世界の再構築者は3匹の猫耳少女に殺される!? 2-11 3匹+α④

「あらぁ? ものすごくドキドキしてるわよ?」

 心臓が痛いほど大きく鼓動し、自分が生きていることを実感する。

「私も久しぶりにドキドキしちゃう。」

 俺の鼓動が女の胸へと伝わり、女の鼓動もまた俺へ伝わってくる。
 つまり、女と正面で抱き合う形でお互いの胸がくっついている。

「うわぁ、ごめんなさい!」

 俺はそう言うと、とっさに女から離れた。

「あらぁ。謝られるより、ありがとうって言ってほしいわねぇ?」

「え?」

 女はそう言うと、ソファーを指差す。
 そこには、先ほどまで座っていたはずのソファーがボロボロになってひっくり返っていた。

「私が助けなかったらあなた確実に死んでたわよぉ。ほらぁ。お礼ぃお礼ぃ!」

 確かに、これを食らっていたら俺は死んでただろう。

「あ、ありがとうございます。」

「よしぃ。いい子ぉいい子ぉ。」

 そう言って女は俺の頭を撫で回す。
 でも、これって自作自演ではないのだろうか。
 この3人が俺に攻撃したのは明らかに女の指示であるように見えた。
 だが、実際にはその女に助けられたのだ。
 なにか恩でも着せるつもりだったのだろうか。

(でも、なんのために?)

「お母様!? なぜ助けちゃうのよ?」

「理解不能だ。」

「なに……考えて……るの?」

 少女達も想定外だったようだ。
 あの温厚そうな黄色髪の少女からも怒りが伝わってくる。
 俺としては助かったので良いが、この女がなにを考えているのかますますわからなくなってくる。

「なぜって、私はこの子を殺せなんて指示してないわよぉ?」

「「「「え?」」」」

「私はただぁ、ここで誰かに連絡を取られたら面倒だからぁ、あなた達にこの子を取り押さえるように目で伝えたのよぉ。」

 そうして女は、てへぺろとウインクをしてみせる。

((((伝わんねー!!))))

 なんだか4人で意思が通じ合った気がした。

「でもお母様? そもそもこの男を殺すように指示を出していたのはお母様じゃないですか。」

「それなのにどうして邪魔をする?」

「いみ……わからな……い」

「な! なんだって!?」

 その事実に目を見開いて女を見るが、女は顔の半分を手のひらで隠すと、あちゃーというようなわざとらしいそぶりを見せる。
 隠されていない半分の顔は明らかにニコニコしているが。

「んーとねぇ。気が変わったのよぉ。」

 その瞬間、場が凍りつく。

「あぁ。ごめんね、ごめんねぇ。つい思いついちゃったからぁ。」

 女は手を振って3人の少女達に謝るが。

『ゴゴゴゴッ!』

(なんだ!?)

 急に地鳴りのような音、いや、これは漫画でよく怒った時に表現として利用されるあの擬音ではないか。
 そんな幻聴すら聞こえるほどの威圧感。
 次の瞬間。

「ってめーーっ! まいどまいど勝手な行動取りやがってーーっ! こっちの身にもなってみろってんだよ!」

「な、なんだ!?」

「ま、まずい! 止めないと!」

 あの冷静だった青髪の少女がかなり焦っている。

「ちょっと! 冷静になって! こんなクズでも私たちのお母様なのだから!」

 赤髪の少女もなんとかこの場を収めようと必死だ。
 と言うことは、残されたのは。

「んぁ!? 何言ってんだよ姉貴! 俺はこのわがまま放題の女にもう我慢ならないんだよ!」

 咆哮を上げているのは、3人の少女の中でも最も大人しそうであった黄髪の少女であった。
 黄髪の少女は女の胸ぐらを両手で鷲掴みにすると、前後にものすごいスピードで振っている。
 女はされるがままに揉みくちゃにされて目を回している。
 ただでさえき崩されていた女の衣服がどんどんはだけていき、このままではまずい状況になりそうだ。
 黄髪の少女もなりふり構っておらず、そちらの衣服もどんどんはだけ、その白い肌が徐々に露わになってきている。

「いや、これはいろんな意味でまずいって!!」

 青髪と赤髪の少女が止めに入ろうとしている横から、黄髪の少女と女の間に意を決して思いっきり飛び込んだ。

「い、いったんストップ! ストッぶぅぅ!!」

 飛び込んだ瞬間、頭部は「まな板」と「巨大水風船」に挟まれた。

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