あなたの目の前にいる犬達を考える ①
さて、まずは人によってはそこら中で聞き飽きた話かもしれない、今ある「犬達が誕生した経緯」を筆者なりの推察を交えながらお伝えしようかと
これは21年前に今は廃刊となった犬関連雑誌に寄稿した文章に加筆訂正を加えたものです。まぁ自分で書いたものだから盗作とかにはあたらないだろうしね(苦笑
購読者の皆さんに基礎部分を早くお伝えしたい意味も含めて使用することにします。(決して手を抜いているわけでは・・・)
まぁnoteスタートのブースト効果を狙っているんだとご理解ください
ってか、この頃のパワーは凄かったんだなぁ
PCに代々受け継いだドキュメントフォルダに最終稿が残っていたのもある意味で幸運かな・・・
・育種のカタチ
文明の黎明とともに、人間は望んだ。
人類外の良きパートナーとしてあれと。
そして、けなげに彼らは姿さえも変えながら現代まで生き続けている。
忠実なる僕・・・犬族。
「育種」
それは先人達の知恵の結実である。
遙か昔、200万年程前、地球上に犬の祖先となる中型の肉食ほ乳類が誕生する。巷には先行した猫科の大型肉食捕食獣が闊歩し彼らにとっては劣悪、過酷な環境だった。四六時中神経を張りつめて自分の身を守ることに集中し、食餌は死肉や大型獣の食べ残しを攫えていく。この環境が彼らに、優れた動態視力、鋭敏な聴覚、卓越した嗅覚と秀でた持久力や防衛本能を与えることになったのだろう。やがて、数が命を守ることに気づいた彼らは、家族単位のみではない同族としての群れを作り、一番強い物に従うことが生きる上で最良の選択である事を知る。ボスを頂点とした社会が誕生したのだ。弱い物は強い物に従い、強い物は弱い物を庇護する。肉食ではあるものの平和的な集団として、その社会は成り立っていた。脅威をもたらす外敵からは、まず逃避する。逃げ切れない場合は、強い物が率先して戦いに望む。たとえ死すとも、その子達は生き延びて次の世代を産む。経験から勝ち得た能力と習性は、子孫に良き遺伝子として強く受け継がれて行った。
そして、気の遠くなるほど長い長い年月がゆっくりと確実に流れていく・・・
4万年程前、彼らの子孫は地球上のあらゆる場所に広がっていた。温暖な草原や極寒の森林、灼熱の砂漠にさえ彼らの仲間は生息していたのである。長い時間と優れた環境適応力が、気候や地形、生態系に合わせて、形態、性格、能力、習慣を様々に特化させ、現在に至る様々な形をほぼ完成させていた。
・人類との遭遇
その頃、急激に勢力を拡大するほ乳類が現れた。人類である。人間は手によって道具を使い、環境に適応するために衣服をまとう。寒さを火によって癒すことも出来た。犬の祖先達が長い時をかけて姿を変えてまで適応してきた環境に人間は瞬時に適応してしまったのだ。人類と犬の祖先のテリトリーは、ほぼ重なっていた。しだいに知恵を持った人間が優位に立ち、犬の祖先達は逃げ場を失ってしまう。どこまで逃げても人間は進入してきたのだ。種族の危機が訪れた・・・
ところがここで、素晴らしい事が起こる。人間と犬の社会形態はほぼ同じであった。強い物に従い、弱い物を庇護する。人間は犬を庇護し、犬は人に従属したのである。保護した子犬を人間が育てたのが最初だったのかもしれない。血縁に拘らない犬の集団社会も人間を受け入れ安い素地になったのだろう。また、雑食性であった人間は犬を食用にすることに拘らなかった。その後、原始的な人間と犬の共存社会がしばらく続く事になる。はじめは人間の群れと犬の群れが付かず離れず行動していたのだろう。共通の外敵に対して警戒しどちらも集団で戦いに臨む。特に夜には犬の鋭敏な感覚が人間を大いに助けることとなった。火を使って調理した人間の残飯は犬の食欲をそそるには十分すぎる物だったに違いない。そのままでは食べられない植物も過熱処理され消化できるようになり、犬達は勇んで狩りをしなくても、空腹からある程度開放されるようになった。そして、一部の犬は群れを離れ人間と共生を始める。彼らの能力は人間にとって非常に有益であった。狩りを共にし、食料を分かち合い、力のある犬は身を呈して人間を守るようになる。人と犬の原始的な共存関係は、その後数万年かけて強固なものとなっていく。いつでも犬は人に忠実であり、人は犬に多くの慈愛を与えた。そして、人と犬は地球上の隅々まで進出していったのだ。
・人為的な育種
狩猟を中心としていた人間社会は、農耕や遊牧などの特色をもつ社会等に分かれ、犬もそれに併せて様々な仕事をこなすようになっていく。ハウンド、テリア、ハーディング等の原型はこのころまでにほぼ固まっていたと思われる。
やがて、人類は各地に様々な文明を開化させる。戦争、支配、交易・・・異文化との交流と共に、それまで特定地域に適応してきた犬達が様々な場所に運ばれて交雑を繰り返す事になる。文化は犬を劇的に変えていった。人が望む形に変貌していくのである。人々はこぞって有能な犬を育種するようになった。
砂漠の民はより遠くの獲物を見つけ素早く捉えられるサルーキやグレイ・ハウンドを、ローマ人は戦争に勝つため大きく強い犬を望みマスチーフを作り出す。農民は害獣を駆除させるために様々なテリアを、遊牧民は羊や牛を追わせるキャトルドッグを、北方の漁民は泳ぎの達者な犬を必要としニューファンドランドのような犬種の原型が作られる。莫大な人口を抱えたアジアや飢餓にあえぐ南米では食用犬も作られている。
文明が大きくなり安定すると癒しを求めて愛玩犬も様々に発達していく。古代ギリシャにはすでにポメラニアンや小型のテリア等が愛玩犬として飼われていたとも言われる。同一形態でありながら大きさが極端に小さいものが作られるのもこのためであろう。中国の宮廷では運動能力を控えた見て触って楽しむペキニーズなどが作られる事になる。本来の狩りはやがてゲームとして楽しまれるようになり、様々なポインティングドッグやハウンド、レトリバー、スパニエル等が発達する。
機械文明が訪れ犬達の仕事が失われるまでの間、様々な犬種が育種され続けていった。19世紀初頭に英国でドッグショーがはじまり、スタンダード(犬種標準)に基づき、犬種の整理がなされ種の保存を目的とした繁殖が行われるようになり、無用になっていた様々な犬種が現在まで受け継がれていることは素晴らしいことである。
・日本犬は世界最古の犬の血を引く
では、我が国、日本の犬はどんな変遷を経てきたのであろうか。四方を海に囲まれたこの国において、狩猟は余り発達せず、農耕と漁業中心の文化が発達していった。犬との関わりは少なく、オオカミや野犬として恐れられる時代が長く続いていたと思われる。当然野生の犬は日本だけではなく世界中に存在していた。面白いことに、野生の犬はどこにいても、形態が似通っている。現在も生息しているオーストラリアのディンゴやアフリカのカナン・ドッグが有史以来の姿をとどめているとされているのだが、現在アメリカに生息するカロライナ・ドッグという野生の犬は近代になって人の手を離れ山林に住み着き自然淘汰を繰り返したものでありながら、その姿はカナン・ドッグに酷似している。犬の本来の形態は、中型で細面、やや長いバランスに水平の尾という特徴をもったものだったのでは無いかと推測される。読者の近くにもよく似た犬はいないだろうか。
日本犬の中型(紀州、四国、甲斐、薩摩等)もやはり類似した特徴を持つ。これらの犬は、一部の狩猟を糧とする日本人達が飼い慣らした野生犬族(ニホンオオカミ)の末裔であろう。島国であり農耕民族であったが故に、日本犬は原初の犬の特徴を現在まで留めていると思われ、それらの血が色濃く残る日本の中型雑種は原初の犬に近づく傾向があると思われる。大型の日本犬は平安時代より闘犬(現秋田犬)として育種されたが、劇的な形態変化は近代の土佐犬まで起こってはいない。(但し現在の日本犬には第2次世界大戦という不幸によるジャーマンシェパードとの交雑問題があることを特記しておく、詳細はいつか・・・)
戦国時代にオランダを初めとする西洋文化と交流するまで、中国、高麗から短吻の愛玩犬程度しか渡来してはいないと思われる。それらは狆に継がれる種であろう。欧州からの渡来犬の最初の記録は1484年(室町時代後期)の細川家の飼い犬でダックスフンドのような短脚種だったと思われる。
繰り返すようだが、日本は島国である。故に、外来犬はまず船で人と一緒にやってきたのである。それが、後に近代日本で育種された犬種の特徴に大きな影響を及ぼすことになる。
さて再びgoogle先生の登場 分子生物学って凄いんです。
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AI による概要
犬の起源は東アジアである可能性が高く、ニホンオオカミが最も近縁なオオカミであることがわかっています。
犬の起源に関する研究結果には、次のようなものがあります。
総合研究大学院大学や岐阜大学などのチームが、ニホンオオカミの残された骨からDNAを調べた結果、ニホンオオカミがイヌのグループに最も遺伝的に近縁であることがわかりました。
ユーラシア大陸の東側のイヌのゲノムにはニホンオオカミの祖先のゲノムが含まれています。
日本犬のゲノムにもニホンオオカミの祖先のゲノムが2-4%含まれています。
東アジアで生まれたという説が有力で、オオカミの遺伝子とさまざまな犬種の遺伝子を比較した論文によると、ヨーロッパの犬に比べ、アフリカや中国、日本の犬のほうが、遺伝的にオオカミに近いことがわかっています。
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地域的文化的側面が大きかったとはいえ
日本犬は世界最古の犬の血を引く
これは、誇るべきことです。そして守らなければなりません。
ですが・・・実情はとても難しいと言わざるを得ません。
注釈した交雑問題をはじめとして、日本人の犬に対する特徴的な意識。
それらが日本犬のみならず様々な犬種達を危機的状況に追い込んでいます。
この後はその辺りに進んで行こうと思っています。
「MIX犬のご先祖様?が誕生した」
つづく
めっちゃ長くなってもた
でもこれからの手続きとして話しておかなければならないことだと思っています。一部の方々にはつまらない話かもしれませんがご容赦を
今後、メンバーシップとかマガジン化とかしようかと思っていますが
まださっぱりその辺りの使い方が掴めていません
購読者の皆様にはその時に備えてnoteのアカウント取得をお勧めします
当面は「いいね」の表示が派手になったりとかなのかなぁ
もちっと勉強しなきゃだね <^^;