世界の再構築者は3匹の猫耳少女に殺される!? 2-13 3匹+α⑥
「ちょっと! お母様! さすがに今日はおふざけが過ぎますわよ!」
「論外、論外、論外、論外、論外、論外、論外、(繰り返し)」
「わたしの……なまえ……タカシさんに……///」
「ちょっと黄色!? なに満更でもなさそうな顔してますの!? これがどう言う意味なのかわかってますの!?」
なんだか、またしても一気に場が混乱し始めた。
(名前はともかく…。)
「拾ったってどういうことですか?」
俺は、そのままの疑問をツキにぶつけた。
「どういうこともなにもぉ公園で拾ったじゃないのぉ。この子たち3匹の子猫をねぇ。」
(3匹? 子猫?)
「それって、昨日の……?」
「そうよぉ、あれがこの子たちなのよぉ。」
耳を疑う。
今、目の前にいる3人(匹?)が昨日の3匹の子猫だと女は言う。
(たしかにもふもふの猫耳……。)
ハッっとして首を振った。
そんなチープな要素だけで現状を納得してはいけない。
(で、でも、確かめるにはそれしかない。)
「わ、わかりました。でもまだ信じられないので、その猫耳を調べさせてもらっても良いでしょうか?」
「あらぁ。」
額から突然嫌な汗が噴き出した。
(なんだこの嫌な感じは……)
それを見たツキは、俺の肩を指先でちょいちょいと突くとそのままある方向へ指をさした。
その方向には、3人の少女が髪の毛を逆立て涙目で必死に殺気を俺に送っていた。
「な、なんで耳を触る必要があるりますですの!?」
(赤髪さん、動揺して語尾がよくわからないことになってるよ。)
「ぜ、全否定! 耳にダニが入る!」
(青髪さん、俺をなんだと思ってるんだい?)
「みみは……ぜったい……やだ……やぁ……だめぇ……あぁあ……へあぁ……ふへぇ……。」
(黄髪さん、さっきまで怒ってたのにだんだん表情崩れてるけど何か妄想してる?)
猫耳を調べられるのがそんなにも嫌なのだろうか。
だが、ここで引き下がるわけにはいかない。
(け、決してリアル猫耳かもしれないソレを、もふもふしてみたいなどと言う、よ、邪な気持ちは、い、一切ないのだ!)
この3人が子猫であることを信じるためには、猫耳を確認しなければならないのだ。
意を決して、ずいと一歩前へ足を出す。
「「「ひっ!」」」
はたして俺はいったいどんな顔をしていたのだろうか。
3人は俺の顔を見るとどうだろう、先ほどまでの殺気はどこへやら3人は今度は怯えた子猫のように涙目でプルプルと震えて身を寄せ合っている。
『ドキ!』
その3人を見た瞬間、胸が高鳴ったような気がした。
(危ない危ない、良からぬスイッチが入ってしまいそうだ。目的を忘れるな。)
俺は自身にそう言い聞かせまた一歩前に出る。
(目的は猫耳が本物かどうか確かめること。目的は猫耳が本物かどうか確かめること。目的は猫耳をもふ……。)
そこで、意を決したように少女の中から1人前に出た。
「あ……あの!」
黄髮の少女だ。
その黄色い目には決意の色が見えた。
先ほどの乱闘騒ぎといい、実はこの子はこう見えてもやる時にはやる性格なのだろうか?
俺は、黄髮の少女が喋り出すまで数十秒待つと。
「わ……私のを……さ……さわって……くだ……さい……。タカシ……さんなら……いい……です。」
さらに数十秒、俺は黄髮の少女と見つめ合った。
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