
「いったい、どうなってるんだ。」
唖然としてそんな言葉を漏らした。
駐輪場から自分の自転車をかっさらうと、スズの通う中学校に急いで向かっている。
スズの携帯にメールをしてみたが返事はなく、電話をしてみてもすぐに通話が拒否されてしまい、心配になり直接会いに行くことにしたのだ。
しかし、自転車を漕いでいる俺はすぐに違和感を感じた。
あの大きな地震があった直後だというのに街中は全く混乱していないからだ。
買い物をするおばさん達が井戸端会議をしていたり、ジョギングしながら犬の散歩をしているおじさんなどとすれ違う。
地震など無かったかのように、街中は至って通常通りの平常運転である。
「夢だったのか?」
俺は不安になり学生手帳を取り出して開いてみるがそこには学生証はなかった。
どうやら先程の出来事は事実のようである。
「とにかく今はスズだ。大丈夫なのか?」
感じる違和感をぐっと飲み込みスズの通う中学校へと急いで向かう。
ーーー
やはり、中学校も混乱した様子はなく、いたって静かであった。
あがる息を無視して守衛を務める中年男性に声をかけた。
「2年4組の近藤鈴の兄の近藤高志と申します。妹に伝えたいことがあり参りました。」
すぐに本人と取り次いでもらえると勝手に思っていたが甘かった。
「身分証明書の提示が必要なんだけど、その制服は高校生だよね。学生証を見せてくれるかな?」
考えてみれば当たり前である。
不審者であるかもしれない見ず知らずの男をそのまま構内へ案内するなど、守衛の意味がない。
身分証の提示を求められる事など当然であった。
学生証を身分証として利用する生活が当たり前になっていたため、何食わぬ顔で守衛さんに話しかけてしまった。
だが、今は学生証は持っていない。
つい先程、その事実を再確認したばかりであった。
「えーと……」
「どうしたんだ?」
守衛さんが怪訝そうな顔をする。
もう、こうなれば学生手帳を出して学生証を忘れてしまったことにしよう。
半ばヤケクソ気味に学生手帳を取り出し守衛さんへ開いてみせる。
「なんだ持ってるじゃないか。近藤高志君ね、スズさんの担任に家族の人が訪ねてきたと取り次ぐからそこに座って待っててちょうだい」
守衛さんはそう言い残すと、内線をかけるために守衛小屋の奥に入っていった。
「??」
いったいどういうことだ。
生徒手帳は先ほど確認したばかりであるが、そこにはしっかりと写真付きの学生証が収められていた。
「タカシ君、担任に話しておいたから。ちょうど休み時間だし、昇降口にスズさんが来てくれるとのことだよ。」
そう言って守衛さんは笑顔で入校許可証を俺へ手渡してくれた。
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