世界の再構築者は3匹の猫耳少女に殺される!? 2-2 非日常②

「え?」

 間抜けな声が口から漏れる。
 昨日まで一緒に話していたというのに、柳原さんは俺のことを忘れているかのような口ぶりだ。
 嫌われることでも言ってしまったのかと自分を疑ってみたが、思い当たる節がない。
 それどころか柳原さんはいたって真剣であり、本当に知らない人に声をかけられたかのように不安そうな顔をしている。

「なんだお前、やなぎっちに馴れ馴れしく声かけてんじゃねぇよ? どこの組みのもんだ?」

 いつもの聞き慣れた声が聞こえてきた。

「あれ? マサ? お前もう教室にいたのか、てっきり風邪で休んだもんだと。」
「あぁ!? この俺様が風邪なんか引くわけねぇだろ。てか誰だよお前。よそのクラスに勝手に入ってくんじゃねぇよ。」
「え、マサ、どうしたんだよ? いつも通り親友ネタはどうしたんだ? あ、飽きたから今度はツンデレネタなのか?」

 焦って訳の分からない解釈を始めるが、そんな俺にマサは。

「そもそもマサとか馴れ馴れしく呼ぶんじゃねぇよ。それに親友ネタだ? 気色悪い。俺はお前なんて知らねぇし初対面でそんなに馴れ馴れしくしてくるやつも嫌いだね。どっか行きな。」

 マサはシッシと手で俺を払うと、

「なんなんだろうなこいつ?」

「さぁ? なんでしょう?」

 と柳原さんとヒソヒソと話している。
 そうこうしているうちに教室の全員から視線を浴びせられていることに気づいた。
 しかも、その視線は日常にはない異物を見るような視線だ。
 わけがわからずついていけない。
 なにかクラス全員がグルとなったドッキリなのだろうか。
 しかし、自分がその場に存在していた唯一の望みを見つける。
 俺の席がそのまま残っているのだ。

「じゃあ、ここの俺の席はなんでまだあるんだよ? それに昨日もおれはここに座ってマサと柳原さんと話してたじゃないか。」

 すぐさま指摘を入れる。
 だが、マサからさも当然かのように言葉が返ってくる。

「ここには今まで誰も座ったことがねぇよ。なんでもひと席余ってことで、俺が荷物いれに使わしてもらってるってだけだ。」

「!?」

 そう言ってマサが机の中を見せると、そこには少年誌がぎゅうぎゅうに詰め込まれていた。
 俺は少年誌は読まないし、そもそも俺の入れておいた教科書はどこかに消え去っていた。
 いたずらにしてはタチが悪すぎる。
 机の中だってマサが入れ替えたに違いない。
 そこで我慢の限界を迎えた。

「おいマサ、いい加減にしろよ?」

 マサの胸ぐらを掴んだところで、教室のドアが勢いよく開けられた。

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