実家で飼ってた愛犬が20年も生きてくれた
実家で飼っていたダックスフンドが老衰でついに息を引き取った。
20歳だった。
人間の年齢になおすと96歳になるらしい。
本当に長生きで孝行してくれた犬だった。
元々飼っていたダックスフンドと、母の知人が飼っていたダックスフンドとの間に生まれた子で、当然ながらそのときから知っている犬だけに、うちで飼っていた犬の中では一番付き合いは長くなる。
ただ、オレも実家を出てから10年以上経っているので、ここ最近は年に数回しか顔を見ない感じだった。
年々衰えていくその姿を見ていたからなのか、いつかはこういう日が来ることを予想していたせいか、正直ショックという感情はそこまでない。
ずっと一緒にいた母のショックは計り知れないところもあるが、事故や病気で急に亡くなったわけではないため、それなりに心も準備もできていたとは思う。
火葬には付き合って、骨を拾うまでの間、家族で思い出話をしていた。
お骨拾いは人間の骨を拾うのと同じ感覚で、なんとも言えない感情があったが、やっぱり悲しいというよりはよくここまで生きてくれたなという想いが勝った。
悲しいという感情がわかないのは自分の心が乏しいのか?という問いかけもなかったわけではない。
でも、近年一緒にいなかったからこそ、昔一緒に暮らしていたあの頃の記憶がそのままオレの中にはあり続けるわけで、そういう意味では肉体はいなくなってしまったが記憶としてはあのときの彼がずっと心のなかに居続けるような感覚だ。
だから棺に入っている彼はオレの中では彼の真の姿ではないので写真を残しておくようなことはしなかった。
おそらく母はもう犬を飼わないだろう。
うちもこどもがアレルギーなので犬を飼うことはない。
彼がオレにとって最後の犬になるだろう。
「今までありがとう」と彼に伝えて肉体への最後の別れを終えた。
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